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本当の話

作者: とーま。

登場人物

自分/大学のときの親友みゆちゃん/親友と下の名前が同じ大学のときの友達ミユちゃん/ミユちゃんの彼氏ケイト


 駅の改札のようなところを通過して、エレベーターで最上階に向かった。

 屋内だったか屋外だったかはよく思い出せない(青空が見えた気もするし、曇ったガラス張りの天井が見えた気もする)。

 最上階につくと、鳥居が立つ神社のような、祠のようなものが三つ、正面と左右とに建っていた。

地面には芝生が生えていて、手入れは特にされていなかったと思う。

 神聖な感じで、中学生の時に修学旅行で初めて京都の清水寺や金閣寺を見た時と似たような気持ちになった。

 そこまではよかった。

 みゆちゃんがはしゃいだ感じで真ん中の鳥居の方に走っていった。鳥居の前には枯葉が山盛りになっていて、みゆちゃんんはその枯葉の山を蹴ってはしゃいでいた。と思う。

 最初は「はしゃいでるなー」ってのんきにそれを眺めていた。でも、だんだんと蹴られて舞った枯葉がおかしな動きをしだした。自然に舞っているのではなくて、意思を持って舞っているような。最初は気のせいかと思った。でも、ばらばらに舞っていた枯葉たちが、だんだんと一つの塊になって、波打つように舞い始めて、何かがおかしいと思い始めた。みゆちゃんは枯葉が一つの塊になっていることに対しては特に何も思わない様子で、群れのように動く枯葉と戯れているようにみえた。だんだんと嫌な予感が膨れ上がっていく。

「ここから離れなければ」そう思ったのと、枯葉の塊がみゆちゃんに向かって覆いかぶさるように動いたのは、ほぼ同時くらいだったと思う。

「みゆちゃん!走って!」驚いた顔をして固まりかけているみゆちゃんにそう叫んで、自分もエレベーターに向かって走り出した。二人でエレベーターに駆け込んで扉を閉めるボタンを連打した。

 閉まる扉の隙間から見えたのは、こっちに襲い掛かってくる枯葉の塊と、黒い靄のようなものがあたりに渦巻く正面の祠、それから何か黒い影のようなものがこっちを睨んでいた(なぜか自分はその影について狐だと直感した)。

 一階と祠があった階しかないはずなのに、エレベーターはずっと下がり続けた(気がしただけかもしれない)。エレベーターが地上に近づくと、二人ともだんだん気分が悪くなってきた。自分はギリギリのところで吐かなかったが、みゆちゃんは我慢できずにエレベーターの中で嘔吐してしまった。みゆちゃんが胃液を吐き出したのと同時くらいにエレベーターが地上についた。

 エレベーターを降りるとケイトがいて、「ミユがまだ戻ってきてない」と言った。そこで自分は、そういえば自分たちの後からミユちゃんも上に上がってきたことを思い出した。(思い出したというか、気づいたに近い感覚だった。エレベーターじゃなくて左の祠の方から出てきてた気がする。)助けに戻ったほうがいいだろうかとエレベーターを振り返ると、ケイトが「別の入口から入ったからそのうち帰って来るだろう」というような意味の分からないことを言った。「何言ってるんだこいつは」と思っていたら、改札の横に置いてある机の上のノートパソコンのモニターが光りだした。そして一際まぶしくモニターが光ったあと、モニターの前にミユちゃんんが立っていた。意味が解らず固まっていると、「真ん中の怒りに触れちゃったね」とミユちゃんが言った。

 そこで夢は終わって目が覚めた。

 目が覚めてからいろいろ整理してみると、たぶん祠があった階と、改札があった階は異なる世界の空間だったんだと思う。そしてエレベーターで降りてくるときに気持ち悪くなったのは、空間が切り替わることに体が対応しきれなかったからだろう。上がっていくときは大丈夫だったのに降りるときは気持ち悪くなったのは、降りるときには祠があった空間が、真ん中の祠の怒りによってだいぶ歪んだ空間になっていたからだ。

 ただの夢に対して、かなり具体的に仮説が浮かんできたなと自分で不思議だった。それに、普段はどんなに衝撃的な夢でも、数日たてばぼんやりとしか覚えていないのに、この夢は一週間くらいたった今でも割とはっきり覚えている。

異世界云々に関しては、「そんなことが起こったらいいな」と妄想を頭の中で繰り広げるのと同時に、「そんなこと実際は起こりはしない」とどこかではちゃんと理解しているけれど、この夢に関しては、正夢にならないでくれと本気で願っている自分がいる。

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