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4膳目 教育的指導です

 その後、食堂にいた新入生達にはシュトラールが騒ぎの謝罪と事件に関する箝口令をしき、彼もアンジェリカと三馬鹿を追いかけた。行先はもちろん、クランペット公爵邸だ。


 てっきり厨房で何かさせているのかと思いきや、馴染みの東屋で優雅にティータイム(但し、茶器は湯呑みと急須である)を楽しんでいたアンジェリカに、首を傾げつつ歩み寄る。


「アンジュ、あの三人はどうしたんだい?ここに連れてきたんだろう」


「ん?厨房に居るよ?今お料理中」


「その“お料理”は、彼等《《が》》料理になったわけではないだろうね?」


 まだ一時間も経っていないのにあまりの落ち着き様につい聞いてしまったが、アンジェリカはニコッと笑うだけで何も答えない。可愛い。可愛いから、余計に恐い。

 人は時に可愛さにも恐怖を覚えるのだなと、シュトラールはこの日、人生でも5本の指に入るレベルで要らない事を学んだ。


 と、そこに爆走した一頭の黒馬が駆け込んでくる。停止もそこそこに飛び降りてきたのは、血相を変えたミゲルだった。

 強風で乱れた制服と髪、ズレた眼鏡すら直す間もなくそのまま勢い良くアンジェリカの両肩を掴む。


「アンジェリカ!お前はまた入学初日から何と言うことをやらかしたんだ!!!」


「教育的指導です」


「彼等は王太子派の有力貴族の子息なんだ。それを敵に回すような真似をして、シュトラールの立場が危うくなったらどう責任を取るつもりだ?我が家だって、いくら爵位が上と言えど多対一では不利なんだぞ!?何故ケンカを売ったりしたんだ!」


「教育的指導です」


 『喧嘩じゃありません』、と断言されて一瞬たじろぐも、ミゲルの説教は続く。


「い、一応食堂務めの者達から事情は聞いたし、事の次第と彼等の失態に関する証言はシュトラールと自分でまとめて学園長に提出してきたが……。半ば拉致同然にうちまで連行したりして、問い詰められたら言い逃れ出来ないぞ。すぐに解放して、詫びの品を添えて帰らせないと!」


「駄目です、まだ指導中です」


「あぁぁぁぁもう、ああ言えばこう言う!」


「落ち着いてくれミゲル。あの場には私も居たし、そもそも先に彼等と対峙したのは私なんだ。万が一の時の責任は私が負うよ」


 そうミゲルを宥めるシュトラールだが、彼は知っている。

 アンジェリカによる大立ち回りの一部始終を報告された彼の第一声が、『何故自分をその場に呼んでくれなかったんだ!』という、魂の叫びであったことを。

 ミゲルの秘めたる扉が以前、半開きだと言うことを実感して彼が遠い目になった時、厨房の方からなにかの破裂音と黒煙が上がった。


「あらあら、もうギブアップですか。根性無いですねぇ」 



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