第二百八十九話 天上戦闘
俺は【自然化】を使ったが、簡単にはサイギスが見逃さなかった。【自然化】を唱えているのにカインの瞳が俺を捉えたままだ。そして厄介なのがヨルムンガンドの尻尾だった。
『ヨルムンガンドは強力な毒持ちだ。噛まれたら即死、毒がかかるだけでもやばい。おまけにかなり素早くてクネクネして捉えにくい。もし毒を受けたら、死にたくなければその部分は迷わず切り捨てろ』
南雲さんが言っていた。戦いにくい。俺の【竜国】とカインのレーヴァテインがぶつかり合う。レーヴァテインも炎属性のようで、お互いの刀と剣がぶつかり合う度に肌が焼けそうなフレアが発生する。
そうしてる間にもヨルムンガンドがカインの尻尾として伸びてきて、噛みつこうとしてくる。そして新たに召喚された綺麗な女の上半身を持ち、下半身が六体の狼というスキュラが、下半身を一体だけの狼に変形させる。
カインの攻撃の間隙を縫い、スキュラが後ろから殴りかかってきたと思ったら拳が狼になった。
「甘いのよボウヤ!」
噛みついて来ようとして慌てて避けた。しかしスキュラの狼は想像以上に腕から伸びてきて腹を噛みちぎられる。
「ゲオルギウスの仇は取らせてもらうわ!」
スキュラはゲオルギウスに特別な感情があったのか、恨みの目を向けてくる。しかし俺の体は今、水の精霊である迦具夜と融合したことで、再生能力が極端に上がっていた。すぐに噛みちぎられた腹が水で埋められ、体として再生していく。
「も、もう再生した?」
その再生能力にスキュラが驚いた。
《安心して祐太ちゃん。ちょっとした物理ダメージじゃ全然死なないから、怪我は気にしないで戦っていいわ》
《俺、てっきり迦具夜は体が弱いのかと思ってたぞ》
《あら心外。八洲では『殺しても死なない女』と言われてるわよ。【無限水精】という能力でね。水がある限り私は無敵なの》
【呪怨】のせいで迦具夜はふらついてることが多く、勘違いしていたが逆のようだ。むしろ再生能力が【超速再生】を超えている。大八洲国における最高位貴族。
『強かろう。良かろう』
の国で体の弱い最高位貴族などいるわけがない。それでもカインに動揺は見えない。バハムートのドラゴンの瞳で冷静にこちらを見てる。そしてドラゴンの口が大きく開いた。気力の集中を感じる。スキルが来る。
【龍皇咆哮!】
ドラゴンの口から鼓膜が破れる音波攻撃。体中が振動する。その振動で融合して強くなっているはずが分解するかというような衝撃。俺は歯を食いしばって耐える。その間にダメージを迦具夜が体を水にして逃がしてくれる。
《助かる》
《サポートはしてあげる。思いっきり戦って》
《分かった!》
気合を入れるがカインはそれぞれの召喚獣の意思が調和して生きているように、動いてくる。間髪入れずにヨルムンガンドの口から紫色の霧が撒き散らされた。それが一瞬で一㎞四方にまで広がった。
【邪毒撒霧!】
ユグドラシルの根まで枯らしている。慌てて下がるがそこを後ろにいたスキュラが邪魔をする。
《こいつらは毒が平気なのか?》
《カインの召喚獣は全てヨルムンガンドの毒の抗体を持ってるのでしょう。こっちはちょっとでも吸えば死ぬから息を止めて》
すぐに息を止めた。カインは次の攻撃を放つ気配を見せる。守りに入ってばかりでは押し切られてしまう。気合いを入れ、手を伸ばした。その手が毒に当たり腐っていく。それでもそのままルビー級魔法を唱える。
それは青蛙討伐でルルティエラから与えられた魔法。毒に侵された腕一本が切り離された。水の精霊によってその腕を全て重水素とトリチウムに変え、それを核として使う。
《原子核よ! 融合して弾けろ!》
【蒼天核!】
青白い光が目の前で一瞬に広がる。核融合によるエネルギーの大爆発。一億度を超える超高温のエネルギーが水素を完全に操る水の精霊によって、指向性を持ってカインの全面を埋め尽くすように放たれていく。
「メトの魔法!?」
思わずカインが戸惑った。そうだ。これはいつか見た太陽神メトの魔法と同系列。どんなに防御力を持っていようと関係ない。それを突き抜けてダメージを与える。カインが逃げようとしている。それを逃すほど甘くはない。
《逃がさない!》
核融合反応により巻き起こる爆発エネルギーは、尋常ではない速度を発生させる。カインの体を逃さず呑み込む。カインのケンタウロスのような体のすべてが凄まじい超高温に炭化していく。
【異界化!】
燃やされながら悲鳴のようにカインが唱えた。これを唱えられたら自分も唱えなきゃいけない。当然俺も唱えた。二人の姿が瞬間、世界から消えた。一方で俺も今の攻防でヨルムンガンドの毒が、腕を切り離したのに体を腐らせる。
放置するとすぐに体全体に回る致死毒。俺は首から下を捨てた。
《毒の回りが怖くなるほど早い。普通だと一瞬で死ぬな》
迦具夜と融合して、再生能力を得ている状態だと体を全てすぐに再生できる。それでも毒は恐怖だ。異界から周囲を見る。ユグドラシルの巨大な根が腐り果てていた。太さが数㎞もあるような樹木が大地に落ちていく。
迦具夜と融合している俺の魔法の威力もかなりえげつなく、通り過ぎた場所の樹木が炭化し、自重を支えられなくなった巨大な根が大地に落ちていく。カインと俺の二人がほぼ同時に異界から姿を現した。
「やはり無傷か」
「そっちこそ無傷だ。やっぱり12英傑ってすごいんだな」
カインのスヴァジルファリの四本の足。バハムートの翼と顔。ヨルムンガンドの尾も最初に見たまま。
「八洲の姫の力もあるのだろうが、お前もよくそれを操ってる」
「褒めてもらえて嬉しいよ」
「褒めいでか。正直、お前がイギリス人ならどれほど嬉しかったことか。しかしお前は日本人で私はその敵対者だ。仲良くはできそうにない!」
お互いの距離が一気に肉薄した。
【蛇蜘蛛千斬!】
【龍皇爆火砲!】
俺はスキルを唱える。融合の力により決して切れることのない強固な糸となったアウラの蜘蛛の斬撃が、蛇のようにうねりながら千本、カインに向かっていく。それをカインの目の前に魔法陣が三層に現れ回転を始める。
バハムートの力であろう赤く巨大なレーザーの塊が、俺をめがけて放たれた。千本の蜘蛛の糸と赤いレーザーが空中で衝突する。本来ならカインの方が強いはず。何しろ向こうはサファイア級でこちらはルビー級。
しかし、500年を生きる迦具夜によって制御された蜘蛛の糸は水の精霊によって強靱化し、斬れ味が違う。蛇のようにうねる千本が、無数にカインの砲撃を斬り刻んでいく。そのままエネルギーの塊を霧散させる。
迦具夜のエネルギー制御がカインの強大なはずのエネルギーを上回り、蛇のようにうねった糸がまだ六十三本、カインを斬り刻もうとして、ヨルムンガンドの紫色の毒霧が発生する。糸が腐り果てた。
そのままヨルムンガンドは伸び、噛みつこうとしてくる。後ろに下がるが制限なく伸びた。体に巻きついてこられて【転移】で逃げても、ヨルムンガンドが感知し、直角に曲がり【転移】した場所に噛み付いてくる。
「どうした六条祐太! 私より強いのだろう!」
「うるさい! 見ておけ!」
こういう攻撃はどこまでも追って来させて、凧糸がからまるように結び目を作ればいいと複雑に飛んだ。ヨルムンガンドは【異界反応】で自分自身を通り抜け、縦横無尽に動き回り、結び目などできるわけもない。
「馬鹿が!」
ヨルムンガンドはこちらの狙いに気づいていたようで笑われる。
「結構いい考えだと思ったのに!」
そこに後ろから声がした。
「お前ごときがカイン様を舐めすぎだ!」
後ろからスキュラが攻撃してくる。スキュラの右腕が狼になった一撃目を躱す。二撃目は左手が狼になりこれもなんとか躱した瞬間、スキュラの綺麗な腹から狼が飛び出てくる。不意を突かれ、肩が噛みちぎられ激痛が走る。
さらにほぼ同時に目の前が紫色に染まる。ヨルムンガンドが毒を散布していた。こちらも避けられずに体が一瞬で毒に侵食され、
《切り離すわ!》
迦具夜が心臓近くまで体を捨ててしまう。先ほどの経験から見た目以上に体を捨てないと腐ってくるのが分かってる。【竜国】の持ち手である右手まで捨てるから慌てて【念動力】で拾い上げる。
カインが四本の足が空を駆け、再び三層の魔法陣が回転している。それが赤く光り始めた。ヨルムンガンドとスキュラが下がる。
【龍皇爆火砲!】
目の前だった。赤いレーザーが放たれる。避けることは不可能だと理解した。だがまともに食らえば死ぬ。だから急いだ。目には目を、俺の前にも魔法陣が浮かんだ。重水素とトリチウムを融合させる。
迦具夜と融合して一番驚くのはあらゆる攻撃を放つ速さだ。
魔法が瞬く間に完成する。
【蒼天核!】
凄まじいエネルギーのぶつかり合い。お互いの力が拮抗し、とんでもない熱量が発生した。轟音が響き渡り、その場で空を包むほどの爆発が起きる。核爆弾が落ちたように巨大なきのこ雲が発生する。ユグドラシルの根に大穴が開いた。
自分がやったことが信じられないほどの威力。12英傑が戦えば、大地が削れると言うが本当にその通りだ。
《祐太ちゃん。手数で若干不利だわ》
迦具夜が口にした。サイギスは俺が気配を隠すことも得意だと分かり、俺を見ることに集中するためだろう。距離を置いている。しかしカイン自身のレーヴァテインによる攻撃やバハムートの砲撃、スヴァジルファリによる素早い移動。
ヨルムンガンドの強烈な毒攻撃にスキュラの狼。カインの圧倒的な手数に守勢に回らされる。ゲオルギウスを殺したら戦力低下だと思ったが、どうやら全然そうじゃないらしい。カインは俺に召喚獣を減らされてもすぐに補充する。
召喚獣全てを同時には使えない。しかしそれが弱点になってない。向こうは命がいくつもあるようなものだ。
《ああ、本気にならないと無理そうだ》
様子を見ながら戦っていた。全てを出し切らなくても一瞬勝てるとすら思った。それぐらいこの融合は強い。迦具夜だけだとここまでの攻撃力が出せないらしいが、炎属性というのは凄まじい攻撃力が出せる。
《じゃあ"あれ"を使うか?》
それでも、大八洲国の最高位貴族、迦具夜と融合しても"全力"を出さないと勝てない。さっさと本気にならないとその前にうっかり殺される。
《ええ、今の祐太ちゃんなら完全に使いこなせるはず》
俺は精霊魔法を頭に浮かべる。それも青蛙討伐で得た報酬の一つ。マジックバッグに収納していた【義体】を取り出した。その体はあくまで【義体】だから頭はない。そこに、この魔法のために造り上げた脳みそも入った頭をくっつける。
そして唱えた。
ルビー級精霊魔法。
【操り人形】
その名前とは少し役割が違う魔法。それは召喚術にほとんど近い精霊魔法だった。そもそも精霊魔法自体が、精霊を召喚するものが全てであり、精霊魔法の強さはつまるところどういう精霊を喚び出すかにかかっている。
迦具夜との合作になる【義体】の中に炎の精霊サラマンドラと水の精霊ウンディーネを喚びだし宿す。普通ならあまり仲良くない精霊同士らしいが、それが炎と相性のいい俺と水の精霊そのものである迦具夜との融合で成功する。
水の循環と炎の熱量が共生するもう一人の俺。【義体】が男だったから男の俺が出来上がる。どちらかと言うと【義体】のほうが俺そっくりだ。
「六条祐太がもう一人? エネルギー密度がほとんど変わらない……バカな。どうしてももう一人は弱くなるはずだぞ」
「カイン。お前がとっても強いから本気になってやるよ」
「ほ、ほお、今までは手加減してくれていたとでも?」
「そうだよ。遊んであげてただけだ」
「煽るではないか! その程度で私が冷静さを失うと思うなよ!」
カインは口にしながらもかなり頭に来たのは間違いないようだった。すぐに攻撃を仕掛けてきた。三対の瞳が同時に俺を捉える。
【龍皇爆火砲!】
【邪毒撒霧!】
【斬り裂け・レーヴァテイン!!】
攻撃が全て同時に行われた。カインの目の前に魔法陣が現れて砲撃が放たれる。ヨルムンガンドが広範囲に毒の霧を発生させ、レーヴァテインの斬撃が十。
それでも今までよりは落ち着けた。別に本気で戦ってなかったわけじゃない。この体で戦えることは滅多にないので順次試していただけだ。
【操り人形】が動きだす。
精霊が宿り、俺と迦具夜の意思に敏感に反応する。完全に操る必要はない。望めばその通りに動く。そしてこの精霊魔法のすごいところは、ほぼ全く俺と同じことができる。
【黒焔竜刃!】
【蒼天核!】
俺が黒炎をまとう刃を放つ。【操り人形】は声を出し、核融合魔法による攻撃を俺と同レベルにこなして見せた。それによってカインの放ったエネルギーと俺の放ったエネルギーがぶつかり合う。
そこからは激戦になった。いくつものきのこ雲が発生し、ニザヴェッリルを包むユグドラシルの根が穴を開け燃え上がり腐り果て、どれほどの重さがあるのかもわからないような根がニザヴェッリルの大地に次々と落ちていく。
少なくとも日本の面積よりも大きな範囲のユグドラシルの根が、俺とカインの戦いで崩落していく。大地とは数千㎞距離が離れているはずなのにその落下音が耳に届いてくる。それに混じって人の悲鳴も聞こえた。
俺とカインの戦いの余波で、間違いなくたくさんの人が死んでる。
《これを地球でもやろうって言うんだよな》
《そうよ。これが神とそれに比肩するものの戦い》
《こんな戦いどれほど死ぬんだ》
《大八洲国じゃ10年に一度ぐらい大きな貴族同士の争いが起きてこういうのがあるわ。その度に億単位で死んでるわね》
《そんなにか。よく人がいなくならないもんだな》
《雨後の竹の子みたいにいっぱい生まれるからね。からくり族も大量に生産されるし、ゴブリンとか繁殖能力が高いものも結構いるわ。いなくなるどころか生物は地球よりはるかに多様で大量に生きてるわよ。だから貴族は人が死ぬことなんて何とも思ってないわ》
でも融合しているからわかる。クミカの心が少し混じり、迦具夜の心にも普通の何でもない人間に対する同情が生まれてる。俺も人外になったつもりはなかった。ここまで被害が出ると思ってなかったし、地上が気になった。
少し目を向けると性能の上がった瞳に、壊滅状態の地上が映し出された。人が死ぬなんてものじゃない。大量虐殺だ。ニザヴェッリルが悪神側の土地とはいえ、どれほど殺してしまっているのか想像もつかない。
《カイン!》
俺はカインと一瞬で10㎞ほど離れてしまい【意思疎通】を送った。
《地上で信じられないぐらい人が——》
《それ以上言うな。六条祐太、お前の言いたいことは分かる》
同時に向こうも思っていたようだった。
《悪神の支配域とはいえ、あまりに殺すのは気分が良くない。しかも我々はこれからこれを地球でもやろうというのだから狂気の沙汰だ。ユグドラシルは桁違いに人間がたくさんいるし、再生能力が高いからまだすぐに修復してくるが……地球はどうなることやら。考えるだけで憂鬱になる》
《憂鬱ならやめればいいのに》
《平和を享受し、勝ってる方は簡単にそう言う。だが我々は負けているのだ。どこかのバカ女のせいで日本のように平和でもない。何もしなければそれが千年続くと思えば、動かぬ訳にはいかぬだろう。とはいえさすがに食傷気味だ。六条祐太、場所を移すか?》
《ああ、海ででも戦うか》
《いいだろう》
俺の姿が消えると同時にカインの姿も消えた。そして青空のもと光り輝く海の上に出た。ユグドラシルははるか彼方。できる限り離れた場所に出た。カインが攻撃してこないか注意を払いながら、周囲を見渡した。
見渡す限り海だ。10㎞ほど上空にいたが、それでもユグドラシルの大木以外は、海水と空だけが広がっていた。
「六条」
カインがレーヴァテインを振った。それだけで海が裂ける。
「なんだよ」
「お前とは意見が合う。それなのにこの戦いを引けないことが本当に残念だ」
カインがドラゴンの目で俺を見つめ、右目から涙が一筋流れる。本当に残念そうだった。スキュラとサイギスもいるのがわかった。
「カイン。どうしても俺を殺しておきたいんだろ?」
「ああ、戦えば戦うほどその思いが強くなる。そのことが残念なのだ」
「じゃあ長々とは戦わないでおこう。正直、もうそろそろ決めたい」
「ふん、融合の限界か?」
その言葉にギクリとする。そうなのだ。一時間は融合していられると思ったのに、いざ戦い出すと思った以上に消費が激しかった。これ以上長く融合していると迦具夜に呑み込まれてしまいそうな気配を感じる。
以前と違う点は迦具夜は平気なのだ。度重なるルビー級のスキルや魔法に俺の弱い魂と体だけが悲鳴を上げてる。
「そんなことはないが……」
強がるしかなかった。ばれて戦闘が長引けば、俺を取り込んでしまいたくない迦具夜は融合を解いてしまう。そして逃げる選択をする。それでは困る。ここで勝たなきゃそれこそ全部終わりだ。
「安心しろ」
だがカインが優しく笑いかけてきた。
「実を言うと私もあまりこの状態は長く続かん」
「……そうなのか?」
そんなことを正直に口にしたカインに目をまたたく。だが考えてみれば当然かもしれない。カインも自分よりも優秀な召喚獣と融合し続けている。しかも何体も喚び出してるのだ。それは決して容易なことではないはずだ。
「じゃあ次で終わるっていうのはどうだ?」
「では次で終わるというのはどうだ?」
同じ言葉を同時に言った。
「ふっ、文句はないようだな」
「ああ、死んでも文句言うなよ」
俺もカインのことは嫌いじゃないなと思った。それでも二人の間にエネルギーが溜まっていく。そんな不意打ちをカインはしない気はするが油断するわけにはいかない。【操り人形】にサイギスとスキュラを見張っててもらう。
そしてこの一撃に全てをかけようと決めた。
弁財天に教えてもらった"サファイア級"の魔法、そしてミカエラから受け継がれている"爆眼"も使う。俺の融合した右目が赤く光った。そして魔法と爆眼の力を【竜国】にまとめていく。全ては一撃のために。俺は剣を振り上げた。
カインもレーヴァテインを振り上げ、全ての召喚獣の力をそこに集中させていってる。
「正々堂々戦った。お互い恨みは無しだ!」
「六条、やはり仲良くする道がなかったのは残念だったな!」
力の集中が最高潮に達したのも同時だった。
「「死ね!」」
俺とカインの言葉が重なった。





