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蛇の呪いをかけられたので解呪の為に全力で王位を目指します  作者: 蜜柑缶


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83 合流

 オスカリが変な事を言い出すから意識してしまって、自分の身体の持っていきように困る。

 確かによく考えてみれば下着なしでシャツ一枚しか着ていない。最初が全裸だったから一枚着ただけで安心してしまい気づかなかった。

 アーネストを抱きしめるように首に回していた腕を彼と私の身体の間に挟むようにして胸が彼の背中に当たらないようにし、肩を掴み何とかバランスを取りそのまま黙って背負われていた。

 

 早く下について欲しい、とにかく恥ずかしい……

 

 

 麓にたどり着いたときは既に日はすっかり沈んでいて、そこで一夜を明かし早朝にローラが待つ街へ馬で向かった。私の状態を考えて二日かけて街に到着しすぐに宿へ向かった。

 

「姫様!お帰りなさいませ、それで……」

 

 宿に取ってある部屋へ向かいローラと対面した。なんだか久しぶりな感じがしてちょっと照れくさかったがきっと心配していたであろうローラに恥ずかしながら報告した。

 

「ただいま、待たせちゃったね。この通りよ」

 

 私は手を広げて戻ってきた膨らみを見せるように胸をはった。

 

「ひ、姫様ぁ〜」

 

 ローラは涙ぐみながら駆け寄るとむぎゅっと両手で私の胸を掴んだ。

 

「きゃっ、ちょっ、ちょっとローラ!!」

 

「やっとお戻りになったのですね、良かったです姫様」

 

 そのまま寄せて上げようとするローラの手を掴み胸から離した。

 

「何やってるのよ!」

 

 部屋には皆がいてなんとも言えない顔で私達のやり取りを見ている。

 

「まぁ、良かったじゃないか確認が取れて。ローラが戻ったっていうんなら元通りってことだな。アーネストしか触れなかったから元通りかどうか判別出来なかったからな。はぁ疲れた、酒くれ」

 

 オスカリがソファにドッと座るとニヤけながらからかうように私達を見た。

 それを聞いたローラがキッと鋭い目でアーネストを睨む。

 

「どういうことですか?」

 

「殿下の言う事を真に受けるな。私はそんなことしていない」

 

 アーネストはイラッとした顔でオスカリを見る。

 

「あれ、そうだったか?まぁどっちでもいい、それより早く酒くれよ」

 

 数日私のために酒も女も断っていたのだから仕方がないと思ったのか、ローラは不満そうだが黙って皆に軽食と酒を用意すると私を浴場へ連れていきゆっくりと湯に浸からせた。

 久しぶりの本物の女性用の下着とシンプルで上品な白いドレスに着替えさせ嬉しそうに微笑んだ。

 

「はぁ……本当に良かったですわ。これです、これこそが本当の姫様のお美しい姿ですわ」

 

 今度こそ涙を浮かべながらローラが私を見た。私はふんわりとスカートを揺らせながらローラに心配かけたことを申し訳なく思い笑いかけた。

 

「もう、泣かないで。心配かけてごめんね、取り敢えず姿だけは取り戻せたわ。まだ大猿になっちゃうけど」

 

「本当に、あのポントゥス……絶対に許せない。ですが今はこの姿を見てホッと致しました。やはり前とは雰囲気が変わりますね。これで誰にも男だなんて言わせませんわ」

 

 私が男の身体だという噂が王都で広がっているとオスカリから聞いて少し不安に思っていたがこれでひと安心だ。

 

 

 

「さぁ、姫様の準備が整いましたわ」

 

 ローラが大げさに私の登場を知らせると、部屋の中で今後の予定を話し合っていた四人が振り返った。

 

「おぉ、リアーナ!美しいじゃないか。やっぱり男の身体の時とは違うな」

 

 オスカリが手放しで褒めてくれ少し恥ずかしさを覚える。エミリオとゴドウィンも頷きながら満足そうに笑顔を見せた。

 

「これで漸く王妃様に顔向けができます」

 

 まだ呪いは残っているが最悪の事態は免れそうだ。

 そしてオスカリの隣で呆けたような顔をしているアーネストと目があった。

 

「あっ、リ、リアーナ、その、とても…綺麗だ」

 

 それだけいうと目をそらし顔を赤くした。

 

 そんな態度を取られたらこっちまで恥ずかしくなっちゃうよ。

 

 私は羞恥を隠すように話をふった。

 

「兄様も一緒に帰国されるのでしょう?」

 

 オスカリはグイッと酒を煽ると首を振った。

 

「いや、オレはまだ帰らん。フルールに用を押し付けられた」

 

 私が着替えている間に宿へ届いていた知らせで、またどこかへ向かうようだ。フルールからということは私関連なのだろう。

 

「お疲れでしょうけど宜しくお願いします」

 

「いや、退屈しなくていい。それにお前についたおかげで毎年『シャービンデイル』が届くようにしてもらったんだ」

 

 バルバロディア領特産の人気ワインでオスカリを釣るなんて、母上もやるな。まぁ、それだけじゃないだろうけど。

 

「オスカリ殿下はサムエウ殿下と仲が良かったですからね」

 

 ゴドウィンが気遣わしげに言う。急逝したサムエウと仲が良かったとは知らなかった。きっと騎士団で一緒になっていたのだろう。

 

「そうだったのですか。私は年が離れておりましたのでそこまで親しく出来なかったのですが」

 

 結びつきが強いとは言えない十人の兄妹だと思っていたがサムエウとオスカリは違ったようだ。

 

「兄上は弟妹たちを気にしておいでだった。だが人数が多い上にそれぞれの王妃の目論見が邪魔して思うように接することが出来ずにいたがな。リアーナは結構お気に入りだったぞ」

 

「そうだったのですか……」

 

 幼い頃は滅多に会えず、騎士コースに入ったばかりの頃に少しは関わりを持ったがそこまで気にしてくれているとは思っていなかった。

 

「それでリアーナについたのですか」

 

 アーネストが腑に落ちたという感じで言った。オスカリが何故私についたか不思議に思っていたのだろう。

 

「イスラは可愛気がないしな」

 

 兄妹の中でも美しく賢いイスラだが、サムエウが亡くなって直ぐに王位継承に名乗りをあげたため少し冷たい感じがするのかもしれない。

 だけど、イーデンバッシュ国ではなんだか私を庇うよう発言をしてくれていたようだ。何か裏があるのかもしれないが少し嬉しくもあった。

 

「あ、お前はイスラ派だったな。告げ口するなよ、アイツはねちっこそうだ」

 

 オスカリがアーネストに意地悪そうな顔でいった。

 

「そんな事はしませんよ、それにイスラ殿下は立派な方です、次代の王に相応しい」

 

 そう言い返してからハッとして私を見た。

 

「リアーナが立派でないとかそういう意味ではないんだ」

 

「別になんとも思ってない。アーネストが私が王位につくことに反対してるのは最初からわかってるから」

 

 私は傷ついてないふりをしてオスカリの横に座った。

 イスラを褒めることが私を貶める事ではないけれど、お前では駄目だと突きつけられた感じがする。

 私の大猿の呪いが王しか入れない宝物庫にある『賢者の石』でしか解けない事は伝えてあるがそれでもアーネストがイスラ側なのは変わらなかった。

 だけど婚約者の私より、領地と家族を取った事は責められない。婚約は家族と違い解消すれば何の関係もなくなる。お互い貴族同士だ、家の為に婚約が解消される、そんな事はよくある話だ。

 

 オスカリは次の朝には出発した。私達もゆっくりとでも帰国の途につかなくてはいけない。まして当初の予定をかなり変更したであろうアーネストは急いで帰りたいだろう。

 

 オスカリを見送り部屋へ戻ると、ゴドウィンとエミリオが帰り支度のために買い出しに行き、ローラは荷物の整理を始めたためアーネストと二人きりになった。これってわざとだろうか?

 

 なんだか気まずくて静かに向かい合ってお茶を飲んでいた。

 

「アーネストは、早く帰らなくて大丈夫なの?」

 

 イーデンバッシュから私を追いかけて来て、そのまま二匹のオロギラス討伐に巻き込まれかなりの時間を要した。

 

「あぁ……さっき連絡しておいた。すまない、私はこの後ひと足先に帰国する。君は体調を考えてゆっくり帰るといい」

 

 この街から馬で一日走れば転移装置がある街につく。私達は馬車で向かうためもう数日かかるだろう。

 

「わかりました、お気をつけて。それから、本当にありがとうございました。オロギラス討伐に力を貸してくださって」

 

 本心から礼を言った。

 

 

 

 

 

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