表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蛇の呪いをかけられたので解呪の為に全力で王位を目指します  作者: 蜜柑缶


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/108

15 オロギラス 一匹目5

 エミリオが時々明かりの魔術具を投げてはこれから向かう先を明かるくし安全を確保する。洞窟内はここにたどり着くまでに歩いてきた道よりなだらかで歩きやすく割といいペースで奥へとどんどん進んでいった。

 静かに足を進めていたが奥に行くにつれ洞窟内の温度が上がってきた気がする。

 

「暑い……」

 

 額の汗を拭いながら水筒の水を飲んだ。

 

炎蛇(えんだ)が興奮しているのかもしれませんね」

 

 エミリオが静かに言う。

 

「当然むこうも俺達が近づいている事に気づいてるだろうからな。姫様、そろそろ覚悟決めろよ」

 

「覚悟って、オロギラスと戦う事か大猿になることかどっちよ」

 

 ゴドウィンがおもむろに剣を抜くとギラッと目を光らせた。

 

「勿論どっちもだ!!」

 

「来ましたよ!」

 

 二人が同時に叫ぶと突然洞窟の壁側からオロギラスの巨大な頭が現れ一直線にこちらへ突っ込んできた。出っ張りが陰になっていたのか気づかなかった。

 エミリオが咄嗟に魔術で大きな壁の盾を作り、ゴドウィンが私を抱え素早く後ろに飛んだ。

 一瞬のことだったがオロギラスを見てしまった私は全身に寒気が走りキィーンと割れそうなほど頭が痛くなった。

 

「ぐぅっ!!」

 

 うめき声をあげて身を縮めるとゴドウィンが私から手を離し気が遠くなり何も分からなくなった。

 

 

 

 ドォーンと大きな音がして目を開いたが頭の中に霧がかかったようで何だかハッキリしない。

 

「姫様!しっかりしてください!!」

 

 エミリオの叫ぶ声がくぐもったように聞こえる。むくりと起き上がると目の前でゴドウィンが巨大なオロギラスに弾き飛ばされているところだった。

 

 ゴドウィン危ない!!

 

 とっさに飛び出し手を伸ばすと洞窟の壁に激突仕掛けた彼の体を手で受け止めた。

 

「ぐっ、痛……くないか」

 

 壁にぶつかるよりマシだったのか手の中のゴドウィンが驚いた顔で見上げてきた。

 

 ハハッ、間抜けな顔だ。

 

「やっと起きたのか姫様。早くアレを倒さないと帰れないぞ」

 

 顎で示された方を見るとオロギラスが「シャァーー!」っと威嚇音を響かせ口を開き二股に分かれた舌を出した。

 

 気持ち悪っ!

 

 ぞっとして手元にあった石を拾うと投げつけた。それは上手くオロギラスの頭部に命中しグラリと倒れそうになった。

 

「今です!」

 

 エミリオが魔術でオロギラスの長い体の中程の一部を土の魔術で覆って固め動きを止めるとそこへゴドウィンが斬り込んだ。

 剣が蛇の体に深く刺さりそのまま切り裂こうと力を込めてたようだが激しく体をうねらせ振り払われそうになっている。このままじゃまたゴドウィンがまた弾き飛ばされてしまうと思い、私も向かって行くとオロギラスが私に気づき口を開いて噛みつこうと突っ込んできた。

 

「姫様避けてください!毒があります!!」

 

 エミリオが魔術の(つぶて)で頭部を攻撃しながら叫んだ。それでうまく方向をそらされた毒牙を避けて頭を抱え込み地面におさえつけた。

 

「シャァーー!!」

 

 オロギラスがまた威嚇音を出し、同時に炎を吐いた。

 

 熱い!!

 

 炎を吐いた方向には誰もいなかった為、直撃は避けられたがそれでも恐ろしいほどの高温と衝撃が洞窟内に溢れ地面が黒く焼け焦げ押さえ込んでいた私の顔も熱くなる。

 

「姫様!!」

 

 炎が収まるとエミリオが叫びながら私に魔術具を使い水を浴びせた。高温で焼かれた洞窟内からジュッと音がすると湯気が立ちのぼり視界を遮った。

 必死過ぎて無意識だったがそれでも私はオロギラスを離していなかった。奴は藻掻くように体をうねらせ暴れまわり噛みつこうとするが頭部をガッチリ押さえ込んだ私にその牙は届かない。どうやら一度炎吐けば直ぐに次は吐けないようだ。

 

 へ〜、けっこうチョロいんじゃない?

 

 思ったより上手く行ってる気がして気分がいい。

 

「気をつけろ!!」

 

 暴れたひょうしに刺さっていた剣が外れてしまったのかいつの間にか少し離れたところにゴドウィンの姿が見えた。

 血だらけで少し焦げてる。気をつけるのはお前の方だろうと思っていると魔術で固められたところが砕けたのかオロギラスが突然回転してその長い胴をズルリと巻き付けてきた。体を這う蛇の感触が気持ち悪くて手を離そうとしたが間に合わずそのまま締め付けられる。

 

 やだキモい!!

 

 藻掻いて外そうとするが外れず助けてもらおうと二人を探すと目の前でまさにこちらを見ていた。

 

 ちょっと見てないで早くどうにかしてよ!

 

 睨みつけるとエミリオが私に可哀想な子を見る目をし、ゴドウィンがギラついた目をしてる。

 

「もう少しのご辛抱ですよ」

 

 エミリオは魔術を操り私をオロギラスごと覆い固め動けなくした。

 

 なになになになに?!助けるんじゃないの?

 

 驚いて叫んだがどこかで「ギャー」と猿が鳴くような声がする。これってもしかしなくても私から出てる声?

 

「ギャーギャー喚くな、すぐ楽にしてやる!!」

 

 ゴドウィンが自慢の剣『魔獣殺しビルギスタ』を握りしめ叫びながら私に向かって剣を振り下ろしてきた。

 

 イヤァーー!止めて!

 

 このままじゃ殺されると思い体に力を込めて思いっきり暴れようとしたが上手く動けない。ガキーンと剣が岩を弾く音が耳元で聞こえゴドウィンが仕留めそこなった事に舌打ちした。

 

「チッ、動くんじゃない!狙いが外れる!」

 

 再び私に剣を向けてくる。

 

 嫌だって言ってんのがわかんないの!!護衛のクセに私を殺そうとするなんてありえないって!


 今度こそエミリオの土の魔術で固められていた体で必死に暴れるとそれは砕け散った。

 ゴドウィンの攻撃から逃れようと、まだ私を締めつけているオロギラスごと地面を転がる。

 

「クソッ、逃げるな!」

 

 逃げるわ、馬鹿ゴドウィン!

 

 転がり続けて逃げていると急に転がる勢いが増した。どうやらうっかり暗がりに入り込み、見えていなかったがそこが下り坂だったせいで今度は意志とは関係なくゴロゴロ転がり落ちていく。

 

 わわわわ、目が回る〜。

 

 オロギラスに自由を奪われているため転がる体を止めることが出来ない。オロギラスも私と一緒に転がり落ちていたが決してなだらかでない下り坂の出っ張りでバウンドすると地面に叩きつけられ思いっきり頭を打ち付けた。その衝撃は私に巻き付いていたオロギラスの方が大きかったようでズルリと締め付けが解かれた。何とか体を起こしその場に座るとクラクラする頭を押えた。

 

「今度こそ殺ってやる!!」

 

 ゴドウィンの叫びが聞こえたかと思うと目の前にダラリと横たわっていたオロギラスに剣が振り下ろされた。ザックリと胴に剣が突き刺さりそれを横にどんどん体を引き裂かれ、オロギラスは体の中身を撒き散らしながらうねっていたが最期にザックリと頭部を切り落とされた。

 気持ち悪かったが動かなくなるのを確認してホッと息を吐いた。まだ頭は痛いが兎に角オロギラスは死んだようだ。

 

 ……それで、どうするんだっけ?

 

 見ると剣を持ったままのゴドウィンがオロギラスの絶命を突いて確認した後、私を振り返った。

 彼が持ってきたのか暗かった坂の下に幾つか明かりの魔石が落ちていて周辺を明るくし返り血をべっとりと浴びたゴドウィンがこちらを見ていた。

 

 え……やな感じがするんだけど。

 

 そこへ坂の上からエミリオが駆け下りながら叫んだ。

 

「二人共無事ですか?」

 

 声のする方へ反射的に顔を向けエミリオを見上げた。一瞬ホッとした彼の顔がピクリと引きつった。その視線は私から横へ動いた為つられて見ると飛びかかってきたゴドウィンと目があった。

 

 うぎゃー殺されるーー!!

 

 慌てて手で振り払うとゴドウィンは壁にぶつかったがすぐにまたこちらへ向かって来る。

 

「いいから大人しく殴らせろ!」

 

 そんなの嫌に決まってる!

 

 ゴドウィンに背を向け坂を上がって逃げようとすると上からエミリオが下りてくる。

 

 エミリオは私を殴ったりしないよね?

 

 探るように見ると彼は申し訳なさそうに懐から魔術具を取り出すと私に向けてきた。

 

「姫様、少し我慢してください」

 

 だから嫌だって言ってんの!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ