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曖昧km-キロメートル-

作者:

「雄!雄哉!おきなさいよね!」

俺の名前は、

「あー・・?っるせえな、今起きるっての」

佐々雄哉。

「何よ!起こしてあげてるのに!ご飯できてるから!」


俺には一つ上の姉貴がいる。佐々夕菜。

俺は中学2年。あいつは3年だ。

毎朝毎朝、うるさいほど高い声で起こしてくる。

うちの家は親が海外で仕事をしているせいでほぼ俺達は二人暮らし状態。


「ほら!雄哉!超いい天気だよ!」


「あっちーなあ・・・」



毎朝一緒に登校している。

周りは俺達をすげえ仲良し姉弟だと思ってるけど、実はそうでもない。



「おっはよおお!雄哉!!」


「おお、真美。元気だな」

「雄也ー、いつ遊んでくれんのおー?」

「おはよお雄!」

「亜樹じゃん。っよ。」

「雄は悪い男よねー両手に花と思いなさいよお?あはは」

「お前等がついてきてんだろ?クスクス」


「雄哉・・あたし先いくから。」


「お、おう」



「お姉ちゃんだよね?あれ。」

「なんでいつも朝一緒にいってんの?」

「べったりじゃーん!あたしらといこうよお」


「結果的に一緒いってんだろ」


「そうだけどおー」

「あたしらもかまってよお」



俺の周りは女だらけ。別に執着心なんてない。

そんな奴等は興味の一つもわかない。

ベタベタしてくるのはうざいけど

あえて離しもしなかった。

これで、あいつが何か思っていてくれれば・・

嫌がってくれれば・・・




───────────────────・・・



「ねえ雄哉ー!お姉ちゃんきてるよおー?」

「やっだあー教室にまでくんのー?」

「雄哉がすきなんじゃないのー?ハハハ」


「うっせえよ」




「何?」

「あ、ごめんね。あのさ、体操服、上だけでいいから貸して?忘れちゃって・・」

「またかよ。ほんと馬鹿だな。」

「うぅ・・」



「はい、家で返してくれればいいから。」

「あ、うん。わかった、ありがとう!」





─────────────────────・・・


「ねえ雄哉。なんだったの?」

「体操服わたしたねえー?」

「お姉ちゃん!忘れ物かあ!」

「違うクラスの子とかに借りればいいのにね」

「だよねだよね」


「っせえよ。」


「え?」

「なに、雄哉?」

「なんていった?」


「うるせえっていってんだろおが。別に忘れ物くらいお前等もするだろ。

それに姉弟なんだからそんくらいいいだろ。ぐちゃぐちゃうるせえよ。」


「そ、そうだよね」

「ごめんごめん」

「雄哉おこんないでー」


「別に・・怒ってねえよ」


「雄哉ー!遊んでよねえ」

「あたしもおぉ!」

「今日あたしの家きてよお!ね!」

「あーずるうい!」

「いいなああ」


こんなのばっかり。

クズみたいな女。いらない。

あいつはこんなんとは比べ物にならないくらい。

可愛い。綺麗。

勉強するとかいって机向かっても寝てしまうあの馬鹿っぷりも。

どんなつらいことしてても笑ってるあの強さも。

負けず嫌いで泣いたりしないなんていって、一人部屋でないてる儚さも。

全部。全部。

こいつらにはないもの。

あいつのいいところなんて誰にもわからない。

簡単に分かられたくない。

俺の、俺のものなのに。

ずっと傍にいたのは俺なのに。

どうして、どうして俺じゃないんだ。



「俺、今日お前ん家行くわ」


「えっまじで?」

「ちょお、ずるいよお!」

「あたしもいきたい!」

「やだ!こないでよお!」

「えぇ〜」




「泊まっていいの?」



「「「え・・・・!」」」


「とまってくれんの!?やったあああ!」

「ちょ、まじでずるいんですけどー!」

「あたしもいきたいよおお!」


「一回家帰ったらお前ん家いくから。な。」


「わかったー!」



─────────────────────・・・


「ただいま!」

「あ、おかえり!雄哉!今日のごはんね、おむr」

「今日いらねえ」

「え、どうして?」

「泊まりにいくから」

「・・女の子?」

「だったら何」

「何するの?」

「・・・」

「ねえ、ってば・・」

「言わせたいの?その言葉」

「いや、ううん。ごめんね。気をつけてね。」

「用意したらいくから。じゃあな。」

「うん。・・・いってらっしゃい」


──────────────────・・

俺は部屋に入った瞬間に苛立ちがこみ上げた。

バンッ

鞄をベットに叩きつけ、闇を振り払った。

自分の言動、行動。全てがあいつを傷つける。

もっと優しくいってやればいいのに。


でも、嫌なことは止まずに落ちてくる。


ガチャッ───



部屋をでると玉葱の匂いがした。

オムライスだ。

俺の好きなもの・・・

胸が苦しくなった。

俺は自分がむかついてしょうがなかった。


「おい」

「あ、なあに?」

「お前今日、家教じゃないの?」

「ああ、そう!家庭教師の日だよ」

「あいつくるのか」

「先生のことあいつなんていっちゃだめ!戒くんはそんな悪い人じゃないんだから!」

「先生の名前、くん付けで呼んでんじゃねえよ」

「あ、だ、だって・・」

「どうでもいいけど」

「・・・・・」

俺は、

「せいぜい」

やっぱり、

「戒とかいうやつと」

最低だ。

「仲良く二人でお勉強しろよ。色々と。じゃあな」


「ちょっと!そんなんじゃないよ!雄哉!・・ばかあ!」


バタンッ───


「はぁ・・」


俺はなんでこんなひどい人間なんだろう。

思ってることもいえなくて。

本当の気持ちからも逃げて。

傷つけて。苦しめて。困らせて。

何がしたいんだよ───・・・





ピンポーン...


「はああい!雄哉!いらっしゃいっ」


「おう」


「ねえ雄哉、ごはんたべた?」


「いや、食ってない」


「作ったの!オムライス!」


「・・・・食うよ」


「ほんと!?待ってね、用意する」


なんでよりによってオムライス・・・


「はいっどーぞ!」


「・・いただきます」


ぱく・・・

もぐもぐも・・・


「・・がう・・こんなんじゃねえ・・」


「え、何?」


「あ、いやなんでもねえ。うまいよ。」


こんなんじゃねえ。まずいわけじゃない。

でも、あいつのはこんなに、こんなに

冷たくない。あいつのはもっともっと

あったかいもんがつまってて、笑顔になれて

誰にもまけないくらいのがんばりがこもってんだ。


俺はあつあつのオムライスをみて、また胸が苦しくなった。


食べ終えた後、俺は何もかも忘れたくなった。


「シャワー貸して」


「え・・うんっ!こっちだよ」


「おう」


もう、何もかも壊れてしまえ。


「ここにバスタオルおいとくね」


もう、何もかも忘れてしまえ。


「おう。」


もう、何もかも消えてしまえ。


「じゃあ、待ってるね」


俺はどうして


「おう」


俺に生まれたんだろう。




───────────────・・・


「雄哉・・・」

「いいよ」

「うん・・」

「おいで」



俺はベットですべてに傷をつけた。

何度も。何度も。

この気持ちにも。この体にも。

ありったけの偽りの愛で。






もう忘れよう。



───────────────────────・・・









ピンポーン...



「はいっ!あ、先生」


「先生じゃなくて、名前で呼んではくれないの?クスクス」


「あ、うん・・戒くんっ・・えへへ」


「夕菜は可愛いな、よし、今日は数学だ」


「先生、ほんと教えるの上手だよね!分かりやすいです!」


「なあ夕菜?」


「なあに先生・・?」


「今日は、違うことしようか」


「え?違うこと?」


「机じゃなくて。ベッドで。」


「え、先生・・何いってるの・・?」


「嫌なのか?」


「嫌じゃ・・ないです・・」


私は震える手を握り締めた。



────────────────────────・・・・



「あっ・・雄哉・・・!」


「・・・っ」


「や・・ん・・」



ドクンッ───



「・・・どうしたの?雄哉・・?」


「なんだ・・・」


「ねえ、どうしたのゆ・・」


「帰るわ」


「え、ちょっとまってよ!ねえ雄哉!」


「わりいな」


俺はシャツを拾い走りだした。

何か、違和感を感じた。

家に戻らなきゃいけない気がした。

夕菜───・・・?



走っている間も俺はそのことばかり考えていた。

俺は、昔からあいつをみてきた。

ずっと傍で、一番近くで。

あいつが始めて恋をしたのは小6。

クラスの一人の男子の名前を話にだすようになった。

次は中1の終わり。

バスケ部の先輩が好きといっていた。

俺ははやく中学生にならなければって焦ってたっけ。

中2の夏。自分の部屋で泣いているあいつが

友達の気持ちを曲げるなんてするくらいなら

悲しい選択をしたほうがいいってときもあるよねって

潤んだ瞳で俺を見た。

きっと友達と同じ人を好きになったんだろう。

そんなあいつをみてきた。みんなのしらないあいつを

俺はずっとみてきた。誰よりも。どんなときも。









この世界の中で一番好きだから───────────────










ガチャ───ッ


先生の靴がある。


「夕菜・・・?」



俺は夕菜の部屋の前で立ち止まった。



─ ─ ─ 先生、やっぱりだめです。あたし、こんなの・・


─ ─ ─俺が好きなんじゃないのか?


─ ─ ─ そ、そうですけど・・でも・・・・やっぱだめ・・やっ・・


─ ─ ─大丈夫だよ・・


─ ─ ─ちょ、やだ・・先生やめて・・やめてぇ・・やだぁ・・いやぁ・・やめ・・て!


─ ─ ─逃げるなよ


─ ─ ─いや・・やめて・・お願い先生・・やめてぇぇ・・いやだあ・・


「・・ざけんなよ」


バンッ───


「好きな女の気持ちもわかんねえで何やってんだてめえ!」


「っ・・雄!?」


「なんだお前。あぁ、弟か?ハッ、子供が何いってんだか。夕菜は俺が好きなんだよ?」


「お前それでも大人か。中身はただのガキかよ、なあ先生?」


「本物のガキがくだらないこというなよ。」


ガシッ


「・・・っ離せ!」


「先生やめて!雄哉を傷つけたら許さない!」


「ハハハ。姉貴に守られていい身分だな、弟」


「お前ふざけんのもいい加減にしろよ。夕菜に手だすな、消えろ」


「まあいい、もうお前等に用はない。じゃあな。」


「先生!あたしのこと好きっていってくれたの、本当の気持ちですよね!?」


「・・・・ハァ?笑わせないでくれ」


「そんな・・・・」



バタンッ───


「最低なやつだな・・」


「ねえ雄哉・・」


「ん?」


「あたし、なんでこんなにツいてないのかな・・えへへ」


「馬鹿。笑うな。一人にしてごめんな」


「いいよ。雄哉、守ってくれてありがとうね。」


「嫌なことは嫌っていわなきゃだめだぞ」


「こ、こわかった・・」


「姉貴のあほ。おいで。」


そういって抱きしめた。

力強く、優しく。


「ねえ雄」


「何?」


「こんな仲良しな姉弟はおかしいの?雄哉は嫌?」


「いいや。俺は、お前が好きだからいいよ。姉貴は嫌なのか?」


「嫌じゃないよ!でもなんか、わかんないの。」


「何が?」


「雄哉が他の女の子と、話したり仲良くしてるの、見てられないの」


「ここが苦しいですか」


そうやって姉貴の胸に手を当てた。


「やだ、何処触ってるのっ・・」


「どうなの?」


「そ、そうです。そこが苦しいです」


「恋ですか?」


「そうなの・・かもしれません」


「何?はっきりいえよ」


「そ、そうです。好きです。弟くん。」


「そうですか。お姉ちゃん」


「その呼び方久々だね。」


「小4で止めたからな。」


「さっき名前で呼んでくれて、嬉しかったよ」


「ああ、つい。」


「あたしの弟って超生意気。」


「俺の姉貴って超馬鹿。」


「うるさいっ」


「でも、超可愛いよ」


「雄哉も、超かっこいいよ」


「この会話馬鹿すぎるんですけど」


「そうかな?とっても素敵だと思うけど」


「いつまでこの状態でいるの?熱くね?」


「もうちょっと。もうちょっとだけ。ぎゅってしててよ」


「はいはい。」
















父さん、母さん。俺が大人になったら、姉貴を俺にください。










どうでしたか?

やっぱ禁断に弱いっす、。あたし。

誤字脱字すんまそん。

姉弟は兄妹よりもきゅんきゅんさせるものが

ありますよね!姉のしっかり部分と

ドジ部分の加減が難しい!

楽しんでいただけたでしょうか?

最後まで読んでいただきありがとうでした!

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