空と登校したあの日の朝
ーー2059年四月一日ーー
目覚まし時計の音が部屋に響き渡る。
カーテンの隙間から太陽の光が自分の顔を照らしている。
「ま、眩しい」
私は目を腕で隠した。
そして体を起こしながらあくびをした。
「今日から新学期か」
私、七瀬葵は今年から高校2年生だ。
高校に遅れないように身支度と食事をして、ある人の家に向かった。
「早く行かなきゃ」
綺麗な長い髪、スカートを靡かせ走りながら呟いた。
私が信号待ちをしていると、
「何あの車、デカすぎるでしょ」
私の目に映ったのは、二階建車両のような黒い車だ。
その黒い車は高校の方に向かっているようだ。
私は高校で何かあるのかと疑問に思いながら走りだした。
走っているうちに目的のある人の家が見えた。
ある人は玄関のドアを開けて目を細めながら太陽を見ているようだ。
「おっはよー!空」
元気な声で幼なじみの蒼山空に向かって挨拶をした。
「お、おはよう...葵」
何故か空は声を小さくして私に挨拶をした。
その姿は女の子に急に話しかけられ、恥ずかしがっている姿だ。
「どうしたの空?もしかして、私の制服姿に見惚れた?」
私は空をからかうように質問した。
「べ、別に見惚れてないし」
空は顔を赤くして答えた。
「そんなこと言ってないで学校にいくぞ」
空は見惚れていたことを隠すように私の手をとり学校に向かった。
空に手を握られ私は一瞬心がドキッとした。
そして心がドキッとしたことを隠すように、
「ほら、やっぱり見惚れてんじゃん...」
私はボソッと僕に聞こえないぐらいの声で言った。
そして私たちは学校に向けて走り出した。
「空ー、今日学校に向かってく変な黒い車を見たんだよね」
私は走りながら空に言った。
「なんかいったかー」
走りながら話をしているので声が聞き取りにくい。
もう一度言おうとしたが学校に着いてしまった。
「すまん、その話は学校が終わってからでいいか」
空は流されるがままに、クラス発表をしている場所に行ってしまった。
学校に着くとクラスが発表されていた。
私たちが通う高校、異能力育成高校。
異能力を教育する高校のトップだ。
そのクラスは1組から5組まであり、一クラス30人で構成されている。
クラスは能力の強さによって決まる。
1組が優秀生の集まりであり5組が劣等生の集まりである。
能力の判断基準は1年生は入学の時の筆記試験、実技試験によって決まる。
2年生は3月中の能力テストによって決まる。
これも同様筆記試験、実技試験がある。
「良かったな葵、1組じゃん」
「空はまた5組...」
私は不満げに言った。
「空は筆記試験いつも満点だから1組でもいいのに...」
私はまた不満げに言った。
「しょうがないだろ、俺は...」
「異能力を持って無いんだから」
空は自分が5組で当然のように言った。
私の異能力は...
と、心の中で呟いた。
私は自分の異能力をまだ誰にも言っていない。
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