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君を救うために僕は何度でも立ち上がる  作者: ウール
第一章 最初の分岐点
6/12

契約


ーー2059年四月二日ーー

 この世界に来てから1日が経った。

 一日この世界で過ごして、今までの世界と違う点がある。

 それは喉が渇いたり、空腹状態にならないことだ。

 昨日の、爪を刃の様にする異能力者との戦いで体力を消費していたが、喉の渇きが無かった。

 やはりこの世界はおかしい。

 だが暑いや寒いと感じるし、痛いや眠いなど普段の人間の感覚はあるようだ。

 そして昨日には無かった腕時計が、起きたら装着されていた。

 この腕時計を見てみると、多くの機能があった。


「これは、」


 腕時計をタップしてみると、この世界の地図と思われる物が映し出された。

 この地図は自分の位置がピンで示されていて、今何処にいるのか分かるようだ。

 そしてこの世界は様々な地形があるらしい。

 例えば今自分がいる草原エリア、他にも山岳エリア、森林エリア、海エリア、砂漠エリア、豪雪エリア、火山エリアなどいろいろなエリアがある。

 さらに地図の中央に?で書かれたエリアがある。


「これじゃあ葵を探すのは簡単じゃないな」


 この地図は残念ながら自分の位置しか分からない。

 まぁ逆にそれがいいのかも知れない。

 全員に自分の位置が分かれば、殺しにくる奴も沢山いるだろう。


 ビビー


 腕時計が急に鳴り出した。

 確認するとメールが来ていた。


 ーーよくぞ一日を凌ぎ切ったなヘブンズたちよ。

 今は一日を凌ぎ切って一安心しているだろう。

 だが、これからはそんな余裕がなくなるぞ。


 メールを見てる途中、急に映像に切り替わった。

 勿論映っていたのは最初に出てきた男だ。


「急に映像に切り替わって驚いただろ。ならばもっと驚くことを今からしてやろう」


 次の瞬間後ろで歪な音がした。

 後ろを振り返ると巨大なモンスターが出現していた。

 そのモンスターはよくゲームで見るゴブリンのような見た目をしている。


「なんだこれ...」


 僕は驚きながら呟いた。

 すると、


「はっはー、驚いたか。今からは人だけではなくモンスターにも戦ってもらう。ヘブンズよ!最後の一人になり私たちの研究材料になりたまえ!」


 その瞬間映像は一瞬にして切れた。


「嘘だろ、どうやって倒せばいいんだ」


 このゴブリン、棘のついたバットを持っていて、もし自分に当たったら死んでしまうだろう。

 この体勢では逃げようとしてもバットが、先に自分の体に当たってしまう。

 そう考えているうちにゴブリンがバットを振りかざしてきた。

 やばい、これは死ぬやつだ。

 僕はそう悟った。

 だが僕の頭に一つの情景が映し出された。

 その情景は、この世界に来る前に葵と約束をした時の物だった。


「こんなところで、死ねるかよー!」


 そう言った瞬間、


「ーー力が欲しいか?」


 僕の頭の中に女の子の声が聞こえてきた。

 その声はとても綺麗でその反面不気味な感じでもあった。

 そして気づいたら、謎の空間に僕はいた。

 大きな門以外一面何もないただの空間。

 僕の目の前に小さな紫色の髪の可愛らしい女の子がいた。


「だ、誰だ?」


 僕は怯えながら言った。

 すると、


「僕は悪魔だよ。蒼山空」


「悪魔?」


「そう、僕は君が呼び出した悪魔だよ」


「呼び出しただと」


「君、力が欲しいと願ったでしょ。それで僕が出てきたわけ」


 女の子は平然と言う。


「悪魔なんて呼び出すことが可能なのか」


 僕は怪しげながら言った。

 女の子の言っていることがあまり理解出来ない。


「君は異能力を持っていないんだろ。だから僕が力をあげるよ。君には絶対になすべき事があるんでしょ」


「どうやって?」


 僕が質問をすると女の子が近寄って来て、おでこ同士をぶつけた。

 その瞬間、様々な情景が流れて来た。

 この謎の空間に血塗れの剣が沢山突き刺さっている情景。

 そして、沢山の悲鳴が聞こえてきた。


「どうだい?この力は」


「今のは...」


「今のは君がたどる険しい道のりだ。この力を手にしたら君の目的を達成するためには今のような事が起こるんだよ。それでも君は力が欲しいかい?」


 女の子は選択を迫ってきた。

 だが迫られる必要は無い。

 何故なら僕の心はもう答えをだしている。


「もちろんだ。葵を救うためならお前と契約する」


「そう。じゃあ契約成立だ」


 その瞬間空間が歪み始めた。


「君が契約した力はタイムストップだ。これを使っている間は呼吸が出来ないから注意するんだよ」


 そして、女の子が背を向けて何処かに行こうとしていた。

 僕の視界はもうほぼ見えなくなっていた。


「ま、まて君の名前は?」


 女の子は立ち止まり振り返ると、


「僕の名前はリープ」


 その瞬間目の前が真っ暗になり、徐々に視界が戻った。

 視界が戻るとゴブリンがバットを振りかざしていた。

 そして大きく息を吸い込む。


ーータイムストップ


 その瞬間呼吸が出来なくなり周りが一時停止したみたいになった。

 そしてゴブリンのバットを奪い、振りかざす準備をした。

 ゴブリンのバットは両手で持つのに一苦労だ。


ーー解除


「おらー!」


 両手で大きいバットを振った。

 そして動き出したゴブリンをバットで殴り倒すことに成功した。


「はぁ、はぁ...」


「この力なら葵を助けにいける」


 僕はこの日悪魔と契約した。


 

 

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