タイムリープ
またここに来てしまった。
てか、なんでここにいるのか分からない。
ついさっきまで血を流して死にそうだったのに。
どういうことなのか。
周りを見渡すと大きな門があった。
その扉の前には一人の少女がいた。
「リープなのか。君がこの世界に僕を連れ出してくれたのか」
「そうだよ。久しぶり空」
「う、うわぁー!」
僕はいきなり後ろから聞こえてきた声にびっくりした。
いや、おかしいだろう。
さっきまで門の前にいたのに、いきなり後ろにいるなんて。
「おいリープ。さっきまで死にかけだったのに僕はなんでここにいるんだ」
「そんなの決まってるじゃないか。空が力が欲しいと願ったからだよ」
いやいや、力を欲したからってなんでここに来るのか意味が分からないんですけど。
僕が納得いってない様子を見ると、
「空。このままじゃ死んじゃうよ。約束を守れなくていいの」
僕に向かって選択を迫ってきた。
「でも、呼吸が出来ないならもう戦えない」
「そのために僕がいるんじゃない」
リープは自信満々で答えた。
そんなに自信があるのか。
「本当に力をくれるのか」
「うん。君にこの力を上げよう」
その瞬間僕の唇に何か柔らかいものが当たった。
感じた事のない感触だった。
「な、な、な、何やってんだー!」
「ふふふ。君の唇美味しいね」
「か、からかうな!」
次の瞬間、
「ぐ、ぐはぁー!」
何かが体を貫通した。
剣のようなものだ。
「り、リープこれはどういうことだ...」
何が起きているのかさっぱりだ。
マジで痛い。
まさかこんな痛みを二度も体験するとは。
「これは契約だからね。君には耐え抜いてもらう」
リープは真っ直ぐな目で僕を見る。
見てないで剣を抜いてくれ。
マジで死にそうだから。
「上を見てごらん。あの大きな時計。あれから剣が君に向かって降ってくる」
「な、なんでだよ。僕は何もしてないぞ」
リープ、君は何を言っているんだ。
契約だって一体何を契約したって言うんだよ。
「君が契約した力はタイムリープ。名の通り時を遡ってやり直すことが出来るんだ。けどこの力は強大過ぎるから毎回タイムリープをする際に、剣が君に突き刺さるようになっているんだ。これが契約の代償だ」
マジかよそんなものを契約してしまったのか。
でもこの痛みを乗り越えれば何度でも葵を救うことが出来る。
覚悟は決まっている。
「タイムリープするためには門に行くんだよ」
僕は歩き始めた。
剣が突き刺さったまま、血を流しながら進む。
決して諦めない。
そして門の前に立ち叫ぶ。
ーータイムリープ
その瞬間扉が開き中に吸い込まれる感覚になった。
「空。これから君が進む険しい道のりが楽しみだよ。僕にしっかりと見せてね」
葵、絶対に諦めない。
君を救うために僕は何度でも立ち上がる。
第一章完です。第二章もよろしくお願いします。