九 龍(カウロン)Re Write
2006年にファーストアップをしてから15年が経っていたのですね…
理由あって李氏の作品を引き継ぐことになりました!素敵なサイトにアップされていたので
このままRe Writeさせて頂く形が良いと判断しました。扉絵は、李氏が制作した切り絵です。タイトルも『九龍』です。
ー 九 龍 ー
果てしなき大陸の奥深く。
山河に囲まれし奥間の、四川の更に奥深い、人里離れた社を守りしひとりの巫女。
食するものは、緑あふれた山の山菜を。
飲むものは、豊かに流れし河を。
社に奉られる民からの贈りものは、村を守りし龍神にと。
与えられたるは全て天地の恵み、龍神が与えたもうもの。
民の中に生まれ、いつしか龍神の為に全てを捧げていた巫女。
龍神もまた、巫女が側に居るからこそ恵みの雨を降らせ、温かき太陽の光を照ら
し続けていた。
平穏な日々に育まれ幾年と月日が満ちた頃、いつしか民は巫女のことも忘れ、社に
足を運ぶ事すら忘れてしまった。
巫女はひたすら待ち続けた…民の心が龍神に戻る事を。
巫女はただひたすらに願い続けていた……龍神が怒りを現さぬようにと…
…しかし、その想いは絶たれた。
雷鳴轟き山河に嵐が吹き荒れ、あらゆるものが生命の意気を絶たれた。
空は曇り、河は波打ち、作物は実を成らさず……
民の幼子は次から次へと生命を落とし、女子供は飢えを堪え、男達は今までの豊かな生活を取り戻そうと懸命に働いた。
一年…二年と……。
だが状況は改善するはずも無く、むしろ村は壊滅に瀕していた。民は龍神の怒りだと人柱を立て、龍神への捧げものとした。
巫女がいたその社から、龍神が住む『虎龍湖』を渡るその橋に。
「………」
……雷鳴は鳴りやまなかった…
むしろ更にその勢いを増し、やがて村は荒れた河に呑み込まれた。
民は必死の体で山へ登り、空が晴れる事を祈った。
幾晩、幾日が過ぎ、嵐がほんの少し静まった頃…民は生き残った者の中から、巫女
の代わりに新たな御子を選び社へ捧げた。
御子は己の命を顧みず、未だ尚荒れ狂う河へその身を投じた。
沈んだ社へ辿り着く頃、御子は先代の巫女に出遭った。
沈み来る御子。
迎える巫女…
河の流れは穏やかに、二人の遭遇を包み込む。
『額に封じられし風神の、能力を解くは龍神なり。
龍神の能力を沈めし封印は、鳳凰が持つ。
鳳凰を探せし能力を持つ御子は、
雷神の能力をも封じせし者。』
巫女の額から眩い光が溢れ、天高く延び上がって行った。
荒れ狂う河面一面が光に満ち、天空高く一筋の線を描いて延び上がって行った。
龍神の怒りが静まったと民は歓喜し、御子の帰りを待った。
しかし、幾度待てど御子は帰って来なかった。
幾日、幾月、幾年、と……………
その身を社におく事で…龍神の語り手となる為に…………
幾度となく民は天地の恵みを忘れ、その度に人柱を立て龍神の怒りを静めようとし
てきた。だが龍神は、村に恵みの光を与えるはずもなく、天地の恵みを忘れ、傲慢
になった民達の心を清貧に戻す為、龍神は幾日、幾月、幾年と待ち続けたのだ。
だが、民の心は清貧さを取り戻すこのとはなかった……
時代が流れ、村が消えてしまう頃、龍神は再び天地を荒らし天空高く舞い上がって行った。
民は恐れおののき震え上がったが、龍神は天空へ登ったまま、二度と『虎龍湖』に戻ることはなかった。
その日以来、四川に青空が見える事はなくなった。
「御子は…御子はどこに…?
あの美しき巫女も………………」
原作をほぼ変えないまま、軽く体裁を整える程度に抑えました。
アップされていた作品自体が少ないので、他作品も徐々にアップして行きたいと思います。
アップした扉絵(加工前)をInstagram:uzuki.49でも画像アップさせて頂いております。
よろしければこちらにもアクセス頂ければです^^
ありがとうございました!




