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九 龍(カウロン)Re Write

作者: 李 上龍(篠原暁)
掲載日:2021/04/07

2006年にファーストアップをしてから15年が経っていたのですね…

理由(わけ)あって李氏の作品を引き継ぐことになりました!素敵なサイトにアップされていたので

このままRe Writeさせて頂く形が良いと判断しました。扉絵は、李氏が制作した切り絵です。タイトルも『九龍』です。


          ー 九 龍 ー



挿絵(By みてみん)


果てしなき大陸の奥深く。

山河に囲まれし奥間(おくあい)の、四川の更に奥深い、人里離れた社を守りしひとりの巫女。


食するものは、緑あふれた山の山菜(めぐみ)を。

飲むものは、豊かに流れし河を。

社に奉られる民からの贈りものは、村を守りし龍神にと。

与えられたるは全て天地の恵み、龍神が与えたもうもの。


民の中に生まれ、いつしか龍神の為に全てを捧げていた巫女。

龍神もまた、巫女が側に居るからこそ恵みの雨を降らせ、温かき太陽の光を照ら

し続けていた。

平穏な日々に育まれ幾年と月日が満ちた頃、いつしか民は巫女のことも忘れ、社に

足を運ぶ事すら忘れてしまった。

巫女はひたすら待ち続けた…民の心が龍神に戻る事を。

巫女はただひたすらに願い続けていた……龍神が怒りを現さぬようにと…



…しかし、その想いは絶たれた。


雷鳴轟き山河に嵐が吹き荒れ、あらゆるものが生命の意気を絶たれた。

空は曇り、河は波打ち、作物は実を成らさず……

民の幼子は次から次へと生命を落とし、女子供は飢えを堪え、男達は今までの豊かな生活を取り戻そうと懸命に働いた。


一年…二年と……。


だが状況は改善するはずも無く、むしろ村は壊滅に瀕していた。民は龍神の怒りだと人柱を立て、龍神への捧げものとした。 

巫女がいたその社から、龍神が住む『虎(こ)龍(りゅう)湖(こ)』を渡るその橋に。


「………」


……雷鳴は鳴りやまなかった…


むしろ更にその勢いを増し、やがて村は荒れた河に呑み込まれた。

民は必死の体で山へ登り、空が晴れる事を祈った。


幾晩、幾日が過ぎ、嵐がほんの少し静まった頃…民は生き残った者の中から、巫女

の代わりに新たな御子を選び社へ捧げた。


御子は己の命を顧みず、未だ尚荒れ狂う河へその身を投じた。

沈んだ社へ辿り着く頃、御子は先代の巫女に出遭った。


沈み来る御子。

迎える巫女…

河の流れは穏やかに、二人の遭遇(であい)を包み込む。



『額に封じられし風神の、能力(ちから)を解(と)くは龍神なり。

 龍神の能力(ちから)を沈めし封印は、鳳凰が持つ。

 鳳凰を探せし能力(ちから)を持つ御子は、

 雷神の能力(ちから)をも封じせし者。』



巫女の額から眩い光が溢れ、天高く延び上がって行った。

荒れ狂う河面一面が光に満ち、天空高く一筋の線を描いて延び上がって行った。


龍神の怒りが静まったと民は歓喜し、御子の帰りを待った。


しかし、幾度(いくたび)待てど御子は帰って来なかった。

幾日、幾月、幾年、と……………

その身を社におく事で…龍神の語り手となる為に…………


幾度となく民は天地の恵みを忘れ、その度に人柱を立て龍神の怒りを静めようとし

てきた。だが龍神は、村に恵みの光を与えるはずもなく、天地の恵みを忘れ、傲慢

になった民達の心を清貧に戻す為、龍神は幾日、幾月、幾年と待ち続けたのだ。

だが、民の心は清貧さを取り戻すこのとはなかった……


時代(とき)が流れ、村が消えてしまう頃、龍神は再び天地を荒らし天空高く舞い上がって行った。

民は恐れおののき震え上がったが、龍神は天空へ登ったまま、二度と『虎(こ)龍(りゅう)湖(こ)』に戻ることはなかった。

その日以来、四川に青空が見える事はなくなった。




「御子は…御子はどこに…?

 あの美しき巫女も………………」





原作をほぼ変えないまま、軽く体裁を整える程度に抑えました。

アップされていた作品自体が少ないので、他作品も徐々にアップして行きたいと思います。

アップした扉絵(加工前)をInstagram:uzuki.49でも画像アップさせて頂いております。

よろしければこちらにもアクセス頂ければです^^

ありがとうございました!

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