意外と教室には隙がある
水曜日、証拠集めの終了まであとあと二日である。しかし、まだ、カメラの設置もどのような発表にするか決めていなかったため、昨日から寝ていない。久々に徹夜をしたが眠い。
カメラは四台用意出来た。どれも高性能の小型カメラだ。昨日おとんが広報課から貸してもらって持って帰ってきた。正直時間がなかったので、行動が早くて感謝しかなかった。
カメラを教室内に、設置するため俺は、始発に乗って学校に向かった。季節は秋。朝の5時台は寒い。空はまだ赤色に染まっていた。
古い青色の列車に揺られ、近くの居酒屋でさっきまで飲んでいたであろう酔っぱらいを横目に、昨日考えたことを、メモに整理した。自分の中のいじめという行動に対しての気持ちがペンに写り紙が破けた。
当たり前だが、いじめは到底許される行為ではない。その気持ちを再確認できた気がした。
畑谷駅から、朝の涼しい風を浴びながら歩き、校門の前に着いた。カメラは小型と言っても、四台もあると重い。早く教室に向かう。
昨日に担任の鳳先生に、教室を開けておいてくださいと言っておいたので、教室のカギはかかってなかった。
ガラガラと木製のドアを開け、教室に入り、自分の机にの持つを置き、カメラを設置する。
カメラを設置することを、俺と福山以外のクラスメイトは知らない、故に見えない場所に設置することが必要だ。俺は、昨日の授業中どこにカメラを設置するか決めていたので、すぐに設置することが出来た。
自分のロッカーの中、地震対策の補強部材と天井の隙間に二台、教室の端にある掃除用具入れの換気口。
四台のカメラを設置し終わると、時刻は6時になっていた。この時間になると、校長が学校に登校する。それを知っていた俺は、校長室に向かった。
校長室の前に着いたとき丁度、校長先生と会うことが出来た。
「おう、おはよう大分君」
「おはようございます」
「何か用があるのかな」
「はい、二年生生徒にこれを配布してもらいたくて」
「ん?いじめ調査書?」
「はい、いじめに対してどのような気持ちを持っているか調査するもので、来週の文化部発表会で開示します」
これは嘘だ。大体このような調査をしても建前の回答しか返ってこない。それを利用するのだ。
実際いじめをしている奴が「いじめはよくない」だとか「いじめをする意味が分からない」とか回答したら滑稽だ。多分大和も山口もその系統の回答をするだろう、それを全校生徒に開示することで、どれだけ屑か分かってもらうためだ。
「いつまでだ?」
「出来れば今日中、遅くても今週の放課後までには」
「分かった」
校長室を後に、教室へ戻り、昨日真剣に受けれていなかった、授業の復習をノートにまとめる。こういう時普通は寝たりするのだろうが、時間の無駄だ。故に俺は授業中寝たことがない。
訂正、家庭科だけは許して。
ノートをまとめ終わると、教室のドアが開いた。福山だ。
「おう」
「あっ、おはよう」
「調子はどうだ?」
「うーん、あんまり気分は良くないかな」
「まぁ、あんなことがあっからな」
「そうだね」
「正直酷かもしれんが、教室にカメラを設置したから、放課後は教室にいてくれ。絶対それ以外行くな。休み時間も自販機とかに行くな。もしそんな用事があれば俺に連絡しろ。先生に呼び出しを食らったら、俺も同行する」
「そこまでしなくてもいいんじゃ」
「相手は刃物を持ってる。遊びかもしれんが、最悪の事態も考えられる。お前の身を守るためだ。もし放課後教室で刃物で傷つけられそうになった時は、ダッシュで放送室まで来い」
「分かった。ありがとう」
「感謝は終わってからしてくれ」
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