イブからクリスマスに変わる瞬間ジャンプしたら異世界に行けるって聞いたけどマジ?
ノリです
「知ってるー?イブからクリスマスに変わる瞬間ジャンプしたら異世界に行けるんだってー」
「どこ情報だよ、それ」
「嘘に決まってんだろ?」
「良いじゃない、夢があるし」
「謙司はどう思うよ?」
「俺?そうだなぁ…」
俺は少し考えた。高校二年。遊べるのは今年で最後。
それならおかしなことをやってみたい。
「実際にやってみりゃいいんじゃね?俺ら五人で」
「相変わらずだなぁお前は」
優也は苦笑した。天然パーマでお洒落な優也は、俺たちのリーダー的な存在だ。彼女もいる。また、今回のように面白い話を持ってくるのも基本優也だ。
「やだべ。めんどくさい。てかその時間はもう寝てるし」
大智は呆れたように言い放った。身長が高く野球部のエースで、かなりモテてる。ただ、大智は現実派というか、面倒臭がりというか、優也の話を適当に切ったりすることがしばしばある。それが良いところでも有るんだけと。
「とりあえずどこ情報かだけ提示しろよなぁ」
鉄朗は一人でブツブツ呟いている。ファッションに無頓着でヲタクと言われる鉄朗だが、俺たちの中でも郡を抜いて賢い。それに、地味にイケメンだ。くそ。独り言をよく言う癖があるが、元々の声が小さいのでどっちか分からないことが多い。
「それいいねぇ!賛成!」
月花は嬉しそうに叫んだ。とんでもなく美少女の月花は明るい性格で友達も多く、たまに天然だけどそれも相まって可愛い。もうほんと天使。
ちなみに俺は普通だ。特に言うこともない下らない奴だ。
「それじゃあ、謙司の意見で決定ってことで」
「決まっちまったからな。まぁ、頑張って起きてみるよ」
「ゲームしてなかったらやるわ」
「やったぁー!皆、異世界で会おう!」
「月花、まだ異世界に行けるって決まった訳じゃないぞ。俺はあくまでも実験がてらに言っただけだし」
しばらくの議論の末、実際にやることに決まった。
「ふあああ。ねみぃ」
後十分。もうすぐなのに、凄く眠たい。ゲームしすぎた。
止まらない睡魔にやられそうになりながらも無理やり耐えていた。
<ピロン>
LINEの音が鳴った。個人かららしい。誰からだ?
『後十分だねぇ✨ 絶対寝ちゃダメだよ❌』
月花からだ。彼女はウキウキ気分で待っているに違いない。
「『寝ないよ( ̄ー ̄)』っと。これでいいか。あとスタンプも」
月花からのLINEは凄く嬉しかった。
同時に、絶対寝ないという決意も出来た。
あと一分。約束の時間まであと少し。
信じてはいないものの、やはり緊張してしまう。
「残り十秒」
刻一刻と近づいてくる。1秒ずれたらどうしよう。
5秒…4…3…2…1…今だ!
俺は出来る限りのジャンプをした。
何も起こらなかった。
おしまい!
すみませんでしたぁぁぁ!、