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072話:黒炎

本日二本目です。


一時間くらい前にもう一本、投稿しています。


そちらから読んでください。

 体の中心、人なら心臓がある部分を丸ごと失ったティーンは片膝をついた。


 鎧の中は空洞だった。誰も入ってはいなかった。それなのにティーンは動き、ステラに攻撃を放つ。槍を回避したステラが俺達の後ろへと戻り、元通りの陣形を組む。


「素晴らしい。素晴らしいな……だが、この程度で私を倒せると思うな!」


 少しずつ鎧が修復されていく。救いがあるとすれば、第十層のボスのような魔力での修復が行われていないことだろう。鎧自体がまるで溶けた金属のようになって、動いているのがわかる。


 リビングアーマー、魔力によって動く生きた鎧。それがティーンの正体だった。胸部を失い、その部分の修復に力を使ったティーンは確実に弱体化する……はずだった。だが、文字通り体が軽くなったティーンの攻撃は素早さを増した。


 しかし、それにも限界があった。ティーン自身の攻撃に(からだ)がついていかずいくつもの箇所にヒビが入っていく。それでもティーンは攻撃の手を緩めない。突然ティーンが槍を頭上に投げた。両手で盾を持ちマリーに突撃する。唐突に繰り出された盾による攻撃を避けることの出来なかったマリーは突進をもろに食らった。


「きゃああああ」


 地面を転がっていくマリー。そこに一瞬、ほんの一瞬、そこに意識を向けてしまった。目の前でティーンは無詠唱でホーリーランスを生み出しそれをフィラスに向かって投げた。俺はどうにか間に入り込み剣を使って軌道をそらす。だが負荷をかけすぎたのか俺の剣が……折れた。


「嘘だろ!」


 目の前には上に投げた槍を手に取るティーン。俺の手には折れた剣。近くに味方はいない。マリーと2人でどうにか相手をしていた奴を自分でどうにかしなくてはならない。ティーンは何本もの線が走った鎧を動かしながら俺に迫る。絶体絶命、そう言えるだろう。


 だが俺には奇策があった。人から見ればこれ以上ないほどの愚かな策だ。未完成で不安定、このダンジョンに挑む上でどうしようもなくなった時のための保険として用意した自作の魔法だった。


 折れてしまった剣をティーンの顔に投げつける。ティーンはそれを盾で防いだ。俺はその隙にティーンの懐に潜り込み、魔法を発動した。


「我が腕を対価に光を喰らう暗き炎を顕現せよ《黒炎》!」


 小さな黒い炎が俺の右手に現れる。それは俺の腕を包み込み言葉の通り骨の髄まで焼き尽くした。一瞬にして俺の腕は灰すら残さずこの世から失われた。それでもいい、魔法は発動した。


 黒炎がティーンを襲う。炎は少しずつ燃え広がり光り輝く鎧を黒く染めていく。ひび割れた鎧の隙間にも炎が入り込みティーンを内側からも外側からも燃やした。ティーンは必死の抵抗を試みる。だが炎が体の内部にも入り込んでいる。ついに炎を消すことは叶わず地面に倒れ込む。


「見事だ」


 それがティーンの最後の言葉だった。


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