071話:光雷の騎士
すみません。二時間ほど遅らせながらも投稿させてもらいます。
来週はきちんと7時に投稿しますのでご安心を。
2019/11/11 投稿一本目
転移させられた階層は、これまでのダンジョン攻略などお遊びと言ってもいいほどの困難が待ち受けていた。
高速移動するゴーレム、高威力の魔法を放つスケルトン、姿を消し背後から迫るゴースト。化け物揃いの階層を4日間彷徨ってようやく下に向かう階段を見つけた。階段を下っていくと門があった。煌びやかな装飾に包まれ、ある種の神聖さを纏っている。神殿と表現するのが最も適切なのかもしれない。
十分な休憩を挟んでからボスに挑むことになった。
◇◇◇
「さあ、行くわよ!」
目の前の門を開くと、中には幻想的な空間が広がっていた。
どこまでも続くかのような広い空間に、いくつもの柱が等間隔に並んでいる。しかも、それぞれの柱に意匠が凝らされている。その風景に少しの間、心奪われていたが奥から何者かが近づいてくるのが見えて急いで戦闘態勢をとる。
「まずはおめでとう、挑戦者諸君。君たちはついに光雷の迷宮第五十層に到達した」
男と思しき声色で奴は言った。
「さて、戦いを始める前に自己紹介をさせて頂こう。我輩は光雷の迷宮の主、大精霊ルーチェ様の守護騎士である。名はティーン」
ティーンは光り輝く鎧を身につけた2mを超える巨体だった。右手には大きな槍を、左手にはその身を全て隠せるほどの盾を持っていた。奴は武人、いやこの場所においては武神、と表現することが正しいと思えるほどの圧を放っていた。辺りからは音が消え、自分の呼吸の音が聞こえて来るほどの静寂に包まれた。
「では、行かせてもらおう!」
ティーンは槍と盾を構え、その巨体からは想像もできないような速度で接近してきた。俺とマリーで対応する。突き出される槍の軌道をそらし、1つでも傷を与えようと攻める。2人でどうにか応戦するが、はっきりいって厳しい。
「《泥沼》」
「《ホーリーランス》」
フィラスとステラの魔法がティーンに迫る。しかし、ティーンの盾により展開された魔法障壁によって簡単に散らされてしまう。俺とマリーの方に向き直そうとした瞬間、ステラが一本目のホーリーランスの裏に隠して放っていたもう一本のホーリーランスがティーンの頭へと迫る。だが、その攻撃もティーンには聞かなかった。不思議なことに明らかに直撃するはずだった魔法はティーンに触れた瞬間霧散したのだ。
「この我輩に程度の低い光魔法が効くとでも思ったか!」
ティーンの攻撃は鋭さを増して徐々に攻撃を受け流せなくなる。体のあちらこちらに傷を受けた。マリーも同様だ。フィラスが魔法を使いティーンの行動を妨害していなければ、俺とマリーの心臓はもうとっくの昔に貫かれていただろう。
ステラは生半可な攻撃が意味をなさないと理解してすぐに詠唱に移り、高威力の魔法を準備する。詠唱を終えたあとも過剰とも言える魔力を注がれた魔法は一撃でどんな化け物も殺せるような威力を秘めていた。ステラはティーンの後ろに回りこみ魔法を放った。それに気がついたティーンは槍を使い俺達との距離を開けると後ろを振り向き必殺の槍を避けた。
前衛のいない後衛などティーンほどの強さを持つものなら一瞬で殺せる。そう判断したのだろう。ティーンはステラの元に走った。俺達から警戒を解いて。だから当然気がつくはずがない。俺の手を焼いているものを。ステラが放った槍がどこにあるのかを……そして、気がつくことは無かった。
今にもステラを一撃の元に葬ろうとしていたティーンの背中に槍が直撃し、その身に大きな穴が穿たれた。




