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070話:第?層

 気がつくと俺は地面へと倒れ込んでいた。すぐに体を起こして、周りを確認する。


 すぐ近くにステラ、フィラス、マリーも倒れていた。しかし、気を失っていたりはしていないようだ。みんなすぐに起き上がった。


「なんだったのかしら?」


 ステラが服に着いた土を払いながら言った。


「……転移魔法陣です。足元で発動するのを見ました」


 答えたのはマリーだった。


「ごめんなさい……」


 完全に意気消沈といった様子でうなだれている。


「なんで悲しそうな顔するのよ。見た感じ普通にダンジョンの中みたいだし攻略にはなんの問題もないわ」


 気にするようなことでもないとフィラスが言う。


「今、何層にいるのかも分からないんですよ……」


「別にいいじゃない。ここには学年首席と次席がいるんだし、どうにかなるでしょ」


「そういえばそうだったな……」


 おっと、口が滑ってしまった。


「忘れてたの!」


 いつまで経っても魔法の試験で首席(ステラ)に勝てないどこかの次席(フィラス)が声をあげる。


「まあ、気にするな。フィラスの言う通りどうにかなるさ」


 マリーの手を引き、立ち上がらせる。


「ほら、行くわよ」


「はい!」


 俺達はとにかく進むことにした。


 ◇◇◇


 角から2mほどの大きさのゴーレムが出てきた。


 大きな光り輝くハンマーをその手に持ち、重い体を動かしながら迫ってくる。いつも通り、無属性魔法の《武具強化》を剣にかけて俺が相手の攻撃を逸らした。マリーがゴーレムの部品と部品の隙間に剣を入れて、そのまま首を落とす。


 ゴーレムは頭を失ってもしばらく動き続けたが、最後には機能を停止した。その後も何度か魔物との戦闘になったが連携を活かして、ダンジョンを進んでいた。セーフティーゾーンを見つけて、一息つく。


「強いわね、ここの奴ら」


「ええ、本当に……」


 フィラスにマリーが肯定を示す。戦闘中でその肌に小さいながらに傷を受けている。敵に接近して戦うから仕方がない部分があるがやはり辛いものだ。俺も傷を治すために壁に背を預けながらポーションを飲んでいた。


「ここ、何層なんだろうね?」


 ステラがみんなに問いかける。


「わからないから、次の階層への道を探しているんじゃない」


 答えたのはフィラスだった。


「そうね……休憩したら行きましょうか」


「いや、いつ次のセーフティーゾーンを見つけられるかわからないからここで1度眠ろう」全会一致でその日の攻略は打ち止めとなった。


 ◇◇◇


 硬い乾パンを食べ終わり、マジックバックから取り出した寝袋に包まれて眠りにつく。セーフティーゾーンでも、人が襲いかかって来る場合もある。特に迷宮の中ではそれが顕著だと言われている。その警戒のため起きていたのだが近くからゴソゴソという音が聞こえた。目を向けるとマリーが寝袋から出てきたところだった。


「どうした?見張りの交代はまだだったはずだが?」


「……眠れないんです」


 マリーはまっすぐ俺の目を見る。


「フィラスとステラはもう眠ったみたいですね」


「そうだな」


「私達、どうなるんでしょう?」


「第何層にいるのかもわからないし、トラップで飛ばされたから、準備していた地図も役に立たない。まあ、でも案外どうにかなるだろうよ」


「明日こそ次の階層に行ければいいんですけど」


「そうすれば何階層なのかがわかる」


 俺はダンジョンカードを取り出して言う。攻略階層は第十五層と書かれたままだ。ダンジョンカードに書かれているのは到達階層ではなく攻略階層だから、転移させられた第十六層は攻略したことになっていないのだろう。


「乾パンにも飽きて来ましたし早く攻略して帰りたいです」


「そうだよな。十層ごとのボスを倒せばポータルが現れて帰れるんだが……」


「案外早く見つかるかも知れませんね」


「そうなることを願おう」


「もう眠りますね。あなたと話して少しは心に余裕が出来ました」


「それはよかった」


「おやすみなさい」


「おやすみ」

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