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067話:ダンジョン探索

「《獄炎》」


 オークに放たれた小さな炎は、オークに当たった瞬間に爆発的に大きくなりオークを燃やし尽くした。


「やっぱり低階層だとダンジョン固有のモンスターは出てこないか。ビビって損した」


「ああ、ソニアはヴァンパイアだったわね」


「そうですよ。忘れてたんですか?ずっと一緒にいたのに……」


「悪かったわね。むしろずっと一緒にいたから忘れていたの!」


 楽しく会話しているとそこにフィラス嬢が入ってきた。


「ダンジョンなんだからイチャイチャしないでよ」


「イチャイチャなんて」


「してるでしょ」


 フィラス嬢に詰め寄られ、ステラが顔を真っ赤に染める。


「お嬢様方、喧嘩なんてしている場合ではありませんよ。ほら、またオークがやって来ましたよ」


 マリーさんの言葉に従い前を見ると、次の曲がり角からオーク出てくるのが見える。


「《獄炎》」


 もちろん一撃で葬っておく。(オーク)は出荷だ。


「流石自慢のソニアね」


 未だに顔を赤くしながらも俺の事を褒めてくれる。後ろでフィラス嬢とマリーさんがため息をついているみたいだが気にしない。


 安置部屋(セーフティーゾーン)と呼ばれる魔物が侵入出来ない場所が見えてきた。


「ほら、行くわよ!」


 ステラが我先にとセーフティーゾーンに向かう。


 ガコン!


 嫌な音がした。見るとステラの足元がへこんでいる。誰だこんな古典的な罠を仕掛けたのは。大岩とか転がって来ないよな。


 顔を真っ青にしたステラに水が降ってきた。岩じゃなくてよかった。


 でも、なんて言うか直視するのは結構きつい。水のせいで服が肌に張り付いて……うん、セーフティーゾーンで乾かしてあげよう。


 ◇◇◇


 魔力で炎を発生させ、風を起こして温風を送る。


「暖かい」


「そうか」


 びしょびしょになったままでは着心地も悪いだろうからすぐに乾くようにと火力を強める。


「熱い!温度変えないで」


「はいはい」


 手のかかるお嬢様だ。そんな俺達を見て言葉を漏らす人達がいる。


「なんか、ダンジョン入ってからあの二人ずっとあの調子よね」


「そうですね、ずっとイチャイチャしていますね」


 フィラス嬢とマリーさんだ。


「しかも見て!髪乾かすためだけに火魔法と風魔法を同時使用してるわ」


「火力も変えてますし、髪が乱れないように風も調節してますね。無駄に精錬された無駄な技術を発揮しています」


 なんか文句でもあんのか!こっちはわがままステラの従者12歳の時からずっとやっているんだ。もうすぐ6年だぞ、これぐらい出来る。そうしないとステラの機嫌が悪くなるんだ。


「少し休んで行きましょうか」


 髪を乾かし終わったところでステラが言う。


「そうね、お昼にしましょうか」


 フィラス嬢も賛成し、俺達はこのセーフティーゾーンで少し遅めのお昼を取る事にした。


 ◇◇◇


 個々人がそれぞれの昼食を取り出す。と言っても全員乾パンだが。


 俺とステラはそれをミルクにつけて食べる。硬くて味のない乾パンよりは少ししっとりとした上に甘い方が美味しい。


「それずるくない?」


 目に前で硬い乾パンを必死に噛み砕くフィラス嬢が言う。どうせミルクなんて初日で使い物にならなくなるのだから文句を言わないでほしい。


「どうぞフィラス嬢」


 仕方なくミルクをフィラス嬢の前に差し出す。乾パンをつけて口に頬張るフィラス嬢。まだマシかなみたいな顔をするのはやめて欲しい。そうしたい気持ちはわかるけど。


「っていうかさ、フィラス嬢っていうのやめてくれない?ステラのことも名前で呼んでいるわけだし良いでしょう?」


「そうですよ、私のこともマリーと呼んでください。結構長い付き合いなのに距離を感じます。それに同じ従者でしょう」


 確かにそうだな。


「わかったよ、フィラス、マリー」


 ほとんど変わっていないだろうに。


「まあ、いいわ。そろそろ行きましょう」


「そうですね」


 俺達はダンジョンの奥へと進むことにした。


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