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056話:憐れな犠牲者(ステータス記載)

 地面には縛られたアザレアくんが倒れており、目の前ではカルミアちゃんがシェリーさんに詰め寄っている。


「ま、まってカルミアちゃん!シェリーさんにもきっと考えがあるんだよ」


「よくぞ見抜いたタチバナちゃん!そうこれには作戦があったんだよ!」


「作戦?」


 カルミアちゃんが聞き返す。


「ふっふっふ。その名も『怪我人がいないならつくってしまえばいいじゃない』作戦よ」


「それは酷くないですか?」


 思わず聞いてしまう。


「え?そう、なら今日はおしまいね。帰っていいよ」


 それは困る。


「あーあ、もしタチバナちゃんが今日だけで治癒魔法を覚えるなんていう快挙を叩き出したら、わたしオススメのデートスポットを教えてあげようと思ったのにな」


 シェリーさんのオススメデートスポット!?


「カルミアちゃん!これは仕方のないことだよ。アザレアくんの犠牲はいわゆるエッセンシャル(絶対に必要な)・ダメージに過ぎない。医療目的のための致し方ない犠牲だよ」


「医療のためにダメージ与えてどうするんですか!」


「ごもっともです」


 全くもって正論だ。


「でも、オススメデートスポットですか。わたしにも教えてくれるのなら生贄(アザレア)を捧げましょう」


 よし!カルミアちゃんが堕ちた。これでどこにも問題はない。後ろから唯一の味方を失ったアザレアくんの悲しい声が聞こえるが、そんなものはなかった。いいね。


 さあ、治療を始めよう。


 ◇◇◇


「まずは怪我人への対応の仕方です。怪我人を仰向けにして寝かせます可能な限り怪我人の要望を聞いてその人の最も楽だと思う姿勢にしてあげましょう」


 アザレアくんは死んだ目で私達を見ながらシェリーさんにされるがままになっていました。シェリーさんが手足の縄を外してくれたのが唯一の救いでしょうか。


「次は意識のない人への対応です。そのまま放っておくと血を吐いてそれで喉を詰まらせて死んでしまわないように肺などを怪我した人にも同じようにしてあげましょう。怪我人を横向きに寝かせ、下あごを前に出して気道を確保します」


「ここまでで質問ありますか」


「ないです」


「ありません」


「では、治癒魔法の使い方を教えてあげます」


 シェリーさんはアザレアくんを今度は椅子に縛り付ける。なにをしても無駄だと悟ったのかなんの抵抗もしないアザレアくん。シェリーさんはナイフを取り出すとそれでアザレアくんの手の甲に少しの傷を付けた。出てきた血をガーゼで拭き取る。


「では行きますよ」


 回復魔法を使うようです。


「この者を癒せ《ヒール》」


 少し赤くなっていたアザレアくんの手はいつもと同じ綺麗な肌色に戻った。


「こんな感じです。見ていましたか?」


「はい!」


「ではやってみましょう!」


「あの・・・スキルとして持ってないんですけど」


「え、そうだったんですか?白騎士だと聞いていたからてっきり持っているものかと、いや持っていたら来ませんよね。少し痛いかもですけど我慢してくださいね」


 シェリーさんは私の手の甲に少しだけ傷を付けると直ぐに《ヒール》を唱えて傷を消してくれた。


「大丈夫ですか?傷残っていませんか?」


「はい、大丈夫です」


「一応もう3回ほどやっておきましょう」


 もう3回、ヒールをかけて貰った。


「えっと白騎士の人はヒールをかけて貰えば使えるようになるはずですから確認してください」


 久しぶりにステータスを確認すると確かに変化があった。


 ◇◇◇


 名前 タチバナ ユリ


 種族 異世界人


 種族特性


 職業 白騎士「ランク4」


 職業スキル スラッシュ、ソニックブーム、ヒール


 固有スキル 異世界語理解、アイテムボックス、観察


 称号 チョロイン、決断者


 ◇◇◇


 おお!これで《ヒール》を使えるようになったのかな?


 ちょっと待って・・・チョロインってなんだ?・・・放っておこう。気にしたら負けな気がする。


「シェリーさん!ヒールありました!」


「それなら良かった。さあ、実践に移ろうか」


 シェリーさんは無慈悲にもアザレアくんの頬に傷をつけて《ヒール》を使うことを強要してくる。


「この者を癒せ《ヒール》」


 魔法を使った途端にアザレアくんの頬に付けられた傷口は塞がり、少しだけ流れていた血の跡だけが残った。シェリーさんはその血の跡を拭き取るとこちらを向いて


「これで一応、ヒールを使えるようになったね。あとは練習だよ」


「シェリーさん、わたしも教えて貰えるんですよね」


 カルミアちゃんがシェリーさんに迫る。


「カルミアちゃんも治癒魔法覚えたいの?」


「さっき言ったじゃないですか『わたしにも教えてくれるのなら生贄(アザレア)を捧げましょう』と」


「なんだデートスポットを教えて欲しいのかと思っていたよ」


「両方です」


「え?」


「両方とも教えてください」


「嫌いじゃない!むしろ君みたいな子は大好きだよ!仕方がないから教えてあげる!」


「お願いします」


「さあ、アザレアくん!出番だよ!」


 そう言われたアザレアくんは「お姉ちゃんの裏切り者~」という言葉を残して実験台となった。


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