054話:初めての魔法
「今からお前の身体に俺の魔力を流し込む。あんまりやり過ぎると頭がバーンとなるから普通はしないんだがハードに行くといったからな強引に魔力の操り方を教えてやる」
「剣に魔力を纏わせられるようになっているから問題ない。魔法を発動するにはどうしたらいいのかを教えてくれ」
「手順を踏んでやらないときちんと身につかないから文句を言ってないでこっちに来い!」
怒られてしまった。今は教わる側なんだいつものように反抗ばっかりしていたら教えて貰えなくなるかもしれないな。きちんと学ばせてもらおう。
「よし、行くぞ!魔力を操れるなら流し込まれた魔力を全部散らして見せろ!」
ディルセントは俺に魔力を流し込む。まるで中身を全部押し流すような魔力の激流が体の中を流れる。血管が浮き出て、目からは血が流れ出し凄まじい頭痛が俺を襲う。どうにか自分の魔力でディルセントの魔力を包み込む。魔力はスラッシュを使う時のように変化するための形を与える。
剣無き右手に形作られるのは小さな刃。それは少しずつ現実に変化を及ぼしディルセントの魔力は土を作り出しそれを中心に水の刃が生まれる。どうにかディルセントに流し込まれた魔力を全て使い切り魔法を発動させる。出来たのは泥の小型ナイフだった。
「今の魔法は?あんなの水魔法にあったか?複合魔法を使ったのか?」
「いや、知らんけどスラッシュを使う時みたいに魔力に形を与えてみたんだが?」
「無詠唱だったよな?」
「詠唱とかいるのか?」
「・・・」
あ、またやっちまったな。
「無詠唱のスキルを持っているのか?」
「持ってないぞ」
「そうか・・・こいつは傑作だな。お前魔法使うの初めてだったんだろ?」
「そうだな」
「うん、わかった。魔法の詠唱リストを持ってくるから少し待っていろ」
少ししてディルセントが『基礎水魔法詠唱集』と書かれた本を持って戻ってきた。
「よし!初めての魔法で自然魔力併用型複合魔法を無詠唱で発動させた常識の埒外にいる馬鹿なルーキーに常識を教えてやろう」
酷い呼ばれ方したな。
「基礎の基礎の基礎の基礎からだ。
魔法には属性があり 火、水、風、土、光、闇、無の7種類だ。
各個人に得意な属性があるがきちんと魔法について学べば一応全属性使える奴もいる。
俺は土属性に適性があった。お前は水だったな。
単一属性魔法と複合魔法という区分けがあるがこれは魔法を発動する時に1つの属性だけで発動させるか、複数の属性で発動させるかの違いだ。ここまでで質問はあるか?」
「ない」
「それなら続けるぞ。魔法は無詠唱でも放つことが出来るが、大気の魔力の流れを良くするためと魔法の完成を想像しやすくする為に基本的に詠唱を使う。慣れてきたら無意識のうちに詠唱と同じプロセスを辿られるから無詠唱を使えるようになると言われている。
最後にお前が使った自然併用型魔法だがこれはやっていることを言葉にすると簡単だが、高等魔法に分類される強力な魔法のことだ。自分の魔力だけでなく自然界に存在する、もしくは他者の魔力を使って魔法を発動させるものだ。
お前どんなふうに俺に流し込まれた魔力を動かした?」
「えっと、あー、そうだな……」
言葉で表現しにくいな。
「お前の魔力が俺には動かせなかったからまずは自分の魔力で包んで外にポイってした。それで外膜の俺の魔力に形を与えて中の魔力の形を強引に変えた」
「雑だな」
「初めてだったからな」
「それもそうか。ここからが本題だ。この『基礎水魔法詠唱集』には基本的な詠唱が載っている。読み上げて発動させてみろ」
『基礎水魔法詠唱集』を受け取りにページをいくつかめくる。
目に止まった《ウォーター》という魔法の詠唱を読み上げる。
「我、今ここに水を求める《ウォーター》」
目の前に水が出てきて地面に落ちて少しすると消えた。
「見ての通り魔法は魔力を使って自然の法をねじ曲げることからそう名付けられた。より多くの魔力を使った方が変化は大きくなるから次は使う魔力を多くしてみろ」
言われた通りにする。
「我、今ここに水を求める《ウォーター》」
また水が現れて地面に落ちる。今度はなかなか消えずに1分ほど残った。
「よし、問題ないな。頭が痛くなって来るまでそこに載っている魔法を使い続けろ」
「もうすでにかなり酷い頭痛に襲われているんだが?」
具体的にはディルセントに魔力を流し込まれてからずっと。
「そうか、なら今日はこれで終了だな。魔力を使いすぎると魔力切れで気絶することになるから気を付けろよ」
「ああ、色々と教えて貰えて助かった」
「午前中は毎日教えてやれるから毎日こい。お前が迷宮都市に送り出した時に俺が恥をかかないようにするためだからな」
随分と期待を向けられているようだ。
「今日の授業はこれでおしまい、明日は体術だ。みっちり仕込んでやるから楽しみにしておけ」
怖いことを。さっさと退散しよう。




