050話:疑問
俺は背負ってきた修也を寝かせる。
「ありがとう康介」
「ありがとう」
悠真と実は涙を浮かべながら言った。
「人一人分の重さなんて今の俺にはたいしたものでもない」
「それを運べない俺達はどうすりゃいいんだよ」
苦笑いを浮かべながら実が言う。ようやく戦闘の緊張感から解放された俺は聞きたかったことを聞く。
「どうやって2体目を発見した?」
「修也はビッククロウが何度も森に戻るのを不審に思って、確認することにしたんだ」
「その場にいても出来ることが少なかったのもある」
「結果的に助けられたよ。確認だ、森の中に他のビッククロウはいなかったな?」
「ああ、隠れていたのは1体だけだ」
それを聞いて安心する。
「つまりビッククロウは2体いたのか」
「そうみたいだな」
これで色々と謎が解けた。魔法を避けていたはずのビッククロウが魔法班の攻撃を真正面にして向かって来たことや、斬り落とした腕が再生していたことだ。
魔法に耐性のあるビッククロウと耐性のないやつがいたんだろう。
「最近どう思う?」
「何に関してだ?」
悠真がキョトンとした顔をする。
「変異種や強い魔物との戦闘が多いと感じないか?」
「それが仕事だろ?」
「そうだが、そうじゃない。ビッククロウの変異種がこの近くにいるなんて噂にも聞いてないだろう?」
「誰かが裏で俺達に向けて刺客として魔物を送っているとでも言いたいのか?」
実は俺が思っていることを言い当てた。
「そんなのあるわけないだろ?だってここは国の真ん中で魔国ともかなり距離が・・・ちょっと待ってくれよ・・・」
どうやら悠真は俺が言いたいことを理解してくれたようだ。
「もしかして康介・・・お前・・・」
「気づいてくれて良かった。国の重要な道の近くにオーガが村を作り、まるで狙ったかのように魔物の変異種が夜に俺達を襲ってきた。考えすぎなのかもしれないがなにか大変なことが起こっているのかもしれない」
「確かに康介の言う通りだ。なぜオーガの村はあそこまで大きくなったんだ?たった一体が強化されたからと言ってオーガだけであそこまで大きな集落を街道沿いに作ることが出来るものなのか?」
「俺の考えすぎかもしれないが索敵班でも情報を集めて貰えないか?もう少しここ最近のことについての深い情報が知りたい」
「任せてくれ」
「助かる。もう少しここに居てやってくれ。起きた時に騒がれでもしたら大変なことになる」
「あの様子じゃあ俺達まで死んじまったみたいに思っているようだしな」
「それじゃあ、頼んだぞ」
少し血の滲んできた胸元を抑えながら俺はその場を後にした。




