044話:プレゼント
「どこに向かっているんですか?」
「鍛冶屋だよ」
「なにか鍛冶屋に用がありましたか?」
「少しな」
そんなこんなで鍛冶屋に着いた。
「おっちゃん。商品を受け取りに来たぞ」
返事はないが店の奥からハンマーを打ち付ける音が聞こえてくる。
「少し待つか」
仕事中なら邪魔出来ないからと俺達は少し待つことにした。
◇◇◇
待っている間にアザレアとカルミアに今日受け取るもののと購入した理由を説明できた。
カルミアは「女の子に送る誕生日プレゼントが武器・刀剣類ですか・・・酷いセンスですね」と辛いコメントを残してくれたが、パーティ結成も兼ねてのものだと説明したらどうにか納得してくれた。
なんだかんだ言っても嬉しそうにしてくれていたから、こちらも嬉しかったりする。アザレアはかなり喜んでくれた。パーティ全員に同じ武器を用意するのはいい案だったようだ。ようやくと言ったら悪いがおっちゃんが店の奥から出てきた。
「待たせちまったか?すまねえな」
「いや、大丈夫だ」
「商品の方はもう少し待ってくれ、いま打ったところなんだ」
「そうか」
「待っていろ、水でも持ってきてやる。4人分だな」
「すまないが頼む」
「ああ」
おっちゃんが水を5人分持ってきて話を始める。
「えっと、小刀はお前達4人の分だな?」
「そうだな」
みんなもおっちゃんの質問に肯定を示す。
「1回、お前達の武器を確認させて貰っていいか?」
やはり、その人に合わせるための手直しの仕方があるのだろう。俺達はそれぞれの武器を順番に見せる。俺の剣なんて10分以上見ていた。それから俺の手を確認して、
「これまで見た剣の中で1位2位を争う剣なんだが本当にお前の剣か?俺は盗人に剣は売らんぞ」
・・・実際どうなんだろう?俺は盗人なのか?さっぱりわからん。
「盗みを働いた訳では決してない」
これだけは確かだ。こう言っておこう。本当はもっと酷いけど。
「そうか。それならいい。俺の勘違いだった」
おっちゃんが話を切り替える。
「1回持ってくるから何度か振ってみてくれ」
店の奥から4本の小刀を出してくる。何度か使い心地を確かめておっちゃんに一度返す。
「どうだった?」
「なんだか持ちにくい気がする」
「私はこれといった違和感はありません」
「僕は少し重い気がする」
「わたしもちょっと重いかな」
それぞれの感覚を伝える。
「嬢ちゃんの手を1回見せてもらっていいか?」
おっちゃんは立花さんの手をとり、何かの確認をする。
「わかった。少し調整するから近くの喫茶店で1時間ほど待っていてくれ」
一番近くの喫茶店の場所と提携しているからと割引券を渡してくれる。案外昼時に調整を行う場合が多いのかもしれない。言われた通りに喫茶店で1時間ほど待っていると、そこにおっちゃんがやってきた。
「一応調整が終わった。少ししてからでいいからまた来てくれ」
俺達は残りのデザートを完食して鍛冶屋に向かう。
「おお、来たか。こんな感じでどうだ?」
調整を施した小刀を渡してくる。先ほどよりも振りやすく、使いやすい。
「ありがとう」
みんないい感覚を掴んだようだ。みんなも感謝の言葉を伝える。
「そりゃあ良かった。後は・・・ああ、あれがあったな。また貸して貰えるか」
何かを思い出したおっちゃんに完成した小刀を渡す。直ぐに奥へと戻ったおっちゃんは少ししたら戻ってきた。
「これで完成だ」
小刀はしっかりと鞘にしまわれた状態で俺達に手渡された。鞘には名前が掘られておりイカリと読める。きっとおっちゃんの名前なんだろう。
「これはおまけだ」
おっちゃんはいくつかの手入れ用の道具を俺達に渡す。
「いいのか?」
「おまけだ」
おまけなら頂いていこう。
「また来てくれよな」
俺達は店を後にした。夕陽が街を真っ赤に染めている。俺達は急ぎ宿に帰った。




