043話:2人からのプレゼント(約束の日)
「明日、2人の誕生日らしいな」
立花さんに声をかける。
「私もそう聞いたよ」
「2人へのプレゼントを買いに行かないか?」
「いいよ」
「喜ばれるかはわからないけどな」
「どうして?」
「一つ決めているものがあるんだけど、小刀なんだ」
「しょうとう?」
「小さな刀と書いてしょうとうだ」
「こがたなじゃないの?」
「鍛冶屋にこがたなはあるかと聞いたら雑貨屋にいけと言われた。ナイフとかのことを指すらしい。漢字にしたら同じでも用途と寸法によっては呼び方が違うらしい。面倒なことだ」
「そうだったんだ。でもお金足りるかな」
「なにかに使ったのか?」
「ちょっとした物にね」
「そうか」
一体なにを買ったのだろうか?まあ、色々といるだろうし仕方ないだろう。きっと必要だと考えて買ったのだろうし、オウバイの実の金は2等分して財布も別だ。気にする必要もないだろう。
俺達は鍛冶屋に向かった。
◇◇◇
「おう、小刀の坊主じゃねえか」
店に入った途端にそう店主に声をかけられた。なんだ、小刀の坊主って。
「で、雑貨屋にはいったのか?」
「行ってないよ」
「そりゃそうか、注文は?」
「小刀4匕 だ」
「誰の分だ?坊主とそこの嬢ちゃんのか?」
「いや、パーティメンバーが4人なんだ」
「残り2人は?」
「少し用事で外している」
「わかった」
「それで、いくらになる」
「少し増減するかもしれないが金貨1枚程だ」
俺の財産の3分の2だな。ギルドで聞いていたより少し高いな。
「金貨1枚だ」
財布の中から金をだして渡す。
「太っ腹な坊主だな。ご貴族様かい?」
「違う、断じて違う。俺の全財産の3分の2だ」
「がはは、それは頑張って打たせて貰わなくちゃならないな」
随分と上機嫌だ。なにが気に入ったのだろうか。
「俺がしっかりと打っといてやるよ。また明日こい」
「調整でもしてくれるのか?」
「ああ、そうだ」
それは助かる。要件を終えて俺達は鍛冶屋を後にした。
◇◇◇
宿に帰る。
「それにしても金貨1枚なんてよくぱっと出せたね」
立花さんが椅子に座りながらそんな質問をしてきた。
「・・・どうしても手に入れて置きたかったからな」
「どうして?」
「少し前にオークジェネラルと戦っただろう?その時に剣を使えなかった瞬間があったからな・・・またそんなことがあったらと不安になったんだよ」
「カルミアちゃんを助けた時?」
「そうだ」
「私達にも全員分用意する理由は?」
「魔石を取り出す用のナイフでは切りにくい場所があるだろう。全身がそんな部位で出来ている魔物が出てきたらメインウェポンが使えなくなった時に困るだろう?それにアザレアとカルミアは遠距離メインで近づかれた時にどうしても不利になる。1人が倒れただけで全滅する可能性があるなら対処出来るようにしておくべきだ」
「色々考えてくれていたんだね」
「立派なことでもないよ。俺は死ぬのが怖いんだ。それに少しでも会話した相手が目の前で殺されてなんか欲しくないんだ」
「それは、私もだよ」
「それに、ここでは元の世界のことを知っている人が立花さんしかいないだろう?」
「そうだね」
「もしも、もしもだ、立花さんか俺かが死んでしまったら残された方はどうすればいい?」
「死なないでね」
「死なないよ、死にたくなんてないからね」
「約束だよ」
「ああ、約束だ」
「だから、必ず守ってね」
「守るよ、自分の為にも」
「『自分の為』にもなんていわれたらカッコ良さが半減だよ」
落胆されてしまう。
「白馬の王子様にはなれない訳だし気にしない」
「酷いなぁ」
「でも出来ることはなんでもするよ」
「それだけでも約束してくれる?」
「ああ、約束する」
「それならいいよ」
「おやすみ」




