036話:劇薬
オーク3体と戦っていた立花さん達の元へと向かう。
彼女達はちょうど最後のオークを倒したところだった。
「大丈夫か!」
俺は走るのをやめてゆっくりと向かう。
「大丈夫だよー。ちょうどオークを倒したからね」
俺達4人は1箇所に集まる。俺の姿を見た3人は息を止めた。
「斗賀くん・・・大丈夫なの?」
右足の傷の血は止まっているがその周りは真っ黒に染まっている。左腕の傷は今も血が流れ続けている。これを見て大丈夫だと思う人はいないだろう。
「かなりきつい。立っているだけでしんどいよ」
立花さんがオロオロし出す。可愛い。それどころではないが。
「オークの討伐は完了した。洞窟の中で一晩過ごすぞ。太陽が登ったら直ぐに街に戻らせてくれ」
俺はそう提案させてもらう。俺の姿を見て反対する人はいなかった。その後、オークとオークジェネラルから魔石をとってから俺達は洞窟に戻り休憩をとることになった。
◇◇◇
「すこし、お花を摘みにいってきますね」
立花さんがそう言って席を外す。
カルミアもそれについて行った。
残る男2人
俺はオークジェネラルの魔石を見ていた。
なぜだか分からないがオークジェネラルの魔石は通常の青色の魔石とは違い黄色い魔石だった。
オークジェネラルはオークの上位種だから魔石にも違いが出て来るのだろうか?
「悪かった」
アザレアが俺に頭を下げてきた。魔石をしまっていきなり謝ってきたアザレアの方へと体を向ける
「どうした?」
俺は問う。
「俺が探索の時にドジしたばかりにあんたはそんな酷い傷を負うことになった」
「そんなことを気にしていたのか」
「なんで、『そんなこと』ですませられるんだ?」
「それは怪我をしたのはお前の責任じゃなくて、俺の責任だからだ。お前は安全を確認するために洞窟の奥に行った。そこにたまたまオークが居て、更にオークジェネラルまでも居たことがお前の責任になる訳が無いだろう?」
「で、でも」
「でもじゃない。それに怪我をしたのは俺自身の選択の結果だし、俺の慢心によるものだ。このことを招いたのは俺の責任だ。パーティリーダーとしての指示を完璧にこなせなかったことも関係している。
ただ俺がお前を責めるとするならお前はカルミアを守ってやれなかった。守ると言っていたのにお前だけでは守れなかった。それは俺も同じだ。
お前達がいなければ俺達は生きていなかっただろう。俺がどうにか生きているのもお前達のおかげだ。だからお前が気にすることじゃない」
「わかった」
「ところで、魔法回復薬≪ポーション」はこんなにも酷い傷でも効果はあるか?」
アイテムボックスからポーションを取り出して言う。
「それは低級のやつだから無理だ。血は止められるが、傷は残る」
それならいいか、血はもう止まったし。
「.......上級のポーション」
俺のものより透明度の高いポーションを渡してくる。
「お姉ちゃんを助けてくれたお礼。でも飲んで使ってくれよ。その方が効果が出るだろうから」
苦笑いしながら手渡してくる。
確かポーションはめっちゃ苦いんだったな。冒険者指南書はどこでも役に立ってくれる。
それなら一気に・・・苦い、マジで苦い。どれぐらい苦いか例えるとすると、ゴーヤを100本ほど煮詰めてコップ一杯まで濃縮したジュースみたいな感じだ。
思わず悶える。身体が動かせないから頭を振るだけだけど。
なんかアザレアがこっちを見て目を輝かせている。
「とりあえず水をくれないか?」
「もちろんですよ、兄貴!」
「いいから、それ寄越せ!」
俺のカバンから水を取り出したまではいいが、全く水を寄越さないもんだからつい体を動かしてしまった。
痛い。水を飲んで、口の苦味が消えたのに・・・あれ?痛くない。
見れば左腕の傷も左足の怪我の痕も消えている。まあ、呪いの痕は消えていないみたいだけど。
「上級のポーションはこんなにも効果がと良いものなのか?怪我した場所がもう綺麗に消え去っているんだけど」
「いえ、僕が渡したのは最上級のポーションですね。最上級のポーションは意識不明の重体で死にかけの人に無理やり飲ませるものですし、あまりの苦さに誰も彼もが最上級のポーションと知った瞬間瓶を叩き割ってでも飲むことを拒否するので、上級のポーションだと言って飲んでもらいました」
「・・・」
俺はそんなものを飲まされたのか?まあ、いい。身体に悪いものでもなさそうだし。それよりも.......
「兄貴ってなんだ!兄貴って!」
「死ぬほど苦いポーションを一気に飲み干したのは兄貴でしょう!勇者と呼ぶのは抵抗があるので兄貴と呼ばせてください」
「・・・好きにしろ」
こういう手合いは相手にすると面倒だからな。呼び名ぐらい好きにさせてもいいだろう。




