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033話:出会い

~ソニアside~

「もう、ソニアも12歳になったのか」


 後ろから父さんの声がする。


「そうだよ、ゴブリンなんてもう楽勝さ」


 俺は自慢げに言った。


「そうか、今度王都に行くんだがついて来るか?」


「うん、俺父さんについて行くよ」


 俺は王都に行くことになった。


 ◇◇◇


 1週間後俺は森の中で馬車に揺られていた。


「あっはっは!酔ったのかソニア」


「う、うるせえ」


「情けのない奴だな」


「そんなこと言わないでくれよ、父さん」


 道が悪すぎるんだ。


「こんな長旅は初めてだもんな、仕方ないか。もうすぐ日もくれる。あの広場で休むぞ」


 父さんは少し離れた場所を指さす。どうやら今日はここで休むようだ。


「おーい、そっち支えといてくれ」


 馬車の中を整理して毛布を用意する。


「この近くには川があったはずだから水を汲んでくる」


 そう言って父さんは水をくみに出かけた。俺は言われたことを続ける。


「ふふん。これなら父さんも文句は言わないだろう」


 完璧な整理が出来た。父さんが帰ってきたら自慢してやろう。そしたらきっと頭を撫でてくれるだろう。


「いや!助けて!誰かぁぁああ!」


 そんな声が聞こえてきたのはその時だった。急いで声のする場所に向かう。そこでは俺と同じぐらいの可愛らしい女の子が魔物に襲われていた。その近くには倒された護衛と思われる人達が倒れていた。


「嫌!嫌!いやぁぁああ!」


 女の子は必死に魔法を放つ。しかし、魔物は歯牙にもかけなかった。ついに魔物が女の子に手を伸ばす。女の子は座り込んで泣き出してしまう。俺は急いで魔法を発動させる。


「《フレイムアロー》」


 父さんにも褒められた、強めの魔法だ。とりあえず20ほど放つ。フレイムアローは魔物の背中に突き刺さった。魔物は怒ってこちらを向く。


 その魔物はトロールだった。巨大な体躯、かつ怪力で、深い傷を負っても体組織が再生できて、切られた腕を繋ぎ治せる。ゴブリンなんかとは比べ物にならなくて危険度としてはオークを優に超える。そんな魔物だった。あまり知能は高くないが、その凶暴性とどんな生き物でも食う恐ろしさから『愚鈍な破壊者』として忌み嫌われている。思わず足が震える。


「おい、化け物こっちだ」


 それでも目の前で人が食われるのを見たくなんかない。しかも女の子だ。男には意地ってものがあるんだ。トロールを誘う。


「がぁぁぁぁ」


 叫び声をあげ、口からよだれをまき散らしながら襲いかかってくる。


「これでもくらいやがれ」


 手に握った砂を顔に向けて放つ。


「あぁぁぁぁ」


 馬鹿で助かった。目に砂が入ったトロールは大声をあげながら暴れる。


「こっちだ」


 女の子の手をとって走り出す。木々の間を抜け、距離を取る。トロールは追いかけてきた。木々をなぎ倒し、大きな足で地面を踏みしめながら。目の前に崖が迫る。行き止まりだ。


「《フレイムアロー》」


 今度もまともに受けやがる。1本のフレイムアローは目へと突き刺さった。学習しないのかこいつは?確かにその方が都合がいいのだが.....


「あ、あいつには凄まじい再生能力があるんだ!小さなダメージなんて意味がない!」


 女の子が大声で教えてくれる。.....強さゆえの隙か。


「わかった」


 確かに奴の目が赤くはなっているが、グチュグチュいいながら治っている。気持ち悪い。俺は詠唱型魔法を試すことにする。威力は俺の使える魔法の中で1番だが、なにせ詠唱するのには時間がかかる。


「我が名において命ずる!


 我、紅蓮の理を統べんとするものなり!」


 トロールは片目が見えるようになったようだ。


「その紅蓮は全てを灰へと返す!


 万象すら我が紅蓮の前には無いにも等しい!」


 俺達を見つけ迫ってくる。それでも詠唱はやめない。


「全てはその在るべき姿へと変わる!


 我、煉獄を今ここに顕現せん!」


 トロールはその腕を振り上げ、叩き付けようとしてくる。遅すぎたな。魔法は完成した。


「《煉獄の業火》」


 詠唱が完成し、とてつもない温度の炎が発生する。


「・・・」


 叫び声をあげようとしたようだが喉など既に焼かれて使い物にはならない。その炎の竜巻は周りを赤く染め上げながら、トロールを燃やし続ける。どうにか手を伸ばし、業火に焼かれながらも襲いかかって来るが、目も見えず、音も聞こえず、声も出せず、顔すら溶け落ち始めたトロールにできることはなかった。俺達は少し離れて、トロールが燃え続ける様子を観察する。


 ついにトロールは倒れた。骨すら真っ黒に焦げ付いて、元がどんな魔物だったのかすらわからない。ずっと俺の手を握っていた少女は俺の方へ顔を向ける。少女は安心したのか、そのまま気を失ってしまう。しっかりと受け止めてあげる。


「おい、何かあったのか!」


 林の中からお父さんが出てきた。俺の顔と黒焦げの死体を見つけて駆け寄って来る。その姿を見ながら俺も気を失った。情けないもんだな。


今回からなんとソニア君の過去もやっていきたいと思います。......できるかな?

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