031話:守りたいもの
俺達はオークの出没する地域へと向かっていた。魔物は魔力の溜まり場で生成された魔石と共に発生するらしい。だから魔石は魔物の体内にあるようだ。魔力の溜まり場は地下にある龍脈と名付けられた大きな力の奔流から溢れ出た魔力が集まるところらしい。
今はオークの産まれやすい魔力の溜まり場に向かっているのだ。
「それにしても変な感じだよな、地域ごとに出てくる魔物が違うのって」
「どこにでも魔物が生まれるようになっていたら街なんて作れないじゃないですか」
俺の疑問に的確な答えを出すアザレア。
「まあ、それもそうだよな。魔物の発生場所がある程度固定化されているからこの社会が作れているもんな」
「その通りです」
「緊張したりしないのか?」
「実はディルセントさんから色々と聞いているんですよ」
「へえ、どんなことを?」
「オークはゴブリンの上位種だけれど知能はゴブリンとほとんど同じぐらいでむしろ遠距離から攻撃できるなら体が大きい分戦いやすいと」
「確かにその通りだが俺達が抜けられたり、危険になったからといってお前らに擦り付けたりしたらどうする?」
「それなら、それまでです」
「えらく、あっさりしているんだな」
「それに今そんなことを聞くような優しい人はそんなことしないでしょう?」
「いいや、いざとなれば俺はお前達よりも立花さんを選ぶ」
「そうですか......なら僕もいざとなればお姉ちゃんを選びます」
「それは家族なんだから当たり前だろ」
「ええ、最後に残ったただ1人の家族ですから」
そう言ったアザレアの瞳はどこかで見たような色をしていた。ようやくオークの出没する地域に着くがもう夕方になってしまった。
「どうしようか」
立花さんに案を求める。
「はっきりいってキャンプをしたいけどオークが来るかもしれないところで寝たくはないよね」
「わたしもよ」
カルミアも賛同する。
「それなら急いで洞窟か何かを探そう。松明は用意してある」
「そうですね。当てもなく歩き続けるよりは良いと思います」
皆の賛同を得て洞窟を探すことにする。
「よーやく見つけられた!」
どれだけ歩いただろうかやっとのことで洞窟を見つけられたがもう周りはすっかり暗くなってしまっていた。
「それじゃあ松明を用意するね」
アイテムボックスから火の着いていない松明を出す。
油で濡れたぼろ布の方に火打ち石で火を着けようとする。
「《ライト》」
周りが光に包まれた。後ろを見るとカルミアが魔法で明かりをつけていた。光の球がカルミアの周りを回っている。
「わたし、光魔法使えるって言ったじゃないですか」
カルミアはクスクスと笑う。火を着けようとしていた俺が馬鹿みたいだ。アイテムボックスに松明を仕舞う。
「それにしてもアイテムボックスをお持ちだったんですね。だから荷物も少なくされていたと」
すぐに必要となるものはリュックに入れているがその他のものは全てアイテムボックスの中に仕舞ってある。
「ああ、そうなんだ。背負う荷物も少なくて助かっている」
「戦う際に邪魔になりますもんね」
カルミアの《ライト》を頼りに洞窟の少し奥の方に進む。
「この辺なら大丈夫かな」
「ええ、このあたりで今日は休みましょう」
俺達の休憩場所が決まった。
「僕はもう少し奥の方まで見てきますね。魔物が潜んでいても困りますから」
アザレアが奥へと向かう。その間に俺達は夕食の準備をしておくことになった。




