004話:気が付いてしまった
ある程度の光る鉱石を集めながら洞窟を進んでいくと洞窟の先に光を見つけた。鳥のさえずりが聞こえる。暖かい空気が流れてくる。
「きっと外につながっているんだ」
両手を挙げながら先へ先へと進んでいく立花さんを見て安堵する。はっきり言って代わり映えのしない洞窟に嫌気がさしていたのだ。太陽の光に喜びを隠せない。しかし何か様子がおかしい。先に洞窟を出た立花さんが足を止めて座り込んでしまった。
「どうしたの?」
そう声をかけながら近づいていく。洞窟を出て言葉を失った。そこは地上などではなくとてつもなく広い空洞だった。緑が生い茂り木は並び立ち森をつくっている。
しかし上を見上げてみても空はない。そこにあったのは岩肌とそこに突き刺さったオレンジ色に輝く一つの巨大なクリスタルだったのだ。
俺は気が付いた、ああここは確かに異世界だと。こうかもしれないああかもしれないと考えることはできた。夢かもしれない、夢であってほしいと思った。
けれど違うのだ。不思議な言葉と聞いて思った。光る鉱石に触って感じた。襲ってきたゴブリンに殴られてけがをした。そのゴブリンの首を折って生き物を殺した。
それでも気づきたくなかった、理解もしたくなかった。これが現実なのだと。俺は異世界にいるのだと。それでも今聞こえてくる鳥のさえずりは本物だ。今、感じる暖かい空気は本物だ。
ここはどこまでも残酷なまでに俺たちが住んでいた世界とは違った異世界なのだと。俺たちが迷い込んだのは自分たちの住んでいた世界の常識の通じない異世界なのだと。
ようやく俺は気が付いた。
◇◇◇
私は動けなかった。薄暗い洞窟で頭を起こした時も、頭に変な声が聞こえてきた時も、斗賀君がゴブリンに叩かれているときも私は動けた。できることがしたいと。
でも今は動けない。これは夢でも何でもないのだと。これが現実なのだと。自分は異世界にいるのだと。そう気づいたから。ここは私たちの住んでいた世界とは違った異世界なのだと。少し歩いただけで化け物に出会い、けがをして、死んでしまうかもしれないそんな世界なのだと。
その現実は私の足を止めるのには十分だった。
ついにここが異世界だという確信を得てしまった二人。......ところで他ののクラスメイト達はどうなったのでしょうか?
2019/05/19 一部表現を変更しました。