025話:オーガの村
~勇者side~
「いい加減に倒れろ!」
僕達はオーガの村を攻めていた。オーガはオークよりも強い魔物でスキルも使ってくる。その大きな巨体から繰り出される無骨ながらも激しい攻撃は脅威だ。
そのオーガ達が王国内の村を襲い食料などを奪い取る事件が起きていた。調べて行くと真っ赤な肌の色をしたオーガの特異個体によってオーガの村が作りあげられていたのだ。そんなものが出来てしまえば王国内での交通網に必ず問題が起こる。そういった事情で僕達が村を壊滅させることになったのだ。
そして今、オークの特異個体との戦闘を行っている。どうにか通常個体のオーガの全てを倒すことは出来た。後は特異個体だけになったがこいつがまあ強い。強靭な肉体と恐ろしいほどの再生能力で傷を負いながらも僕達を殺そうとしてくる。
「がぁぁぁ!」
そして、その咆哮がとんでもない。近くで発動しようとしている魔法を破壊するのだ。だから近接班だけで攻めている。
「《フリューエル》」
無属性魔法の1つを剣に付与してそこに魔力を流し込む。俺の剣が真っ赤に燃える。高熱を放つその剣でオーガの足の健を斬り裂いた。
その傷は真っ黒に焦げ付き再生も進まない。僕にも再生のスキルがあるからこそわかった弱点だ。火傷は再生では治しづらいのだ。オーガはバランスを崩し倒れ込む。
そこに大量の魔法が打ち込まれる。少し遠くから今か今かと魔法を組んでいた遠距離班の魔法だ。
「《《紅蓮弾》》」
「《《《ホーリーアロー》》》」
「《《アイスショット》》」
「《氷獄結界》」
最後の魔法は賢者の筒風さんの物だ。
火球を打ち込まれ、光魔法を受けて、氷柱が体に突き刺さったオーガの特異個体は筒風さんの魔法で体の芯まで凍りつかされた。
そこに僕達近接組は追撃を仕掛ける。
「《《《メガスラッシュ》》》」
「《《渾身の一撃》》」
「《ギガスラッシュ》」
「《雷帝の剛腕》」
凍りついていたオーガは砕け散った。凍りついたままその命を奪われた。自分が死んだことすら理解できなかっただろう。
クラスメイトのみんなに指示を出して周りを警戒してもらう。夜になりかけていたのでその場で野営をすることになった。手慣れたものだ。みんなですぐに用意を終える。
そこに警戒してもらっていた人達が報告に来た。
「半径3㌔以内の魔物などは全て倒してきた」
「魔石は?」
「もう、運搬係に渡した」
「そう、ありがとう。休憩に入ってくれ」
部隊長として指示をだす。
「いや、報告しなきゃいけないことがある」
「どういう事だい?3㌔圏内は安全なんだろう?」
「雲隠悠真が亜人を捕まえた」
亜人は人と魔物や精霊が交わり生まれたとされる魔族側の種族の総称だ。エルフ、ドワーフ、猫耳族など人とも共通点を持つ種族などだ。うん、ファンタジー。だけど全てが僕らの敵だ。
この国は人間至上主義だから仕方ないのかな?とにかく、情報を持っているかもしれない。
「特徴は!」
「狐人族の女だと思う。魔法で耳とかを隠していた」
「情報は吐き出したか?」
「いいや、まだだ」
「よし、行こう」
狐人族の所に向かう。彼女は両手両足を椅子に縛り付けられていた。
「取ってやれ」
自殺防止用のタオルを口から外させる。
「さて、君はここで何をしていたのかな?」
「……」
「話してくれたら解放するよ」
「そんな言葉には乗らない」
「どうしてさ?」
「人族のことなんて信じられない」
その後も幾つか質問を続けるが答える気配はない。
「仕方ないか」
「国に引き渡すか?」
「そうすることにするよ。自白剤とかもあるだろうし」
「それまで見張っておくな」
俺達はその場で一夜を過ごし王都へと帰還した。
◇◇◇
帰ってきて3日が経った。尋問が終わったと聞いた僕達は国からの報告を聞いていた。
「あの狐人族の女を尋問したところ狐人族があの特異個体を育てたことが分かりました」
「つまり、魔族側の陰謀だったと」
「そのようです。交通網にダメージを与えこちらに大きな被害を与えようとしたのかと思われます」
「許せませんね」
「自白剤によって拠点の場所を吐かせることが出来ました。勇者様方にはもう少しすれば国からの命令が降りるでしょうが、準備を進めておいて欲しいのです」
上官からの話には肯定を示しておく。軍部で雇って貰っている身に拒否権などないのだ。
「ところであの狐人族はどうなったのですか?」
「亜人は全て奴隷ですよ。あと、拠点襲撃の際はできる限り捕縛を優先するといいですよ。国からの評価が高くなるでしょうし」
「助言感謝致します」
「いえいえ、国を愛するものとして当然のことをしたまでですよ」
その後、狐人族の拠点への襲撃命令が下された。




