008話:勇者達の訓練
2019/04/30 三本目
~勇者side~
俺達は始めそれぞれの職業にあった武器を支給してもらえた。
俺はスキル聖剣創造で聖剣グラスを呼び出せたので別に良かったのだが、鉄の剣すら切り裂いてしまうので、練習用として貸し出された。
「いやぁ、いいよな勇者様は。思いっきり主人公補正がついているだろ」
そんな皮肉を言ってくるのは、異世界に来る前から仲の良かった宇田康介くんだ。
「そんなことないさ、ここに来るまでも体は鍛えていたしね」
「そうかい」
「君もなかなか職業を貰えているじゃないか」
「まあ確かにな」
「魔導武闘家だっけ」
「そうだぜ。武器を持たずに拳に魔法をまとわせて戦う近接型だな」
「ランク6なんだよね?」
「そうだぜ。ファイアーパンチなんてこともできるぜ」
彼は魔法の全ての属性、火、水、風、土、光、闇を拳に纏わせられるらしい。
「あれって熱くないの?」
「まったく熱くないんだな、これが」
「そうなんだ」
「そう言えば賢者なんて職業貰った人もいたよね、あれ職業なの?僕のも大概だけどさ」
「それは分かる」
「噂の賢者様が魔法の実演をするらしいし見に行こうよ」
「いいぜ」
そして、僕達は魔法使いのための訓練所へと向かった。
そこには10の的が用意されていて、少し離れたところに賢者の職業を手に入れたクラスメイトの筒風纏がいた。
「《ウォーターストーム》」
筒風さんが魔法を発動させる。
的は全て打ち上げられ水の竜巻に飲み込まれていく。
「《ブリザード》」
筒風さんが続けて魔法を発動させる。水の竜巻は凍りつき美しいオブジェが出来上がった。彼女は治癒魔法以外のほとんどの魔法が使えるらしい。僕は光しか使えないんだけど、僕の立場なくない?
それに治癒魔法は巫女の職業を手に入れた風上紗々さんが誰よりも得意だし、ほんとに僕の立場なくない?
そんな風に考えていると筒風さんが近づいてきた。
「どうだったかしら私の魔法は?」
その長く綺麗な髪の毛をはらいながら問いかけてきた。
「とっても綺麗だよ」
「自信作なの」
そう言いながら綺麗にセットされている髪を見せつけてくる。
「ああ、筒風さんに相応しい美しさなんじゃないかな」
「ありがとう」
満足してくれたようだ。女の子に送る言葉にはいつも迷ってしまう。間違った言葉を選ぶと大変な事になるからね。
「チッ」
どこからか舌打ちが聞こえた。
「じゃあ僕も訓練所で鍛錬してくるね」
「うん、またね」
そして、自分たちの訓練所へと戻る。
「来週にはダンジョンに連れて行って貰えるそうだね」
「それまでに出来るだけ実力を付けねえとな」
「そうだね」
僕達は楽しく過ごしていた。ファンタジーな世界も悪くない。
2019/05/19 一部表現を変更しました。




