001話:プロローグ
「いやー、今日もいい天気だ」
そう言って俺は学校への通学路を歩いている。俺の名前は斗賀浅沙多分どこにでもいるパッとしない高校生だ。
「おはよう、斗賀君。君は本当にパッとしてないね。今日ぐらい天気もいいんだからニコニコすればいいのに」
そういって話しかけてきたのは同じクラスの立花百合さんだ。
「おはようございます、立花さん。これでもかなり機嫌はいい方なんですよ」
「そうなの?君の表情は読みづらいからなー」
そう言って笑いかけてくる。可愛い天使かな?そう思ってしまうほどの美しさだった。そうと思ったことを隠しながら俺はぎこちない笑みを浮かべて。
「早く行きましょう。急がないと授業が始まりますよ」
と足を進めた。
いつも通りのクラス、いつも通りの昼休み。そのはずなのに立花さんがお昼を一緒に食べようと誘ってくれた。
「お弁当はいつも自分で用意しているの。あまり上手でもないんだけどね」
そう言って見せてくれたお弁当は本当に普通のお弁当だった。でも嫌いじゃない。
「なかなかいいんじゃないですか。卵もおいしそうです」
そう言ってただ話しているというだけでまわりからの視線が痛い。こっちは核でも落ちてくるんじゃないかと心配しているのに。
別のが来たクラスのイケメン山内光輝だ。
「さっきから適当な返事ばかりして、君は立花さんに失礼だと思わないのか?」
いきなりそんなこと言ってきやがったこのイケメン。
「別にそんなに変なことは言ってないと思うんですけど」
そうかえしてやると
「そういうところを言っている。そんな態度をとるなんて相手に失礼だと思わないのか」
うん、絶対こいつは自分が何しているかわかってない。いきなり人が話しているところに邪魔してくる奴の方が失礼だろう。何人もの女の子に囲まれて過ごしているから脳が腐ったのか?
何かしら言い返してやろうとしたそのとき床に何かしらの文様が浮かんできた。
「なんだ!」
「誰かのいたずらか!」
「ちょっとやめてよー!」
クラスのみんなが騒ぎ出す。
「なんなんだろう、斗賀君?」
そう立花さんが訪ねてくる。いや冷静だなそう思っているとその時。
『皆さん、お願いします。どうか、私たちの世界≪アリステイラ≫を助けてください。勇者様方』
そんな声が聞こえてきた。その直後に不思議な浮遊感に包まれながら意識を失った。
2019/06/30 一部表現の訂正を行いました。