016話:その瞳はまるで宝石のようだった
~立花さんside~
私はゆっくりと立ち上がった。まだ頭がはっきりとしない。一体何があったのか?
いきなり変な男が現れて私達を殺そうとしてきたんだった!
斗賀くんは無事なのだろうか?前を見るとそこには襲ってきた男が倒れていて、斗賀くんはその下敷きになっていた。
「斗賀くん!」
大声で叫びながら駆け寄る。男は既に息絶えているようで強引にどかしてみてもなんの反応もなかった。
「斗賀くん!」
そう叫びながら必死に彼の肩をゆする。彼は起きる気配がない。死んでしまったのかと思うほどに本当に反応がない。何故か胸元には穴が空いていて、服はボロボロになっていた。血にも汚れている。
それなのに彼はどこも怪我をしている様子はない。青白い顔をしているが命に別状はなさそうだ。少なくとも近くには遮蔽物がないのでモンスターどもにすぐに見つかってしまうだろう。そのことを踏まえた上で私は彼を背負って少し隠れられるだろう場所を探すことにした。
幸いにもモンスターに出会うことなく、隠れられる場所を見つけられた。とてつもなく大きな木の下にちょうど二人ほどが隠れられる場所を見つけられたのだ。
彼をその場所に寝転ばせて私はその横に腰をおろした。彼にはこの場所に来てから何度も助けられた。現実だと理解してしまって立ち上がりたくなくなった時に無理矢理にでも立ち上がるように声をかけてくれたのは彼だった。
口下手ではあったけれど。
ようやく水場を見つけられた時に隣で一緒に喜んでいたのは彼だった。食料の安全を確認するためにゴブリンたちを観察するなんていう事もした。
それに今回もきっと彼が助けてくれたんだろう。私が生きていて斗賀くんも生きていてあの男が死んでいるってことはそう言う事だ。
アイテムボックスにしまっておいた彼から貰った林檎もどきを食べながら彼が起きてくれるのを待つ。
「早く起きてよ!斗賀!」
少し待っていると彼が起き上がった。
「おはよう斗賀くん」
そういって彼のほうを見ると。彼はなんでもないように
「おはよう」
と返してくれた。
とてもつい先程まで目を覚まさなかった人間とは思えないほどはっきりとした声だ。
そして、彼のその瞳は赤くまるで宝石のように輝いていた。
2019/04/20 一部表現を変更しました。
2019/05/19 一部表現を変更しました。




