013話:絶望の使者
探索をしていると
「ようやく見つけたぞ!異世界人ども!」
と男の声がした。そいつはまるで怨霊のような男だった。濁りきった目をした男は
「死ねぇ!」
そんな単純な殺意と共に襲いかかってきた。
「お前たちのせいで!お前たちのせいで!」
そんなことを叫びながら男は鋭い手刀を放ってくる。
「何を言っている!」
そう叫びながらもどうにか避けることが出来たが俺はバランスを崩してしまう。
「しぃぃぃねぇぇ!」
男は鋭いパンチを打ち込んできった。思わず俺は倒れ込んでしまう。
そこに迫る男の蹴り。パンチを受けてわかったがこの男とんでもなく鍛えてやがる。それに言葉が通じない。この蹴りを喰らえば気を失って、なにも分からないまま殺されることになるだろう。そう思っているところに頼りないながらも安心出来る声が聞こえる。
「おりゃー」
立花さんに頭を棍棒で殴られた男はそちらに意識を向けるそのうちに俺は立ち上がってアイテムボックスから取り出した鉱石をいくつか投げつける。第六感でも働かせたのかいきなりこちらをふりむいて鉱石をすべてよけきった。俺の方を先に始末しようとおもったのかとんでもない速さで近づいてきた。
男は俺の首を掴むとそのまま俺を持ち上げて話を始めた。
「お前たちはどうやってここに来たのかをわかっているか?なぜ王城ではなくこのダンジョンに転送されたかをわかっているか?」
わかるはずもない。起きたらここにいたのだから。まず、ここはどこなんだ!
「お前らがここに来たのは俺が勇者召喚の儀式に介入したからだ。」
男は首をしめられているので話すことのできない俺を気にも止めず話を続ける
「なぜそんなことをしたかは簡単だ」
「《勇者召喚》には生け贄が必要だった。その生け贄として妹は人間に連れ去られた、俺の故郷の村人も全員」
そんな話を大人しく聞いていられる立花さんではなく男へ殴りかかる
「生き残ったのは俺だけだ」
「つまりは復讐だよ」
話しながら片手で立花さんをあしらっていく男は
「いや八つ当たりなのかもしれない」
そういいながら男は立花さんを壁まで蹴りとばす
「でもほかにできることが、やろうと思えることがない。勇者たちは全員俺が殺す。すべては妹、シルクのために」
そして男は手刀で俺の左胸を貫いた。
「次はあの子を殺そう」
そんな声が真横から聞こえる。このままでは立花さんまで殺されてしまう。どうせ俺は助からないだろう。それでも立花さんは生きて欲しい。でもどうしろというのか。
俺の胸から男が胸を引き抜いた。俺はとっさに男の肩を掴むとそのまま男の喉にかみついた。
「なにを……グッ」
男は口からも血を吐き出した。さすがに喉笛を噛み千切られれば生きてはいられないだろう。
「呪ってやる。殺してやるぞ勇者ども」
血を吐きながらも男は恨みごとをいい続ける。自分の不甲斐なさをも呪うかのように。そんな声を聞きながら俺の意識は遠ざかって行った。
2019/04/20 誤字脱字を訂正しました。
2019/05/07 一部表現を変更しました。
2019/05/19 一部表現を変更しました。




