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プレイステーション4プロ買いました。
だからプレイステーションVRと繋いでバイオハザード7をやって見ました。
あまりの怖さにゲロを吐きそうになりました。
だけど良い気分転換になったみたいで、筆が進みました。
スランプに陥ったらまたやろうと思います。
「僕たちをあなたの弟子にしてください!」
「私が?あなた方をですか?」
マルクは"はいっ"と強く答えた。少年の言葉にマギーは笑顔を崩さず、また少年を諭すように語りかける。
「お二人ともいいですか?あなた方は随分と魔法に強い憧れを持っているようですが、魔法はそれほど素敵な物でも、素晴らしい物でもありません。むしろ外法も外法、本来ならば口にするのも悍ましい物なんです。それを学ぼうとするなんて愚かですよ。」
男は魔法という物が如何に学ぶ価値がないかを子供たちに伝えようとする。だが子供たちにそんなことが分かるわけがなかった。
「そんな言葉で私たちが諦めると思う?大体あなたは魔法が何なのかさえ私たちに見せてないのよ?秘密秘密秘密、全部秘密。それで一体何を諦めろと言うのよ」
リリィは"諦めさせるならせめて魔法を見せてみなさいよ"と魔法使いを挑発した。
「挑発の上手なお嬢さんですね…全く…そういう風に言われるならば私はここでお暇させていただきます。」
小狼は失敗した。彼女は魔法を見せないのは魔法が門外不出の物だからだと予想した。魔法を見せてそれが素敵な物ではないと証明しなければ諦めないと駄々を捏ねれば、弟子にするしかない。それがダメでも諦めさせるため特別に魔法を見せてくれるかも知れないと考えたのだった。だがその考えは甘かった。男は立ち上がり、秘密基地を囲む椿の壁に近づく。
「申し訳ありませんが、あなたがたに魔法をお見せするつもりも、ましてや教えるつもりもありません。では失礼します。」
マギーが椿の壁に隙間を開けようと木々に触れた瞬間、バチンッと静電気が走ったときの何十倍もの音が聞こえた。マギーの大きく手が弾かれる。マギーが二人が出会って初めて驚いた顔をした。そしてすぐに呆れたような顔を覗かせ、額に手を当てた。
「全く…あの人は…こんなものまで用意して!」
マルクたちには見せなかった顔だ。出会った時の言葉と今の言葉から推測するにどうやらマギーはマルクたちの秘密基地に連れてこられ、ここに閉じ込められたようだ。男は黒と白の少年少女に振り返って笑顔で言った。
「ハハハッ、閉じ込めれちゃいました。」
マルクとリリィはお互いの顔を見合わせた。"一先ずこの男が自分たちの前から去っていく危機は乗り越えた"と安堵した。ただ今後の対応は慎重に行わなければならない。この男は優しくはあるが、甘くはない。自分たちの質問に答えてくれるが、要望を受け入れてくれるわけではないのだ。先ほどのように選択を誤るとこの男は自分たちの前から消えてしまう。だから二人はまずは目の前の男から信頼を得ることにした。
「マギーさん。あなたはこれからどうするんですか?ここから出られないようですが…」
「そうですね…無理矢理出ようと思えば出れないことはないのですが、その方法を取るとお二人に害が及びますし、あの神木も傷ついてしまうかも知れません。何より私は魔法を使いたくないですから。」
やはりこの男は閉じ込められたと言ってもここから出る方法がないわけではなかった。ただ一つの情報を得ることが出来た。この男がここを出るためには魔法を使うしかないようだ。
「リリィさんや森の守護者には申し訳ありませんが、私をここに連れてきた人が私をここから出してくれるまでここに居座らせてもらおうかと思います。」
「しょうがないわね。私の一族には黙っててあげる。だけどその代りに魔法使いの秘密を私たちに教えてくれないかしら?」
マギーは顎に手を置いてマルクとリリィを交互に見つめた。そして諦めたように息を吐いた。
「わかりました。それで手を打ちましょう。但し、先ほどのように魔法を見たいだの弟子にしてくれだのは無しにしてください。また同じようなことがあれば私はこの森から無理矢理にでも出ていきます。それこそあなたたちの大切な神木が傷つきようがです。いいですね?」
二人は男の譲歩に頷いた。
「マギーさん、あなたはお食事をどうされるつもりですか?まさか魔法使いはご飯を食べないんですか?」
「いいえ、マルクさん。魔法使いも食事は摂ります。無くても生きられますがお腹は減るのです。」
「それも魔法使いの秘密ですか?」
"その通り、魔法使いの秘密の一つです"とマギーは人差し指を唇に当てた。マルクはより多く、そしてより質のいい秘密を知るために一つの提案をする。
「マギーさん、これから僕がマギーさんの準備をします。だから持ってくるたびに魔法使いについて教えてください。」
「それでは先ほどのリリィさんの交渉を被ってしまいますがいいのですか?」
「構いません。その代り、教えてもらう秘密は出来るだけ質の良い物をお願いします!」
マルクに感心したマギーは"交渉の上手な方ですね"と黒上の少年を褒めた。それに対してリリィが"当然でしょ!私の下僕よ!"と鼻を高くした。
「マギーさんは食べられない物はありますか?あと好物とか。魚とかはあまりこの森では取れないので持ってくることは出来ないんですが…」
「いいえ、ありません。木の実でも果物でも肉でも魚でも何でも食べられます。好物はこれと言ってありません。あと持ってきていただく量は少量で構いません。木の実一つあれば私は1週間持ちますので。」
マギーの発言にマルクは驚いた。それは魔法使い全員に言えるのだろうか、それともこの男だけなのだろうかと考えていると
「ここから先は約束の報酬になります。」
とマギーがイタヅラっぽく笑った。少年は"それでは"とここに来るまでに採った果物を一つ男に渡した。
「本当に交渉の上手な方ですね。いいでしょう、食事を必要しないのは魔法使いの特徴の一つと言えます。ただし、例外はありますがね。」
男は果物を齧った。"この森の食べ物は随分とおいしいですね"と言って驚いた。
「ねぇ、あなたをここに連れてきたっていう人はまたこの森に来るのかしら?ならその人に伝えておきなさい、この森に入るなって。あなたはもう入ってしまった上にここに閉じ込められたようだから百歩譲って良いとするけど、その人は一度森から出て行ったのよね?またこの森に入ってくるようなら私は対処する必要があるわ。母様にも報告しなくちゃいけない。」
マギーはリリィの要求に対して首を横に振った。
「それは出来ません。その人は私の言うことを聞くような人ではないのです。ですがその人の行動が制限できるのは私にとっても望ましいことです。私のことだけを秘密にしてその人が森を荒らす可能性があると森の守護者たちに警告していただけますか?実際その人は森を荒らしてしまう可能性がありますからね」
「分かった。悪いけど、命の保証はないわよ。」
"構いません。殺すつもりでないと止まりませんので"と自称魔法使いが言った。
「それじゃ、私は母様のところに寄って帰るわ。マルク、一人で帰れるわよね?寄り道しない事、良いわね?」
「分かってるよ、来た道をそのまま帰るから心配しないで。」
マルクの言葉にリリィが"誰があんたのことなんて"と言ってそっぽを向いた。
「あっ、そうだ…大事なことを思い出した。マギーさん、あなたが出られないってことは僕らも…なんて事ありませんよね?」
「大丈夫です。この周りに張られた物はいわゆる結界という物なんですが、この結界は私に対する嫌がらせみたいな物で私にしか効果が無いようです。だから安心してください、お二人は問題なく出入り出来ますよ。」
"ではまた会う日まで、御機嫌よう"と男が手を振った。リリィはそれを無視し、マルクはお辞儀をして秘密基地から出て行った。
マギーが魔法使いかどうかは分かりませんでしたね。
それにしてもあの人とは誰なんでしょうか?
また次回もお楽しみください!
誤字脱字や読みにくい等あれば教えてください。
よろしくお願いします。
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