神こそ彼女だと思う。
「は?」
なんか今日はこんなことばっかいってる気がするけど、一番僕の気持ちを表しているのだから仕方がない。それよりも今の状況がよくわからなかった。
「なんかの冗談ですか?」
「いえ...調べたところあなたの今一番欲しいものとして、私が登録されていて...やっぱり欲しく無かったですかね。」
「いや、そんなことは...」
確かに欲しいよ?うん。そりゃサーリエさんみたいな彼女欲しいナーとか思いましたとも。かわいいし、性格良さそうだし、オーラがすごいし。でもさー大丈夫なのか?こういうのって人身売買とか...でも女神らしいし大丈夫なのか...
「それじゃあ決まりですね!今日からよろしくお願いします!」
サーリエさんはずいぶん乗り気なようだけど、
「あの、サーリエさんはこれでいいんですか?」
「なにがですか?」
なんでも無いようなサーリエさんの様子に調子が狂わされる。
「え?だって、サーリエさんの気持ちとか関係なしにこんなことになって...」
「リエでいいですよ。」
「あっはいリエさん...」
「リエでいいですよ。」
「じゃあ...リエ...」
「何ですか?」
名前で呼ばれて何故か嬉しそうなサーリエさんもといリエ。
「リエはこれでいい...」
「色々決めないといけませんね!」
「え?」
質問は最後まで言わせてもらえず、話題を変えられてしまった。
「決めるって何を?」
とりあえずリエに流されておこう。
「この世界で私が暮らす場所とか、なにして暮らすかとか、ですかね?」
「普通はホテルとかで寝泊まりして...バイトしてお金稼いで...ってあれ?」
目の前ではリエがふくれていた。
「なにいってるんですか、ここに住みます!」
「えっでも、急だと親とか許してくれないし...」
「私、神ですよ!それくらいの辻褄合わせなんて朝飯前ですよ!」
そうでした。神様なんですよね。
「それならまぁ、うちに泊まるのはいいとして...」
「泊まるんじゃなくて住む!」
「住むのはいいとして...」
よくわかんないところにこだわるリエ。
「そうなるとこの世界での二人の関係の設定とか、決めないといけないね...」
「えっ?彼女以外にありますか?」
当たり前のように言うリエ。
「彼女でいいの?」
ここまで全く縁の無かった僕には、その発想が浮かぶわけがない。
「義理の妹設定とかもできますけど...そっちの方がいいですか?」
「いやいやいや...彼女でお願いします。」
リエのなかの僕の印象はどうなってんだ。
「でも、欲しいものの二位は義理のかわいい妹って...なにするんですか!」
慌てて口を塞ごうとするぼくに文句を言うリエ。そんなことは気にせず、そのまま話を進める。
「その辺の設定は神様の力的なのでどうにかなるの?」
「もごもご...」
「ごめんごめん。」
口を塞いだ手をはなす。
「多少無理矢理にはなりますが問題ないですねー」
「すごいな。」
神様万能かよ。そりゃまあ時間も戻せるし...
「あれは一回きりなんですよ。」
口に出ていたらしい。
「別に口には出てないですよ?」
「ファッ!?」
(まぁ神ですし...心読むぐらいなら...)
「ちょっ怖いから!」
「普段は力を抑えるので安心してください。」
安心なんてできるわけないけど、ここはリエを信じておこう。
「他にはどんな力があるの?」
「家事なら大抵一瞬でできますし、ごはんの美味しさも保証できます。掃除なんかもこんな感じですね。」
手をふるだけでベッドが整えられる。
「おぉー!」
(女子力アピール成功!)
「女子力なのか?これ...」
「あれっ!?口に出てた...?」
「いや、なんか直接...」
「へっ?嘘?」
神様の力もいいとこだけでは無いらしい。
「うぅ...気を取り直して、今日から"彼女"としてお願いします!」
なんかリエのペースで話が進んでしまってる気もするけどまぁいいか。
どうやら僕には人生初の彼女ができたらしい。