僕の一番欲しいもの
僕のベットに座っていたのは女の子だった。大事なことなので2回言います。女の子だった。それにとびきりかわいい。かわいい美人ね。顔が整っていてかわいいあれね。
「神かよ...」
語彙が貧弱だ。こんなありきたりな台詞に対し、相手は過剰に反応した。
「え!なんで?なんでわかるの!?」
慌てっぷりもかわいい。思ったよりも落ち着いている僕は素直に聞いた。
「誰ですか?」
「えっと、名前はサーリエです。」
「サーリエさんですね。」
名前を聞いてとりあえず満足した僕は、次の質問に移る。
「ところでさっきの猫は?」
「私です。」
「そうですか...」
予想通り過ぎて少し萎える。
「え?猫のままの方が良かったですか?これでも見た目には少し自信あったんですけど...結構ショックかも…」
なんか誤解されたらしい。
「いや、めちゃくちゃかわいいしすごく好きですよ。」
「そ、そんな...///」
そう言うと照れて黙ってしまった。僕も発言を自覚すると恥ずかしくて黙ってしまったので、沈黙が訪れる。ナンダコレ。
先に口を開いたのはサーリエさんだった。
「その、さっき助けてもらったお礼がしたくて...」
「助けた?誰が?誰を?」
全く心当たりはない。
「さっき、トラックに轢かれそうなところを...」
あれは実際にあったのか。
「あのあとどうなったんですか?」
素直に聞く。
「あなたが死んでしまうとこだったので時間を戻して…」
「ありがとうございます!!」
反射的に礼を言った。助けられたのは僕だ。そういうと
「いえ...あの時助けられなかったら、時間を戻す前に死んでいました。本当にありがとうございます。」
一応助けた(?)らしい。
「お礼になにか欲しいものを1つ、お渡しします。」
「え、なんでもですか?」
「まぁ、ある程度は...ものでなく、能力とかでもいいですよ。一応神ですし...」
「え!?神なの?」
初耳である。
「えっ知ってたんじゃ...」
「う、うんもちろん...」
知ってたことにしよう。
「ですよね。それではなにがいいですか?」
「なんでも叶えられる力で。」
即答した。
「すみません...そういうのは神でも無理っていうか...」
「そうですよねー」
さすがに無理か。でもなぁー欲しいものって無いんだよね。そうだ。
「じゃあ僕の今一番欲しいもので。」
「え?あっはい。調べさせていただきますね...」
そういうのはいけるのね。まぁこれで後悔することは無いだろう。
「分かりました。では両手を広げて下さい...」
サーリエさんは何故か下を向いていた。僕は両手を広げる。どんだけ大きいものなんだろう?期待に心を踊らせる。
「では...」
ついに僕の一番欲しいものが手に入るらしい。僕は目を閉じた。
パス...
腕に飛び込んできたのは予想よりも軽く、小さく、柔らかなものだった。ほのかにいいにおいもする。
「なんだろ...」
僕は目を開ける。視界に入ってきたのは――
「あなたの今一番欲しいものです...」
――腕の中から僕を見上げるサーリエさんだった。