悩みノ在り処
前話の託満視点です。
俺は朝から疲れていた。
アカリが朝早くから俺を起こしに部屋まで来た。そこまでは良かった。
トイレの場所が分からないというアカリは端から見ても危ない状態だったのだ。
もじもじと尿意を我慢している顔は今にも泣き出しそうで、体も脚をぴったりと合わせており、我慢する事に集中しなければ最悪の事態になるという事が歴歴と伝わって来た。
実は俺も朝の生理現象が起こっており、アカリにバレないように立ち回っていたのだが、そんな場合ではなくなった。
仕方なく彼女をお姫様抱っこで抱え上げ、彼女を助けつつ俺の秘密を隠すことが出来る方法を取った。
しかし、俺は自身の行動を深く後悔した。
彼女に自覚はないのであろうが、俺が歩を進める度に彼女から甘えた様な声色で、「んっ」とか「あっ」とか耳元で囁かれ、非常に筆舌に尽くし難い状況に陥ったからだ。
彼女は我慢することで精一杯なのか、トイレに着くまで俯いていた。俺も理性を振り絞り、顔を背けながら念仏を頭の中で唱えていた。
しかし、彼女を下ろした後もまだ災難は続いた。
彼女はトイレの使い方が分からなかったのだ。
俺が座って用を足すというのを実践して教えたが、股を押さえ、脚をくっつけ、前屈みになり、苦しそうに喘ぐ姿は俺の理性を破壊しかねない威力であった。
正直、俺が悪い奴ならもう一線所か五線位超えてますよ。マジで。
まあ、彼女が我慢で精一杯なお陰で俺も朝の生理現象に気付かれずに済んだのだが…。
誰が何と言おうがそれ以外に理由はない!
しかし、今になって俺は今悩んでいる。
彼女共々何事もなかったかの様に朝食を食べているが、本当に隠し通せていたのだろうか?
彼女が苦しんでいる間きちんと紳士的な態度でいられただろうか?顔がにやけてはいなかったであろうか?
考えればキリがない。
俺は嘆息し、庭を見る。
改めて女の子との生活の難しさに気付かされ、これからの事が不安になる託満であった。




