秋冬ファーストフード
「はーテスト終わったー!」
「お疲れー」
「ホントだよ…今回大丈夫かな…数学やばかったな」
「大丈夫だって!ウチと勉強したじゃん」
「そうだよな。今更心配したってしょうがないよな」
「そうそう」
定期テストの最終日を終えて、2人は晴れ晴れとした表情で学校を後にした。これから隣駅の楽器屋に立ち寄る予定なのだ。駅前まで来たところで、そこにあるファーストフード店に目を留めたスロワは、昼食をまだ食べていないことに気付いた。
「ねぇ灰花、お昼まだじゃん?マック寄ってかない?」
「あ、そうだな。行くか」
「ウチクーポン持ってんだー」
「いつも思うけどスロワってよくそういうクーポン持ってるよな。どこで手に入れてくるんだ?」
「んー、宮神楽の方ってよくそういうの配ってる人多いんだよねー。ほら、繁華街っての?そういうのあるじゃんあっち」
「あぁ…確かに」
「あ!三角チョコパイ!あれウチチョー好きなんだよねー!」
「あー、俺もたまに食べるけどあれ美味いよなー」
「秋冬のファーストフードって美味しいのありすぎて困るんだけど」
「分かる」
「でしょー!?月見でしょ、グラコロでしょ、三角チョコパイでしょ」
「期間限定だから余計食いたくなるんだよな」
「そうそうそう!あと別んとこだとポットパイとかあるじゃん?アレも好きなんだよねー。この辺無いからアレだけどこの時期行くといっつも買っちゃう」
2人の話は絶えない。お昼時で店には長蛇の列だが退屈はまったく感じていないだろう。店頭のメニューを長身の灰花が眺めていると。
「なぁ何か新しいのあるぞ」
「えっ、マジ!?なになに?」
「かにコロッケだってよ」
「何それ美味しそう!ウチそれにしよ!」
「へー今てりやき安いんだな。俺こっちにするか」
「相変わらず金欠だねー。灰花もバイトしたらー?」
「そりゃしたいけどさ…くずはさんにいつ呼ばれるか分かんねぇし」
「…そんなこったろうと思ったよこのホモ花」
そんなことを話しているうちに順番が回ってきた。それぞれが注文しお金を支払う。
「かにコロッケ気にならない?一口あげる」
「マジ?やった」
三角チョコパイ美味しいです。