第6話 片鱗
「せ、先輩?」
今だに悪魔のような笑みで微笑み、話してくる先輩に僕は何も言えずにいた。
「青山くんから告白してくれたんだし、青山くんが裏切りなんて思ってないけど、万が一のことがあったら、私自身なにするか分からないから私を裏切らないでね。私を愛し続けてくれるよね?!」
先輩のこの質問に対して、間違った台詞を言ったら殺される!物理的にも精神的にも、そう思わせるほどの殺気を先輩から感じた。
しかし、僕の中では、この質問に対する答えは決まっていた。
「大丈夫ですよ!僕は先輩のことが好きだから告白したんです。だから先輩以外の人を好きになったりすることはありませんから安心してください」
僕がそういうと先輩は目を見開き、驚いた、はとが豆鉄砲を食らった顔とはこう言う顔なんだろうなそんなことを頭の片隅で思ってると、先輩は顔を俯せて頬を赤く染めていた。
「まさか、そんな直球にかえしてくるなんて」
何か小声で呟いていたがよく聞こえなかった。
しばらく先輩は下を俯いたまま顔を上げようとしなかったので、僕はとりあえず残りのお弁当を食べることにする。……それにしても本当にこのお弁当美味しく色とりどりだが、この一部の赤い色をした野菜はどんな野菜を使ってるんだろ?不思議でままならないが、何故かその野菜だけは体が食べることを拒否したので食べなかった。
「ご馳走、おいしいかったです。ありがとうございます、先輩」
食べ終わり、お弁当の蓋を閉じたタイミングで、先輩が顔を上げた。
「お粗末様でした。食べてくれてありがとうね」
そう言って、喜ぶ先輩の顔は、ラノベやアニメでよく見る乙女の顔そっくりだった。
完全無欠の先輩でもそんな乙女のような顔するんだなぁ、きっと誰も見たことない、白川先輩の素顔なんだろうな。
そう思うと、何故か謎の優越感が沸き上がってきた。
食べ終わり、お弁当を先輩に返した後はしばらく沈黙が続いた。
だって仕方がないじゃないか、面白い話なんて出来ないし、つい最近まで2次元の女の子しか愛して来なかったんだから、女の子に対してどんな話をしたらいいか全く分からないし、僕に出来る話なんて、アニメの良いところやラノベの感想など、2次元のことを語るぐらいだ。しかし、そんなことをいきなり語りだしたら引かれるのは目に見えてる。
ふと、先輩の方を見ると
「…………………………………………………」
どうやら、先輩も同じことを考えてるらしく、メチャクチャ複雑な顔をしていた。
そもそも、先輩がどんな趣味を持っているかも知らないし、普段どう過ごしてるかも知らない。
そうか、知らないなら聞けばいいんだ!話題作りにもなるし一石二鳥だ。そう決まれば、
「あ、あの、先輩は休みの日ってどんな感じで過ごしてますか?」
「え、あ、や、休みの日?そ、そうだなぁ、まぁ勉強したり、トレーニングとか、かな?」
休みの日の過ごし方を聞いただけなのに何故か先輩は歯切れの悪い口調で答えた。何? もしかして、何か変な地雷踏んじゃた?
まぁそれは置いとおこう、そうしよう! 僕は無理あり自分の中で折り合いをつけた。
それにしても、休みの日まで自分を高めてるなんて、先輩はどこまで完璧なんだ。
「青山くんは休みの日どうしてるの?」
先輩の完璧具合について考えていたら今度は先輩に質問させれてしまったが、どう返そうか、素直に
「アニメ鑑賞と漫画がラノベの漁り読みしたりしてます!」
なんてことを言うのはさすがに気が引けるしなぁ、う~ん、本当にどう答えようか?
「青山くん?」
「あー、まぁテレビを見たり、読書したりですかね、ハハハ!」
完璧ではないだろうかこのオブラートな包み具合、これならなんも違和感ないはずだな!
それにしても、だいぶ会話も出来てきたし今度は趣味の話とかでもしてもっと会話を続かせるべきだよな、この話せてる流れてを切らせないように、………よし! そう決めて再び先輩の方に顔を向けると
「へぇ、へー、テレビ、テレビかぁ、へー、テレビねぇ」
何故か僕の言ったことを繰り返し呟いていた、なに?!僕まさか、変なこと言ってしまっのか?!
「せ、せんば
キーンコーンカーンコン
不安になり先輩を呼ぼうとしたところで予鈴がなってしまい、言葉が途切れてしまった。
「先輩?」
「あっ、そろそろ戻らないとね!お弁当食べてくれてありがとう!じゃ、また放課後に!」
そういうと僕の言葉を聞かずに先輩は駆け足で校舎に戻っていた。
なんだったんだ?最後僕の話を聞いたときの先輩は?
お久しぶりです!そして誠にすみません、もう最近色々やることが多すぎて、こっちの方が疎かになってしまい、更新するのにメチャクチャかかりました!
しかし、自分では面白く出来てきているんではないかと思っているので是非ともこれからもよろしくお願いします!
また、いつも通り、感想や指摘がありましたらどしどしお願いします!
新学期始まったら更新出来る回数も増えると思います!