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旅立ち
小さな町を出て、広い世界へと旅立った。
産まれた時から一度も町の外へは出た事が無かったヒメール。第一歩を踏み出した足は、とても重く、けれども弾み、そのまま何処へでも行ける様な気がした。
まずは何処へ向かおうか?
ヒメールの頭の中に真っ先に浮かんだ場所は、海だった。
青色が好きなヒメールは、真っ青な海と、何処までも続く真っ青な空を見たいと思った。
地上も空も青一色に染まった世界。そこはどれ程美しい景色なのだろうか。想像も出来ない程に、美しいのだろうか。
そこから始める。そこから始めよう。本当の自分を作りに、海へと向かおう。誰かに作られるのでは無く、自分で作る自分。
作られた自分は海へと投げ捨てよう。偽りの自分は空へと飛ばしてしまおう。本当の自分を、貝殻から集めよう。
第一歩を踏み出した足は、大空へと羽ばたく第一歩。
「Der Himmelそれは大空と言う意味。ヒメールと言う本当の存在は、ここから始まる。」
~end~