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ご主人様と猫。

ご主人様と猫。‐猫とベッド‐

作者: 鍵屋

※ 当方の「ご主人様と猫。‐猫とティータイム‐」の続編的物語です。お読みになっていないと理解出来ない点もあるかと思われます。

  よろしければそちらを読んでから、ご覧いただけると嬉しいです。

 昼間たくさん寝ていても、夜になれば自然と眠気は襲ってくるものなのです。

 あくびをしつつ、寝支度を終えベッドにと向かいます。



「遅かったね、みー」



 そこにはなぜか、既にご主人様がいました。

 思わず立ちどまり、理由が理解出来なくて首を傾げます。


 そこはアタシのベッドなはずです。



「みー」



 自分の隣をぽんぽんと叩きながら、ご主人様は笑顔で再度アタシを呼びます。


 ああ、あの笑顔をする時は逆らわないのが一番なのです。

 恐る恐るベッドに近付いて乗っかって、ご主人様を見つめます。



「なんで俺がここにいるか分かってないって顔をしてるね。

 昼間自分が何をしたか、思い出してみたらどう?」



 ……昼間、ですか?


 昼間は確か、ご主人様が外出されたのでお屋敷の中を探検したのです。

 無駄に立派なお屋敷の中は、やっぱり無駄に豪華だったのです。


 で、その途中で熊さんにあいました。


 大きな身体におひげのお顔、つぶらな瞳はお歌の中の熊さんそのものだったのです!

 あるぅ日ぃ、森のぉ中ぁ、熊さんにぃ、であぁった。……出会ったのはお屋敷の中でしたが。


 とにかく、アタシは熊さんにくっついて厨房にいって、そこでアイスをいただいたのです。甘くっておいしかったのです。ほっぺた落ちるかと思いました。


 そんなアタシに、内緒だよともうひとつアイスをくださいまして、探検のお供にアイスが増えたのです。



「みー、思い出した?」



 そこまで思い出したところでご主人様から声がかかりました。

 が、無視です。

 アタシの小さな脳みそでは一度にたくさんのことを処理できないのですよ。


 ええっと、アイスをお供に探検を再開したのですよ。

 それでとっても素敵なベッドを発見しまして、そこで昼寝をしてしまったのです。


 当然起きた時にはアイスは姿を消しておりまして、ふにゃふにゃになったコーンだけがアタシの手元にあったのです。

 ミステリーですね。


 うんうんと頷くアタシとは対象的に、ご主人様はどこかイライラした様子です。

 ダメですよ、カルシュウム不足は身体と心に悪いのです。



「シーツだけでなく、マットレスまでクリーニングする必要があるんだって」



 ……ナンノコトデショウ。



「あのベッドはサイズが特注な上に俺の身体硬さも合わせてあるんだよね。

 新調するよりはクリーニングの方が早いし安くつくということになったんだけど……」



 嫌な予感がして、ベッドの上で後退ります。ですがすぐにつかまれ、それも阻まれました。


 ご主人様、あなたは人でなしですか。

 こんないたいけなアタシをいじめるだなんて。



「一週間」



 はい?



「ベッドが使えるようになるまでにかかる期間。

 その間俺はこのベッドで休むことにするね」



 もっと意味がわからないです!

 というか、手を離してくださいっ!



「暴れるな、みー」



 それは無理な相談ですっ!


 だけど抵抗は無駄で、アタシはご主人様の腕の中にすっぽり収まります。

 のしかかるような格好はご主事様の体温を直に感じれて、トクトクと伝わる心音が眠りを誘うのです。


 …………。


 はっ。ついうとうとしてしまいました。

 アタシとしたことが!



「睡眠はしっかりしたものを短くというのが、うちの祖父の格言でね」



 はぁ、ご主人様のお祖父様の格言ですか。

 確かに素敵な眠りは最高なのです。それはわかります。


 ですがですね、それがアタシと一緒に寝ることにつながるのか理解出来ないですよ!



「だから合わないベッドで休む気にはなれない。客用で一番俺に合うのがこのベッドなんだよね」



 だったらアタシが別のところで休むですよ! アタシはどこでも寝れるのが特技なんです!



「とはいえ、普段使っているベッドには到底敵わない。そこで思いついたのが、小動物ぺっとによる癒し効果。

 そういう訳だから、俺のベッドを使い物にならなくした罰として大人しく抱き枕になって」



 んなっ! なんと横暴な!

 アタシは小動物は小動物でも、大人しく主人に従う〝犬〟ではなく〝猫〟なのです!


 それを主張するためにご主人様の顔を睨みつけたら――寝息をたてて寝てやがります。

 アタシもびっくりな寝つきの良さですよ。



「……今日だけ、だから……」



 ベッドをダメにしたのはアタシなのです。なので今日は引いてあげるのです。

 決して、ご主人様の温もりが心地よいとか、そんな理由じゃないのですとも! ええ!


 ご主人様の肩に頭を預ける体勢で、そのままアタシは眠りにつきます。

 木々に囲まれたこのお屋敷は夏の夜でも涼しくて、くっついて寝ても暑苦しくないのが救いです。

で、ベッドで一緒に寝るのがテンプレとなるわけです。

時系列的には「猫とティータイム」よりは前の話ですが、「ご主人様と猫」第二段です。


楽しんでいただけたのなら幸いです。

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