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王立学園の死神は放課後に命を弄ぶ ~両親を殺された侯爵令嬢が死神となって悪人を楽しくざまぁする異世界近代魔法ミステリー!?~  作者: 猫月九日
第三幕 スラム調査編

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第29話 案内と森

「こっちだ」


 レイヴンが前を歩きながら、そう言った。

 その後ろをリーネは間違いなくついていく。

 やがて時間をかけて、スラムの外までたどり着いた。


(仕方ないとはいえ、ゆっくりですね……)


 レイヴンの足取りはかなり遅い。やはり、死神の力を使って回復させたとはいえ、まだ本調子ではないのだろう。

 焦らせたくはない……が、リーネとしても、レイヴンとしても、早くアリアのもとへたどり着きたい気持ちは同じだろう。


(ならやることはひとつです)


 リーネは少し早足になって、レイヴンの背に手を置いた。


「リーネ嬢? どうかしたのか?」


「浮きますよ」


「は? うわっ!」


 リーネはレイヴンの背中から、死神の力を注ぎ込む。

 すると、レイヴンの身体がふわりと浮き上がった。


「なっ! なんだこれは!」


「単に浮いただけです。これで早く移動できるでしょう?」


「それはそうだが……そうか……うん、助かった」


 浮いてすぐは足をバタバタとさせていたレイヴンだったが、リーネの言葉、そして今の状況を思い出したのか、すぐに落ち着きを取り戻した。


「変に足を動かさずとも動けるはずです」


「なるほど……こうかな?」


 レイヴンは直立不動のまま、ゆっくりと前に進み始めた。


「あ……これは楽かも……」


「見た目はちょっと不気味ですけどね」


 リーネはちょっと苦笑いをしつつ、自分にも死神の力を注ぎ込んで、浮かび上がる。


「さて、行きましょう。改めて、案内を頼みますよ」


「ああ、任せてくれ!」


 そうなってからは早かった。

 スラムの外の何もない平野を進み、すぐ近くにある森の中へと入っていった。


(ここがあの噂の森ですか。魔物が出るとかいう話の)


 そもそも、リーネは王都から出るのも初めてだ。

 ちょっとだけ新鮮な気持ちになりながらも緑深い森の中を進んでいくと、木の陰からガサガサと音が聞こえた。


「魔物だ」


 レイヴンがそちらの方を見て、警戒の構えを取った。

 その通り、木の陰から狼のような魔物が二匹、こちら伺っているのが見えた。


「戦っている暇はありませんからね」


 リーネとしては、少し興味があったが、今はそんなことをしている場合ではない。


「……気配を消しましょう」


 リーネはレイヴンにそう言うと、死神の力を使って二人の気配を消した。

 すると、魔物たちはリーネたちを急に見失ったことに驚いたのか、木の陰から出てきて、辺りを見回し始めた。


「本当に見えなくなったのか」


「ええ、見た目だけでなく、匂いやその他まで、完全に消していますからね」


「スパイとしては羨ましい能力だな」


「必要な時に言ってくれればかけてあげますよ」


「……代わりに何を要求されるかわからないからやめておこう」


「そうですね……今のあなたの頑張りによってサービスで一回くらいはタダにしてあげますよ」


「そりゃ助かる。頑張らないとな」


 リーネたちは軽い雑談に少し笑いながら、魔物との隣を通り過ぎる。

 魔物たちはしばらく辺りを見回していたが、やがて諦めたのか、また木の陰へと戻っていった。

 その後、魔物と遭遇しても、把握されることもなく、森の中を進んでいき、やがて、洞穴の前にたどり着いた。


「ここだ、ここの奥からアリア嬢の匂いがした」


「アリアの匂いというとなんだか、怪しい気がしますが、まあ、ご苦労様です」


「はは……流石に疲れた……少し休ませてもらってもいいかな?」


「ええ、いいですよ。後は私に任せてください」


 リーネが言葉を言い切る前に、レイヴンは近くのある木にもたれかかって、目を閉じてしまった。


「随分と無理をさせたみたいですね」


 スースーと寝息を立てているレイヴンを見て、リーネはゆっくりとレイヴンの頭に手を伸ばす。


「助かりました。ゆっくり休んでください」


 リーネはレイヴンの頭を撫でながら、万が一の時のために、レイヴンの身体を強化しておいた。

 これで、万が一何かあっても、大丈夫。もっとも魔物には察知されなくなっているから、そんなことにはならないだろうが。


「それでは、救出といきましょう。囚われの姫を助けに、死神が行きますよ」


 立ち上がって、洞窟の中へ入っていくリーネ。その表情はいつも通りの笑顔だったが、その目は真剣そのものだった。



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