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王立学園の死神は放課後に命を弄ぶ ~両親を殺された侯爵令嬢が死神となって悪人を楽しくざまぁする異世界近代魔法ミステリー!?~  作者: 猫月九日
第三幕 スラム調査編

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第26話 予測と不安

「あれは白ですね」


 スラムへと向かう途中、リーネはレイヴンにそう言った。


「僕も同じ感想だ。少なくとも、神父の行方不明とは関係なさそうだった」


 レイヴンも同意した。それがカルド商会に直接話を聞いた二人の感想だった。


(あの次期商会長も小物という感じでしたし)


 正直、もうちょっと裏があると思っていたリーネとしては肩透かしを食らった感じだった。


「しかし、まさかアリア嬢が商会長の娘だったとはね」


「ええ、どこかの貴族の隠し子かとは思ってはいましたが、まさかそういうつながりだとは思ってませんでしたよ」


「リーネ嬢はどうするつもりなんだ?」


「どうするとは?」


「アリア嬢にこのことを話すのか?」


「あー、なるほど……」


 レイヴンからの質問にリーネは少し考えた。


(別に口止めもされてませんし、話してもいいですが……いえ……)


 ふと、リーネは思った。


「アリアはもしかしたら知っていたかもしれませんね」


「えっ?」


 よくよく、思い返してみたら、色々と思うところがある。


「さすがに考えすぎではないかな?」


 レイヴンが苦笑いをしたが、リーネは首を振った。


「街に連れ出した時、アリアはカルド商会の方をちらちらと見ていました。もしかしたら、父親がいるかもと思っていたのかもしれませんよ」


「でも、それだけじゃないか?」


「いえ、例えば、あの次期商会長からの求婚を断り続けていたこともありますしね。もしかすると、アリアも一緒になるのは無理だと知っていたのかもしれませんよ」


「普通に嫌だっただけじゃないのかい?」


「それもあるかもですね。だから、ただの予測です」


 リーネとしても確信はない。

 ただ、仮に嫌いだったとしてもアリアだったら求婚を受け入れ、自分を犠牲にして支援を受け入れていても不思議じゃない。

 そんなふうにも思えるのだ。


「まあ、帰ったら聞いてみましょうか」


 結局は聞いてみないとわからない。


「おや、結局話すのかい?」


「ええ、知ってても知らなくても結局は時間の問題でしょうしね」


 あの次期商会長のやらかしをカルド商会としては、放置できないだろう。

 その時に動くのは商会長自身だ。きっと近いうちにアリアと対面することになるのは予想できる。


「心構えをしてあげるのも優しさではないですか?」


「……単純に反応をみたいだけだろう?」


「おや、失礼な。そのとおりですが」


 はははと笑いながら、リーネとレイヴンはスラムへと戻った。

 行方不明事件についてはなんの進捗もなかったが、アリアについて知れてなんとなくすっきりとした気持ちでいたリーネ。

 しかし、そのすっきり感は長くは続かなかった。


「……」


 教会の前にたどり着いたリーネは、ふと違和感を覚えて立ち止まった。


「どうかしたのかい?」


 問いかけてくるレイヴンを放置して、リーネは急いで教会の中へ入った。


「……人の気配がありません」


 教会の中は静まり返っていた。子どもたちの姿もない。

 教会は孤児院も兼ねている。そこには多くの子ども達がいる。

 それなのに、音一つしないのはどう考えてもおかしい。


「レイヴン様……」


「見てくる!」


 リーネの言葉を最後まで聞くことなく、レイヴンは教会の中へ駆け込んでいった。


「……」


 遠くから聞こえてくるのはレイヴンの足音だけ。

 静けさに包まれた教会の中で、リーネは自分の心になんとも言えない違和感を覚えた。


(……不安……そうか、これが不安というやつなんですね)


 意識をしたら、段々と感じてくる心の空虚感。


(まるで、心の中にぽっかりと穴が開いたような感じですね)


 なんとなく立っていられなくなったリーネは、大きく首を振って、教会の外へ出た。

 リーネ自身は気が付かなかったが、それは何かを求めるような動きだった。


「ワォン!」


 ちょうどその時だった。

 遠くから犬の鳴き声が聞こえてきた。

 顔を上げてみると、一匹の見覚えのある子どもの犬の魔物が、フラフラになりながらもリーネに向かって走ってきていた。



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