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王立学園の死神は放課後に命を弄ぶ ~両親を殺された侯爵令嬢が死神となって悪人を楽しくざまぁする異世界近代魔法ミステリー!?~  作者: 猫月九日
第三幕 スラム調査編

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第25話 禁断の恋と早合点

「あなたのおっしゃる通り、アリアは正真正銘、わたしの娘です」


 リーネの推理に、カナックは観念したように話し始めた。


「アリアの母親は、小さな頃から私のメイドをしていてくれた女性でした。愛し合っていた仲でした」


「娘がいたのを知ったのは、割と最近なんじゃないですか?」


 リーネの質問に、カナックは首を縦に振った。


「はい。恥ずかしながら、私は彼女が妊娠していたことすら知りませんでした。私がアリアの存在自体を知ったのは、たまたまスラムに行く機会があって、そこで偶然アリアを見つけた時でした」


「それで支援を始めたのですね?」


「ええ、すぐに調べて、彼女が娘だと確信いたしました」


「引き取ることは考えなかったんですか?」


 リーネではなく隣に座っていたレイヴンが尋ねた。


「もちろん、考えました。しかしながら、今まで存在すら知らなかった娘にいきなり父親などと名乗ることなんてできるでしょうか? 私にできるのは、せめて彼女が安心して暮らせるように支援をすることだけでした」


「ふむ……アリアがいる教会の神父については何か知っていますか?」


「神父様ですか? ええ、もちろん、支援の話をする時にすべてをお話しましたから」

「そうですか……」


 リーネは考えた。


(やはりこの人が神父をどうこうというのは考えづらいですね……となると……)


「腹を割って話しましょう。私たちは神父が行方不明になったのはカルド商会が何か関わっていたのではないかと考えてここに来ました」


「……は? 行方不明……ですか? 神父様が?」


「ええ、アリアいわく、三ヶ月ほど前から姿を見せていないそうです」


「そんな……そんなことは報告にはまったく……」


 カナックは驚愕した表情を浮かべた。それに嘘はないように見える。


「どうやら、あなたは現状のアリアについて何も知らされていなかったようですね」


「それは息子に……まさかっ!?」


 カナックは突然立ち上がり、顔を真っ青にした。


「おい! 誰か! すぐにヘイクをここに呼べ! 今すぐにだ!」


 カナックが立ち上がり、部屋の扉を開けて叫んだ。


(呼び出そうと思っていましたが、自発的にやってくれて助かりましたね)


 それを見ながらリーネはゆっくりとお茶を飲むのだった。



 数分後、ヘイクが応接室に入ってきた。

 はじめはリーネやレイヴンを見て、警戒していた様子だったが、カナックがアリアについて話をするにしたがって、表情が青ざめていった。


「……はぁ? アリアが……妹……?」


 最終的には、ヘイクはがくりと膝をついてしまった。


「そうだ、お前の腹違いの妹になる。まさか、そんな相手に求婚していたなんて……」


 呆れたような目でカナックがヘイクを見下ろした。


「禁断の恋とはままならないものですね」


「そういう話じゃないと思うけど」


 そんな様子をリーネとレイヴンが冷ややかにお茶を飲みながら見ていた。


「私はお前を信頼して、支援を任せていたのに……勝手なことをしでかした上、まさか神父にまで手を出すなど……」


(おっと、ようやく話が戻ってきましたか)


「ま、待ってくれ! 神父に? なんのことだ?」


 ヘイクが慌てて顔を上げた。


「何を言っている! アリアを自分の物にするために、神父様に手を出したんだろう!?」


「そ、そんなことはしていない! 邪魔だとは思っていたことは確かだが、そこまで落ちぶれちゃいない!」


 ヘイクは必死で否定している。


(あー、そっち側で来ましたか……これは完全に私の早合点でしたかね?)


 ヘイクが嘘を言っているようにはとてもではないが見えなかった。


「何を馬鹿なことを!」


 激昂しているカナックはそのままヘイクに詰め寄っている。


「本当だ! 調べてもらえばわかる! 俺は何もしちゃいない!」


 殴りつけんとするカナックに対して、ヘイクは必死で否定をする。


「えー、よろしいですか?」


 そこでようやくリーネは口を挟んだ。


「そういうのは我々が帰った後でやってもらえると助かります」


「何……あ……し、失礼しました」


 激昂していたカナックはリーネの言葉にはっと我に返ったようで、即座に頭をさげてきた。


「で、あなた。何さんだか忘れましたが、神父の行方不明について知っていること、すべて話してもらっていいですか? もちろん、断ることなんかしませんよね?」


「……私に話せることなど、ほとんどありませんが……」


 有無を言わせることのないリーネの態度に、ヘイクはほっと息をついたように話し始めたのだった。



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