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王立学園の死神は放課後に命を弄ぶ ~両親を殺された侯爵令嬢が死神となって悪人を楽しくざまぁする異世界近代魔法ミステリー!?~  作者: 猫月九日
第一幕 呪いの旧校舎

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第8話 遺体と推理

「察するにあれが穢というものなのかと思います」


「ええ、聞いた限りだと間違い無いでしょう。まさか僕が到着するまでにそんなことがあったとは」


 リーネが穢を浄化したことを聞いて、レイヴンは頭を抱えた。


「死神に就任して即座に仕事を全う。どうやら私は死神に向いていたみたいですね」


「確実に対処できている辺り……ある意味それは正しいかも知れないけど……」


 レイヴンは顔を上げると、リーネを見るなりため息をついた。この奴隷、随分と失礼である。


「私が昏倒したのもそれが原因なのでしょうか?」


「その可能性は高いかもしれないね。穢に近づいた人が意識を失うというのは実際に事例としてあるし」


「ふむ……」


 リーネはそれを聞いて少し考え始めた。何かが引っかかった気がしたのだ。


「しかし、リーネ様が穢を浄化したのであれば、これでもう解決ということですわよね! さすがリーネ様ですわ!」


 そんなリーネのことを褒め称えるノエラ。しかし、レイヴンは首を振った。


「いいや、そういうわけにはいかないんだよ。確かに一時的には収まるかもしれないけれど、まだ問題は残っているよ」


「そうなんですの?」


「確かに穢は浄化されたよ。でも、穢の元となった遺体がまだこの世に残っている限り、また同じことが起きる可能性があるんだ」


「……またあの黒い影みたいなやつが発生する可能性があると?」


 リーネの問にレイヴンは首を振った。


「さっきも言ったように、人型の穢は特別な場合にだけ発生するんだよ。普通の穢は本当に単なる煙みたいなもの。しかも、たいていの人は見ることすらできない、空気みたいなものだね」


「それは随分と呼吸がつらそうな空気ですね」


 まさに毒という表現がぴったりというところか。


「人型が発生するのは、魂が残っている場合だけなんだ。そして、魂がその場に残るのには、強い感情が残っている場合だけなんだ」


「強い感情……私にはわかりませんね」


 リーネは首をかしげた。察することはできるけど、理解はできないものの一つだ。


「リーネ様は……そうでしょうね。察するに誰かに殺されたりとかでしょうか?」


 そんなリーネに助け舟を出すように、ノエラが口を挟んできた。


「うん、それも大きな理由の一つだね。もちろん、それだけではないけれど」


「悲劇的な死に方をした場合は、残りやすいということですわね」


「そういうことだね。その場合、穢はその魂の強い感情に同調するように形を持ち、より強力な悪意を持って人に害を及ぼすことになる」


「そういえば私は普通に襲われましたね」


 思い出すのは圧倒的な殺意。というか、死神になっていなかったら確実に殺されていただろう。


「君があの場にいて良かったというべきか……もっと遅かったら被害はもっと拡大したかもしれない」


 それだけは良かったとレイヴンは息を吐いた。


「ふむ、つまりまとめると、人の魂が残っていない遺体でも放置しておくと、通常の穢が発生するということですかね?」


「そういうことだね。すぐにというわけではないけれど」


 だからレイヴンは解決はしていないと言ったのかとリーネは納得した。


「しかし、その肝心の遺体はどこにあるのかしら? 旧校舎には何回も忍び込んでいるけれど、そんなの見たことがありませんわよ」


 不法侵入常習犯のノエラがそう言うのだから、すぐに見つかるような場所に遺体はないのだろう。


「そもそも、あの旧校舎は今の校舎に移動する前に一度全体を見ているはずだ。そんな遺体が残っていたらすぐにわかるはずだ」


「しかし、穢は間違いなく発生している。しかも強力な魂付きの穢です」


「そう、近くにあることは間違いないと思うんだけど……」


 まったくわからないと首をかしげるレイヴンとノエラ。


「……」


 リーネは二人の会話を聞きながら、今までの状況の整理を行っていた。


 そして、


「間違いないでしょうね」


 リーネは一つの推測をした。



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