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王立学園の死神は放課後に命を弄ぶ ~両親を殺された侯爵令嬢が死神となって悪人を楽しくざまぁする異世界近代魔法ミステリー!?~  作者: 猫月九日
第三幕 スラム調査編

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第18話 事情と契約

「前にも軽く聞いた気がするのですけど、アリアの教義的に死神ってどうなんですか?」


 しばらく祈りを捧げていたアリアを落ち着かせた後、リーネはアリアに問いかけた。


「あ、はい。確かに私たちの教義では死神様は主神ではありませんが。それでも神の一柱として扱わせていただいております」


「癒やしの神でしたよね。私を死神にしたのは、多分その神様じゃないと思いますが」


「死神は地上におられる神。いわゆる現人神という扱いになります。ある意味で神が間違いなくおられるという証明にもなりますし、私たちにとってはありがたい存在です」


「あー、確かにそういう面もありますか」


 目に見えない神の存在を証明してくれるのは、宗教的にはありがたいことだろう。


「あの……改めてなんですが、以前私を助けてくださってありがとうございました」


 アリアはそう言って、頭を下げてきた。


「あー、最初に助けた時の話ですか。それはもうたまたまですから気にしないでいいですよ」


「いえ、神からのご加護をいただいて、本当にありがたい限りです」


 アリアはキラキラとした目でリーネのことを見てくる。


「見ましたか? これが神に対する信仰心というものですよ」


 リーネはレイヴンの方を向いて、自慢げにそう言う。


「……僕だって敬っていないわけじゃないんだけどね」


 レイヴンは苦笑いを浮かべた。


「ただ、いつものリーネ嬢を見ていると……ね」


「不敬ですか? 使徒として失格にしますよ?」


「それは勘弁してくれ……」


 二人にとってはいつものやりとり、しかし、改めてアリアから見ると、なかなかな光景だったのだろう。

 目を見開いている。


「まあ、正直、私は俗物ですからね。アリアも私が死神であることはそれほど気にしなくていいですよ」


「い、いえ、しかし……」


 アリアはシスターでもあるし、なかなかにそれは受け入れられないのだろう。


「ふむ、でしたら。死神としての命令です。私とはただの友人として接しなさい」


「なっ!?」


 リーネの言葉にアリアは驚愕した。


「ほら、神からの要望ですよ。ほら、私のことをなんて呼べばいいかわかりますよね?」


 じっとアリアの目を見つめるリーネ。


「……えっと……リーネ……さん?」


 アリアは小さな声でそう言った。


「よくできました」


 リーネはにっこりと笑う。


「あ、それじゃあ、僕の方も……」


「そちらは勘弁でしてください! レイヴン様!」


 便乗しようとしたレイヴンには、アリアが慌てて首を振った。


「そうですよ。レイヴン様は神じゃなくて、ただの次期侯爵様ですからね」


「……なんか酷い立場の乱用を見た気がする」


 レイヴンが苦笑いをしながらため息をついた。



「というわけで死神としての仕事でスラムの調査をしているわけなんです」


「なるほど……そういうことだったのですね……」


 しばらくして落ち着いたあと、リーネはこれまでの事情をアリアに説明した。


「今は、アリアのところの神父も何か関係している可能性が高いと考えています」


「神父様が……」


「これまでも死者が出ているんじゃなくて、行方不明になっているっていう考え方ですね」


「神父様を発見できれば、何かしら手がかりが掴めるかもということですね」


 アリアの理解は早かった。


「ええ、そういうことです。というわけで……」


 リーネはにこりと笑って言った。


「ここまで聞いてしまったアリアには私に協力してもらいますからね」


「え、はい。もちろんです。私にできることがあれば、なんでも」


 アリアは純粋にリーネに協力してくれるようだ。しかし、リーネとしてはそれだけでは不十分だった。


「そう言ってくださるのはありがたいですが、これはきちんとした依頼なのです」


「えっ?」


「というわけで、報酬としてこのくらいでどうでしょう?」


 リーネは小さな袋を取り出して、机の上に置いた。

 ガシャと金属が触れる音がした。


「そ、そんな! う、受け取れません!」


 アリアは慌てて首を振った。


「いいえ、これは正式な依頼ですから。きちんと受け取ってください」


「で、でも、私はそんな……」


 それでもアリアは拒否を続けた。やはり、アリアとしては、受け取ることに抵抗があるのだろう。

 でも、それは想定済みだった。


「わかりました。では、この金額を教会の支援に使うという形ならどうですか?」


「支援に?」


「ええ、ほら、今もなんちゃら商会からの支援を受け取っているのでしょう? それと同じです」


「あ……」


 ここで賢いアリアは気がついたようだ。

 リーネたちが商会の代わりに支援をするということで、アリアを守ろうとしていることに。


「アリア。私はあなたと友だちでいたいのです」


 リーネの真剣な表情を見て、アリアはしばらく考え込んだあと、ゆっくりと頷いた。


「わかりました。リーネさんの支援を受け取らせていただきます」


「ありがとうございます。では、これからよろしくお願いしますね」


 これでリーネとアリアの間の契約は結ばれたのだった。



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