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王立学園の死神は放課後に命を弄ぶ ~両親を殺された侯爵令嬢が死神となって悪人を楽しくざまぁする異世界近代魔法ミステリー!?~  作者: 猫月九日
第三幕 スラム調査編

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第15話 視線と彼ら

 ジャスパーとの貴族教育が終わった後、リーネは急いでスラムへと向かった。

 ちなみに、貴族教育は今後も定期的に行われることになっているが、リーネとしては今は忘れることにしている。


 早足で王都の中を抜けて、スラムの門までたどり着いた。


(おっと、さすがにまずいですか)


 スラムの門の前には、門番が立っていた。

 さすがにリーネ一人だと止められる可能性がある。

 もちろん、善意で止めるのだろうが、リーネとしては面倒くさいことになるのは避けたい。


(仕方がない)


 リーネは死神としての能力を使って、姿を隠し、堂々とスラムの中へと入っていった。


(ついでだから、少し散歩をしていきましょうか)


 スラムの中を誰の視線も気にせず歩いていく。


(確かに、異様なほどに整理されていますね)


 改めて見回すと気がつくことがあった。

 確かにスラムの地面などは汚い。ゴミだって散乱している。


 しかし、物語などでスラムにありがちな路肩で寝ている人間や、物乞いをしている人間の姿はほとんど見かけない。

 少し気になって家の中を覗いてみると、家の中には布団で横になっている人がいた。


(ああ、なるほど。視線を感じたのはこういう人たちですか)


 スラムの住人は、きちんとその人々で生活をしているようだった。


(そもそも教会とはいえ、普通に子どもが生きていられる時点で結構治安は良いのですよね)


 さすがにスラムに来た初日に悲鳴が聞こえたのは例外としても、あんな魔物が来るのは珍しいことだと言っていた。

 そもそも、スラムの住人は自分たちが今日を生きるのに必死であるのだ。


(おや?)


 そんなことを考えながら歩いていると、ガチャガチャと音を立てて足早に歩く男の姿を見つけた。


(例の次期商会長ではないですか)


 先程まで貴族教育で話しを聞いていた、カルド商会の次期商会長であるヘイクだった。


「くそっ!」


 何やら機嫌が悪そうに、地面を蹴り、悪態をつきながらスラムの中を歩いている。


(ふむ、この方向ですと、教会の方でしょうか?)


 今日もアリアに振られたのだろうか。


(そういえば、今日はレイヴン様が先に教会へ行っているはずですね。そこで何かあったのかもしれませんね)


 なんとなく、気になったので、リーネは少し歩く速度を上げて、教会の方へと向かった。



 教会の前に到着すると、またしても、子どもたちがなにやら教会の中を覗き込んでいた。


(ふむ、商会の人はさっきスラムを出ていくのを見かけたので違う。なら、何を見ているのか……)


 頭の中で情報を整理しながら、リーネも子どもたちの後ろから教会の中を覗き込んだ。


「レイヴン様、本当にありがとうございました」


「いえ、無事で良かったです」


 教会の中では、アリアとレイヴンが向かい合って話をしていた。


(ほう、これはこれは)


 騎士姿のレイヴンとシスターのアリア。教会という場所柄もあって、なかなかに絵になる光景だ。

 アリアの頬が赤くなっているのも点数が高い。


(間違いなく何かありましたね)


 にやりと笑いながら、リーネはゆっくりと彼らへ近づいていく。

 リーネは姿を消したままだ、当然、彼らの目には入っていない。


(どうしたら面白いでしょう)


 二人の世界になっている彼らをどうやったら驚かせられるかを考えた。


(シンプルに行きましょうか)


 リーネはアリアの後ろに立った。そのまま、レイヴンのことを見てタイミングを図る。

 そうして、レイヴンが一瞬瞬きをした瞬間に透明化を解除。


「……っ!?」


 突然現れたリーネに、レイヴンが大きく目を見開いた。そしてまた一瞬の瞬き。


「……?」


 その瞬間にまたリーネは姿を消した。レイヴンは周りを見回すけれど、当然リーネの姿は見えない。


「レイヴン様? どうかしたのですか?」 


 急に挙動不審になったレイヴンに、アリアが心配そうに声をかけた。


「い、いえ、今そこにリーネ嬢がいた気がして……」


「リーネ様が? どこにもいらっしゃいませんが?」


「あ、そうですよね。気のせいですよ……きっと……はあ……」


 レイヴンがまっすぐと見えないはずのリーネのことを見つめる。

 おそらくこの時点でレイヴンはリーネが近くにいることに気がついたのだろう。

 そして、リーネからのメッセージを感じ取ったのだろう。


(ふふ、随分と仲が良さそうでしたね)


 そんな挑発的なメッセージを。

 それはつまりリーネに弱みを握されたということだ。

 そのことに気がついたのか、レイヴンの顔に一筋の汗が流れた。


「レイヴン様、大丈夫ですか? おやすみになられますか?」


 アリアが心配そうに、レイヴンの汗にハンカチを伸ばす。


「あ、アリア嬢、ありがとう。だ、大丈夫だから」


 距離が近づいたことにまたレイヴンが焦る。それを見て、アリアがまた心配をする。

 そんな二人の様子をリーネはしばらくの間、至近距離で観察をしていたのだった。



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