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王立学園の死神は放課後に命を弄ぶ ~両親を殺された侯爵令嬢が死神となって悪人を楽しくざまぁする異世界近代魔法ミステリー!?~  作者: 猫月九日
第三幕 スラム調査編

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第14話 伯爵家と商会

「現在のタンブルウッド王国は勇者様のご友人であられたユジーン様の御子息であるサム様を国王とする王政でして……」


 リーネは自分でもわかっていた。


(とてもだるいですね……)


 自分の目が濁っているだろうことを。

 ジャスパーの貴族教育は、王国の歴史についてから始まっていた。

 おおよそのところはもちろん学園などで学ぶ部分ではあるのだが、ジャスパーは細かいところまで説明をしてくる。


「これも貴族同士の関係を把握するためには必要なことですので」


 ということで、どこの家がどういう歴史だの、どの家がどういう関係にあるだの、そういう話を延々と聞かされることになった。


(興味深い部分はありますが、さすがに飽きてきますね)


 ジャスパーはやはり基本的には優秀なのだろう、それでも短時間で各家について教え込むのは無理があった。

 ということで、リーネの目は非常に濁っていて、もうほとんど話を半分聞き流しモードに入っていたところだった。


 そんな中だった、


「次は、カノーネ伯爵家です」


「カノーネ伯爵家……」


 なんだか最近聞いたことがあるような名前な気がしたリーネの目に生気が戻った。


「カノーネ伯爵家は軍閥の家系でして、何度も王都の騎士団の隊長を輩出している名家でございます」


 ジャスパーが解説をしている中、リーネは記憶を辿る。


「カノーネ伯爵家は単に騎士を輩出するだけではなく、軍事物資を扱う商会を多く所有していることでも知られていますね」


(あー……そうか……)


 思い出した。そういえば、前にスラムでアリアに言い寄っていた出入り業者がそんなことを言っていたような記憶がある。


(相手するつもりはなかったから詳しく聞いてませんでしたけど、アリアのためです。一応情報収集くらいはしておきましょうか)


 リーネは意識を切り替えて、ジャスパーに質問をした。


「カノーネ伯爵家の商会の名前はなんというのですか?」


「商会の名前ですか? カルド商会ですが」


「カルド商会ですか……」


 もちろん、名前に聞き覚えはない。


「リーネ様、なにか気になる点でもあるのですか?」


「あー、そうですね……少々最近、名前を聞く機会がありましてね」


 さすがにスラムに出入りしていることは話すわけにはいかない。

 死神云々の話も当然していない。まだそういう時期ではないからだ。


「ふむ、よろしければ、カルド商会について少しお話しましょうか?」


 それでも、ジャスパーはあえて追求をせずに、リーネに提案してきた。

 リーネがなにか隠していることを察しつつも、聞いてこないのはさすが歴戦の執事である。


「ええ、お願いします」


「それでは……」


 こほんと咳払いをして、ジャスパーは話し始めた。


「カルド商会は、先代の国王の時代から百年ほど続く武器をメインとして扱う商会でございます」


「百年ですか。随分と長いですね」


「ええ、しかし、先程説明した通り、戦争時代が終わりまして急激に魔道具というものが武器から生活道具へと変化して参りました」


 このあたりは、リーネも実感していることだ。リーネが生きている間だけでも、急激に生活が楽になってきている。


「そういうこともあり、戦時中は数多くあった軍事系の商会が合併などを繰り返した上で、貴族の傘下へと入りました」


「それがカノーネ伯爵家ということですか」


「そうなりますね。およそ十七年ほど前のことになります」


 傘下に入ったのは商会の歴史としては最近のこととなる。


「随分と詳しいですね」


 唐突の質問にも関わらず出てくる情報が具体的なものばかりだ。

 さすがジャスパーだと思ったのだが、ジャスパーが首を振った。


「ここだけの話でございますが、現在の商会の会長とは個人的な付き合いがありまして。他の商会よりも詳しいのです」


「それはまた……偶然ですね」


 まるで示し合わせた偶然。ご都合主義と言われても否定できない。


「ちなみに、カルド商会の会長はかなりモテモテでしてね。しかし、本人はメイドの一人と本気で結婚しようとしていましたよ」


「はぁ……」


 何やら聞いていないことまで話し始めた。


「もっともそれは結局は許されなかったようですがね。しかし、その後結婚した相手とも子供一人には恵まれたものの、すぐに亡くなってしまいましてね」


「……」


「その一人息子もどうやらあまり評判が良くないらしく、最近はスラムに入り浸っているとかいう噂もありまして……いえ、もちろん、勘違いだとは思いますが」


「……スラム? あの、その一人息子の名前って知ってますか?」


 黙って聞き逃しモードに入っていたのだが、なにやら気になるワードが出てきた。


「はい? ええ、知っております。えっと、たしか……ヘイクという名前だったかと。次期商会長という話ですが、どうなることやら」


「……なるほど」


 さっき記憶を辿った時に聞いた名前だ。


(あれ……次期商会長だったんですか……)


 それは間違いなくあのアリアに迫っていた若者のことだった。


(カルド商会……軍事物資を扱う商会がスラムに……神父の失踪と何か関係があるのでしょうか?)


 あとでレイヴンに相談をしようと思いながら、リーネはジャスパーの話を聞き流すのだった。



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