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王立学園の死神は放課後に命を弄ぶ ~両親を殺された侯爵令嬢が死神となって悪人を楽しくざまぁする異世界近代魔法ミステリー!?~  作者: 猫月九日
第三幕 スラム調査編

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第13話 機嫌と実家

 翌日、リーネのクラスの空気は最悪だった。

 その原因はリーネだった。

 表面上はいつもどおりであるのだが、リーネがいるだけでなぜか空気が重い。


(空気が読めるというのは、素晴らしいですね)


 リーネとしては、そんな空気感を楽しみつつも、隠しきれない面倒くささを感じていた。

 教室の誰しもが、リーネの挙動を警戒し、腫れ物に近寄らないようにとリーネから距離を取っているのだ。

 もっとも、誰も話しかけてくることがないのは、いつものことではあるが。


(さて、面倒ですが行きましょうか)


 放課後になり、教室から出ていった時は、教室内から安堵のため息が漏れた。


(ここで戻ったら面白そうではありますが)


 一瞬、本当にやってやろうかと思ったリーネだったが、約束の時間が迫っていることに気がついて、足早に校門を出た。


 向かう先は、昨日とは違ってスラムではなく逆の方向。

 空気的にもスラムとは真逆の場所にある、貴族の邸宅だった。

 そのうちの一軒に到着すると、リーネは門の前で立ち止まって、ため息をついた。


(前に来た時は楽しかったんですがね)


 そんなリーネを見て、門番が不審な目を向けた後、すぐに気がついて、目を見開いた。


「リーネ様!? おかえりなさいませ! ただいま執事を呼んでまいります!」


 門番はリーネの言葉も待たずに、慌てて邸宅の中へと走り去っていった。


(おかえりなさい……ですか……ただいまとでも言うべきなんですかね?)


 見上げた先にあるのは、ミゼリオール邸宅。

 かつてのリーネの生家であった。



「リーネ様、ようこそお越しくださいました」


 しばらくすると、戻ってきた門番に案内され、リーネは邸宅の中へ入った。

 そこで待っていたのは、見覚えのある燕尾服姿の初老の男性だった。


「ご苦労様。あなたが祖父の言っていた執事の方ですか?」


「はい。私はジャスパーと申します。ミゼリオール家の執事長を務めております」


 恭しく礼をしたジャスパー。

 このジャスパーは前々からミゼリオール家につかえている執事で、リーネの祖父からの信頼も厚い人物だった。


「ジャスパー様は叔父の時代にもミゼリオール家に仕えておられたとか」


「様は結構です。そうですね。リーネ様の祖父であられるヴァルド様からのご命令によりまして、先代当主に仕えさせていただいておりました」


 そう、リーネはジャスパーのことを見たことがあった。

 以前にミゼリオール邸に侵入した際に、ヴェルディオと話をしていた時に一緒にいたのがジャスパーだったのだ。


「単刀直入に聞きますが、祖父の願いの元、叔父の調査をしていたってことで正しいですか?」


「敬語も結構でございます。そうですね……言い方は悪いかもしれませんが、スパイのようなものでございました」


「随分とはっきりと言いますね」


「はい。リーネ様はそちらの方がお好きかと伺っております」


「祖父から聞いたのですか?」


「はい。ヴァルド様からはリーネ様のことはよく伺っておりました」


「あの祖父がですか……」


 ちなみにリーネはジャスパーのことはまったく聞いていなかった。


(しかし、祖父が叔父のことをきちんと調べていたのは当然でしたか)


 証拠こそ掴めなかったものの、スパイまで潜り込ませていたのは、さすがと言うべきかも知れない。


「そして今はまた祖父に頼まれて私の世話をしてくださると」


「はい。ヴァルド様がお亡くなりになる前に、リーネ様のことを頼まれました」


 現在、このミゼリオール家はこのジャスパーがいることで家が維持されている。

 叔父がやらかしたら諸々のことや、貴族関係のこともジャスパーが取り仕切っているのだ。


 リーネが次期当主という曖昧な立場になっているのもこのジャスパーがいることで時間が稼げると判断されたからに他ならない。

 執事というよりは、家令と言った方が正しいかもしれない。

 そんなジャスパーにリーネは今日会いに来たのだった。

 その目的は……


「貴族教育……面倒ですね」


 リーネはため息をついた。



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