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王立学園の死神は放課後に命を弄ぶ ~両親を殺された侯爵令嬢が死神となって悪人を楽しくざまぁする異世界近代魔法ミステリー!?~  作者: 猫月九日
第三幕 スラム調査編

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第8話 奇遇と理由

 スラムを訪れた次の日、リーネは学校の授業が終わると、即座に教室を出た。

 早足で廊下を抜けて、校舎の外へ、そのまま一直線に校門へと向かう。


「……おや?」


 校門の前に、見たことのある姿が立っていることに気がついて、頬を緩めた。


「レイヴン様、奇遇ですね」


「リーネ嬢……来ると思っていたよ」


 リーネの姿を見るなり、レイヴンはため息をついた。


「そんなにため息をついて、幸せが逃げますよ?」


 言いながらリーネはレイヴンの横をすり抜けていく。


「そう言うのならば、せめて一声はかけてほしかったな」


 レイヴンは当たり前のようにリーネについてくる。


「ふふっ、その様子では私がどうするつもりかはわかっていたようですね」


「ああ、できれば当たってほしくなかったが……スラムに行くつもりだろう?」


「もちろんです」


 リーネは振り返ってニッコリと微笑んだ。


「はぁ……確かに君のことを心配するのはおこがましいかもしれないがね。それでも一人で行動するのは危険だと思うのだが」


「一人じゃありませんよ? あなたがいるじゃないですか」


「いや、これは僕が君の行動を予測したからで」


「そうですね。では、その私もあなたの行動を予測したとは考えられませんか?」


「あー……なるほどね……僕はまんまと君の予想に嵌まったわけだ」


 レイヴンは苦笑いをしながら頭をかいた。


「ふふっ、そういうことですよ。むしろ、いなかったらペナルティでしたからね」


「それは良かった……」


 レイヴンはほっと息をついた。


「さあ、それでは改めて向かいましょうか」


「うん、アリア嬢もきっと待っていることだろう」


 こうしてリーネとレイヴンは再びスラムへと向かうのだった。



 王都の門を抜け、スラムの中へと入っていくリーネとレイヴン。


「さすがに今日は悲鳴は聞こえませんね」


「ジロジロと見られてはいるみたいだけどね」


 スラムの中を二人で歩いていくと、どこからともなく不躾な視線が飛んで来る。


「昨日も感じましたよ? 誰かさんが私を置いて行くからその間は特に」


「あー、それに関しては……申し訳ない」


 レイヴンは申し訳なさそうに頭をかいた。


「悲鳴が聞こえたことでつい足が動いてしまった」


 その結果がリーネを一人置いていくことになった。


「まったく、か弱い女性をスラムで一人にするなんて、とんでもないことですよ?」


「か弱い女性はそもそもスラムに来ないと思うが……」


「ははっ、それはそうかもしれませんね」


 もちろん、リーネ自身、自分がか弱いなんて思ってはいない。


「か弱いというのは、アリアみたいな女の子のことを言うのでしょうね」


 自分とは対極にいるような子を思い浮かべて、リーネは微笑んだ。


「……随分とあの子のことを気に入っているようだね」


 レイヴンは少し不思議そうな顔をしながらリーネを見つめた。


「そうですね。私としては珍しく興味を覚えた子ですから」


「昨日初めて会っただけだろう? なんでそこまで気に入ったんだい?」


 どうやらレイヴンとしては、リーネがそこまで興味を持つ理由がわからないらしい。


「そうですね……あの子は、なんというか、表と裏がない気がするんですよ」


 リーネは少し考え込んだ後に答えた。


「ご存知の通り、私は人の観察をするのが好きですからね。行動の予測とかもするのですが、あの子の行動はまさに私の予測どおりなんですよ」


「なるほど?」


「それでいて、誰かと違って違和感がないというのが凄いですね」


 その誰かというのは、まさに目の前にいる存在のことだ。


「……君がそう言うのであれば、そうなんだろうな」


 レイヴンは少しバツが悪そうに笑った後、頷いた。


「で、あるならば私の方も彼女のことを信用するとしよう」


「ええ、私の勘を信じればきっと救われますよ」


 リーネは自信満々に微笑んだのだった。



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