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王立学園の死神は放課後に命を弄ぶ ~両親を殺された侯爵令嬢が死神となって悪人を楽しくざまぁする異世界近代魔法ミステリー!?~  作者: 猫月九日
第三幕 スラム調査編

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第5話 教会と孤児院

「こ、ここです……」


 少し怯えた様子の子どもたちに案内された先は、ボロボロの教会だった。


「ほう、教会ですか」


 スラムにあるには場違いなほど立派な建物ではあるが、外壁はひび割れ、窓ガラスは割れ、屋根も一部崩れている。


「教会に皆で住んでいるのですか?」


「あ、いえ……そうじゃなく……」


 子どもの中でも年長者である少年カイルが首を振った。


「僕たちは、この奥にある孤児院に住んでいるんです」


「ほう」


 まさかスラムに孤児院があるなんて。


「ということは、あなた達だけではなく、他の子もいるということですか?」


「は、はい。お姉ちゃ……シスターアリアを含めて全部で十人くらいで暮らしています」


「なるほど、なるほど」


 おそらくこのスラムの中の子どもが集まっている感じなのだろう。


「年長者……子どもたちの面倒を見ている大人は何人ほどですか?」


「大人は二人……あ、でも、今はシスターアリアだけ」


 先程から出ているシスターアリアというのは、きっとさっきの女の子のことだろう。

 ちらりと後ろを振り返ると、レイヴンがシスターアリアを抱きかかえて所在なく立っている。


(お姫様だっこ……学園の女生徒たちが見たら発狂しそうですね)


 それはそれで見てみたい気がするけれど、流石に今回は遠慮しておこう。


「とりあえず、寝かせようと思いますが、案内してもらえますか?」


「あ、はい! こっちです!」


 カイルの誘導に従って、教会の中へ入り、さらにその奥へと進んでいく。


「教会と繋がっている感じですか?」


「あ、はい。えっと、教会の一部を孤児院にしたってシスターアリアは言っていました」


「なるほど」


 つまり、まず教会があって、子どもたちが集まってきたという感じだろうか。教会兼孤児院というよりは、教会の一部を孤児院として使っている感じだろう。


「あ、カイルお兄ちゃん、おかえり……ひっ!」


 生活用スペースに入ると、子どもたちが声をかけてきたが、リーネやレイヴンの姿を見て、物陰に隠れてしまった。


「おやおや、怖がられてしまいましたね」


「すみません」


「いえいえ、警戒心が強いのはいいことですよ。生き残るための正しい判断です」


 リーネはにっこりと笑うと、手をひらひらと振って見せた。

 物陰からの視線を感じる中を進んでいくと小さな部屋へとたどり着いた。


「ここがシスターアリアの部屋です」


「これは立派な部屋ですね」


 狭い部屋の中には、簡素なベッドと机と椅子だけが置かれている。

 しかし、掃除が行き届いているのか、古いながらも清潔感があった。


「ここに寝かせよう」


 レイヴンがさっそくシスターアリアをベッドに寝かせた。

 すーすーと静かな寝息を立てるシスターアリアを見て、カイルが安心したように、ほっと息をついた。


「心配は不要ですよ。怪我はもうなくなっています」


 さすがに服についた血はそのままになっているけれども、落とすことができないものは仕方がない。


「良かった……あの、本当にありがとうございました」


 カイルはリーネとレイヴンに深く頭を下げてきた。


「いえいえ、私たちはたまたま通りがかっただけですからね」


「ああ、気にしないでいい」


 リーネは手を振り、レイヴンも肩をすくめた。


「それでも、あの、ありがとうございます。何かお礼ができたらいいんですけど……生憎と何もなくて……」


 ボロボロの内装を見て、リーネは少し考え込んだ。


(そうですね、これは好都合かもしれませんね)


 元々お礼が欲しくて助けたわけではないが、これはこれで展開として悪くない。


(それに、この子にも興味が湧いてきたところでしたしね)


「そうですね、それならば……」


 リーネはちらりとレイヴンを見る。


「……」


 レイヴンは何か察したのか、少し困ったような顔をしたあとに、ゆっくりと頷いた。


「私たちの調査をお手伝いしてもらうとしましょうか」


 スラムの情報はスラムに住んでいる人に聞くのが一番だ。

 その点で言うとこの子たちはちょうどいい。


「調査、ですか……?」


 言っている意味がわからないという様子のカイルにリーネはにっこりと微笑むのだった。



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