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王立学園の死神は放課後に命を弄ぶ ~両親を殺された侯爵令嬢が死神となって悪人を楽しくざまぁする異世界近代魔法ミステリー!?~  作者: 猫月九日
第三幕 スラム調査編

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第3話 スラムと瘴気

「死神ギルドでは定期的にスラムを巡回しているんだ」


 リーネがついてくることを渋々了承したレイヴンはスラムへの道中に説明を始めた。


「その理由はわかると思うけど……」


 ちらりとリーネの方を見てきたので、リーネは頷いて返した。


「ええ、わかりますよ。スラムでは死人が多いでしょうからね」


 スラムというのは、貧困層が集まる地域である。


(生存競争というやつですね)


 皆が皆、生き残るのに必死であるため、治安が非常に悪い。

 暴力沙汰は日常茶飯事であり、その結果として死者が出ることも珍しくない。


「王都のスラムは小さな方だけど、全くないわけじゃないからね」


 国としても、スラムの存在は認識しているが、様々な利権が絡んでいることもあり、なかなか手が出せない状況にある。

 ちなみに、一部貴族もスラムにかなり深い関わりがあるとかないとか……


「なるほど、それは死神ギルドの巡回も必要でしょうね。放置すれば瘴気が発生して大惨事になるのが目に見えていますし」


 瘴気は死体から発生する負のエネルギーであり、人に対して害をもたらす。

 例えばスラムで発生したとして、それが王都の方まで流れてきたらその影響は計り知れない。

 それを防ぐために、死神ギルドはスラムを定期的に巡回しているのだ。


(国もギルドも随分と手間をかけているようで)


 リーネはそう理解した。

 しかし、


「いや、実は王都のスラムはちょっと特殊でね」


 レイヴンは首を振った。


「特殊ですか?」


「ああ、王都のスラムではほとんど瘴気が発生しないんだ」


「瘴気が発生しない……?」


(そんなことありえるんでしょうか?)


 それはつまり遺体が放置されていないということだ。


「もちろん、僕ら死神ギルドが定期的に巡回しているからってこともあるんだろうけど、そもそも、最近では放置された遺体を発見すること自体がほとんどないらしいんだよ」


「ほほう、それは随分と治安がいいことで」


 もちろん現実はそんなに甘いものではない。


「そもそも、国としてもスラムにどれだけの人が住んでいるのかも把握していないくらいだからね。人知れず消えていても不思議じゃないよ」


「なるほど……」


(消えていった人たちはどこに行くのでしょうね)


 平和に国から出ていって再起を図るのか、それとも……


「そんなわけで、王都におけるスラムの巡回は、遺体を探すってよりも、そういう状況把握のほうが主な目的となっているらしいんだ」


「なるほど、わかりました。ちなみに、らしい、ということはレイヴン様もあまりスラムの巡回はされたことがないのですか?」


「うん、そうなるね。本当はそもそも僕の仕事じゃなかったんだけど、最近は死神ギルドの方も人手不足でね。たまたま空いているのが僕しかいなかったんだよ」


「それは大変ですね。私がついてきて助かったんじゃないですか?」


「……僕としては、余計なトラブルが増えそうな予感しかしてないよ」


 カラカラと笑うリーネに、肩を竦めるレイヴン。


「さあ、いよいよ、ここからがスラムだよ」


 大きな門の前までたどり着く。その脇には警備兵のような人たちが立っている。レイヴンがその人たちに話しに行った。


(スラムの人がこちらに来ないような感じですね)


 目的はスラムの警備というよりは、進入禁止のためという形だろう。

 そもそも王都のスラムとは言っているが厳密には、王都を囲む塀の外側にある地域のことである。


(そういえば、私、王都から出るのは初めてですね)


「おまたせ、軽く聞いてみた感じだけど、特に何か変わりはないみたいだよ」


「そうですか。では……」


 リーネはスラムの方へと歩き出した。レイヴンがそれに続く。


「きゃーっ!」


「このように悲鳴が聞こえてくるのはスラムの日常ということでしょうね」


 一歩踏み入れた途端、奥の方から悲鳴が聞こえてきた。

 そんな非日常にリーネはワクワクが止まらなかった。



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