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王立学園の死神は放課後に命を弄ぶ ~両親を殺された侯爵令嬢が死神となって悪人を楽しくざまぁする異世界近代魔法ミステリー!?~  作者: 猫月九日
幕間 とある事件と暇つぶし

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第3話 潜入捜査

「調べがついたよ」


「おっと、早いですね。それでは早速向かいますか?」


 そんな会話がなされた後、リーネとレイヴンはとある貴族の邸宅へと向かった。


「これはまた、随分とお金を溜め込んでいそうな家ですね」


 見上げるリーネの眼の前には、絢爛豪華という言葉がピッタリの大きな邸宅がそびえ立っていた。

 庭も広く、夜なのにも関わらず、庭のあちこちに明かりが灯っている。


「これだけ明るければ昼間に洗濯物干しても乾きそうです」


 そんな庭をみて思わずリーネは呟いた。

 明るいを通り越してむしろうっとおしいくらいの眩しさだ。こんなものご近所の迷惑に違いない。


「調べによると、このサマンサ子爵家はどうやら通信事業でかなり設けたらしいよ」


「なるほど、それは随分とお金と不正の匂いがしますね」


「どんな匂いなんだか? まぁ、実際、中にはろくでもないことをしていたみたいだけどね」


 吐き捨てるように言うレイヴン。


「ふむ、あとは問い詰めるだけということですね」


「ああ、そういうことだよ。それじゃあ、行こうか」


「はいはい。ではいつも通りに」


 リーネはそう言うと、レイヴンの後ろに控える。

 それを確認したレイヴンは邸宅のチャイムを鳴らした。


「はい、どちら様でしょうか?」


「夜分遅くにすみません、ガレンティ家のものです。緊急にサマンサ子爵にお会いしたいのですが」


「ガ、ガレンティ家!? しょ、少々おまちください!」


 チャイムの向こうからは驚きの声とともに、ドタバタとする足音が聞こえた。

 おそらくガレンティ家の名前を聞いて、急いでサマンサ子爵に連絡をしているのだろう。


「相変わらずの威力ですね。今後は名札でも持って歩いたほうが良いのでは?」


「使えるものはなんでも使っているだけだよ」


 そんな軽口を交わしていると、邸宅のドアが開き、初老の執事風の男性が姿を表した。


「も、申し訳ありません、主人はただいま手が離せなくて……後日にしていただくことなど……」


「伯爵家の関係者が来たにも関わらず、要件も聞かずに追い返すと? それがサマンサ子爵家の礼儀ということでしょうか?」


「い、いえ、そんなことは」


「重大な要件だ、直接話をさせてもらいたい」


 レイヴンは微笑みながらそう言う。しかし、そこには有無を言わせない威圧感があった。


「は、はい。かしこまりました。こちらへどうぞ……」


「失礼するよ」


 招かれたレイヴンとリーネはその後に続いていく。


(さて、お宅拝見といきましょうか)



 サマンサ子爵の邸宅内は、外観通りの豪華さだった。

 広い廊下には、どこから仕入れたかもわからない様々な調度品が飾られていた。

 謎の絵画や、見たことのない造形の花瓶、なんか変な模様がある剣など。


(これ一つで私のお昼何日分なんでしょうね?)


 レイヴンの後ろをついていきつつ、リーネはそんなことを考えていた。


「こ、こちらでお待ち下さい。今主人を呼びに行ってまいります」


 執事風の男に案内されて、2人は来客用の部屋へと通された。

 豪華そうなソファーに座るレイヴン、リーネはその後ろに控えた。


「……落ち着かないね」


「そうですか?」


 何が? とは聞かない。

 理由は当然、今のこの状況だ。


「私がメイドでは不満でしょうか? 御主人様?」


 リーネは笑いながら、そのエプロンスカートをなびかせた。

 そう、今リーネはレイヴンのメイドとして後ろに控えているのだ。

 見た目だけ言うのであれば完璧な美少女メイドだが……


「やめてくれ、リーネ嬢がメイドとか……寒気がする」


 レイヴンは嫌そうに首を振った。これは本気の嫌がりだ。


「おや、そんなに嫌がられるとは? 私のどこが悪いのでしょう?」


「強いて言うなら、そういうふうにからかってくるところかな?」


「からかっているなどと、私はいつでも本気ですよ?」


「わかっているさ、君はいつだって本気で自分の興味があることをやっているだけだ」


「理解のある御主人様で何よりです」


 リーネはわざとらしく微笑む。


「……理解というより、諦めだね」


「それも理解の一種です」


 リーネの言葉に、はぁ、とため息をつくレイヴン。


「あのさ、やっぱり次回からちゃんとした身分で来たほうがいいんじゃないかな?」


「ほほう? それ、本気で言っています?」


 リーネは答えがわかっていながらも問う。その声はどこか楽しげだ。


「……すまん」


 案の定レイヴンは苦々しい顔をして謝った。レイヴンだってわかっているのだ、この方法がベストなのだということを。

 それだけ今のリーネは有名になりすぎてしまった。


「……」


「……」


 気まずい沈黙が流れる。時計の音だけが部屋の中に響く。

 もっともリーネはそんなこともなく、レイヴンの顔を見て楽しんでいるが。


「お、お待たせいたしました」


 ノックの音が響き、同時にドアが開き、恰幅の良い中年の男性が姿を表した。

 彼こそがサマンサ子爵その人だった。


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